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 公務員の削減は、人件費削減なのではない。 2005年08月19日

郵政民営化の根本の動機は、公務員の削減にある。公務員を削減することの意味は、税金の「無駄使い」を止めることにある。というより、無駄遣いを止めることができない者のことを〈公務員〉と言う。

だから民営化の最大の意義である公務員の削減は、(民間企業に於ける)単なる人件費の削減にとどまるものではなく、国家予算におけるあらゆるコスト削減の源泉なのである。

官僚の天下り禁止も、ゼロシーリングも、歳出削減にはならない。公務員の行う仕事を減らすこと=公務員を削減することこそが、最大のコスト削減であること。これが〈民営化〉ということである。

郵政民営化法案が、様々な紆余曲折を経て骨抜きに近い形になるのも、それが人員削減(公務員削減)に手を付けているからだ。クビを切らずに民間の受け皿を形成するには、様々な妥協が必要になるだろう。そんなことは当たり前のことだ。

「民営化」(=公務員の削減)が中途半端なものになるのは、「民営化」がもっとも根本的な歳出削減に繋がっているからであって、その逆ではない。10年かかっても20年かかっても民営化することこそが(成熟した資本主義に於ける)「新しい」国家ビジョンに繋がっている。

民主党のマニフェスト全32ページの中には、公務員の人員削減という施策は一つもない(警察官を「3万人増員する」という増員計画はあっても)。それでいて官僚の無駄使いを止めさせる、というのが主要な施策になっている。何度も言うが、無駄使いをする者のことを官僚と言う。だから本気で無駄使いをなくさせる気ならば、官僚を減らすことが一番の施策なのだ。「民営化」をうたわない民主党に政策的な勝ち目はない。

?それにしても参議院議員・荒井広幸(http://www.arai.tv/)はたいしたものだ。自民党を離党して、国民新党に合流するらしい(http://www.daily.co.jp/gossip/2005/08/18/183965.shtml)。ここまで来ると、あさはかな郵政族だと思っていた荒井広幸に男の美学を感じる。そう言えば、民営化案が参議院で否決されたときも寂しそうな、深刻な顔をしていた。これまでに見たことのない荒井の表情がそこにあった。何も考えずに、「(郵政民営化は)時代の流れだ」と言っている連中よりもはるかに荒井の行動は“美しい”。勝つ者だけが美しいとは限らない。小泉首相の解散当日の記者会見も歴史に残る声明だったが、荒井広幸の自滅的な離党も胸にしみる。

?それにしても、ワイマール期のヒトラーも、何度も解散を打って一気にファシズム政権を築き上げた。議会勢力を無視することによって、議会勢力を獲得するというヒトラーの“民主的な”熱狂は、小泉解散会見の熱狂と変わらないのかもしれない。政治に国民的な関心が向かう、というのは本当のところ民主主義的ではないのかもしれない。嗚呼、荒井広幸…。

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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