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 大学において、期末試験(履修認定)を第三者化する意義について(Spotifyポッドキャスト音声概要付き) 2025年07月11日

シラバスや教材や小テストなどをいくら充実させても、期末試験(単位認定権 )が担当教員の手中にある限り、それらは絶えず形骸化する。意味がない。あらゆる〝教育改革〟は、この試験管理(判定管理)を棚に上げたままでは、すべて空虚。逆にあらゆる〝教育改革〟は、どうやって試験管理するのかをはっきりさせてから進むべきだ。

大学教員がまともな授業をやろうとしないのは、試験判定が手中にある限り、それに合わせた試験判定をし続けるからだ。だからダメな授業ほどダメな試験(ずぶずぶの試験)を行って、何も学んではいない学生までも合格させてしまう。「関心・意欲・態度」などの期中評価を、期末の単位判定に加えるのもそのやり方の一つだ。期末試験が40点でも、20点の態度点加算で〝合格〟してしまうのが現代の大学。

これを続けると学生も教員もいつまでたっても〝勉強〟しない大学になる。原因は、単位認定権を教員個人化しないこと。大阪高裁でも、単位認定権は担当教員個人のものではないという判決(2015年)が下っている。

試験(単位認定)さえ第三者化したら、教員はシラバスをどんどん詳細化するだろうし、小テストも毎回やらないと不安になるだろう。試験はシラバスや教材に従って作成される授業のレフェランスそのものだからだ。そのときに初めて教員は、シラバスや期中の学生の知的、専門的評価(小テストの実施)に集中するようになる。

その意味で担当教員から、試験判定を取り上げることは必須の課題。中等教育までは、塾や参考書、予備校、家庭教師など、一つの学校の、一人の授業担当教員を〝評価〟する仕組みが多様に第三者化しており、保護者も最初から(極端に言えば)教員を信じていない場合もあるが(学内で集団で評価を騙しても進学率でその成果はまる見えになるという点で)、大学はそうはいかない。

したがって、大学こそ、本来は大学内に試験センターを作って、管理すべきだと思うが、それではコストが高く付きすぎる。

そこで、生成AI活用。ここ数年の生成AIの成長はめざましいという点に着目して、パイロットプロジェクト的にこの前期の期末試験を第三者化しようとしている。たぶん全国の大学で本学が初の取り組みだろう。身の引き締まる思いだ。現在のところ、教員が作るよりもはるかにまともな試験を作成することができることを確認できている。そもそも大学の先生は、試験問題を作るのがとても苦手な人たちなのです。

文科省も「知の総和」なんてアホなことを言う前に、現代の大学の馬鹿げた単位認定の在り方を改革する、と一言言えばいいのだ。そうすると、今より大学生が半減しても「知の総和」は10倍くらいにはなる。それほどいまの単位認定は杜撰なのだから。

ではなぜ言わないのか、というと大学の教員が総反発するからだ。詳細なシラバスを書くのにさえ反発する大学教員が授業に真摯に取り組むことあり得ないのだから。

文科省にとって、教員はマーケットに過ぎない。教員に嫌われることを言う教育学者や心理学者が存在しないように(彼らにとっても教員はマーケットにすぎない)、文科省も教員をダラダラさせ続けている(雑務も含めて)。(またこの話は長くなるので別の機会に)

そこで、問題となるのが、担当教員以外が作る試験問題は果たして可能かという課題だ。あと、三週間後に迫った本学初めての取り組みの試行錯誤を音声概要でまとめてみた。今後もまたこの続きを公開していきたいと思います。心ある大学人はご支援ください。


※2025年7月10日現在でのSpotifyポッドキャスト人気ランキング

第1位 追悼・吉本隆明 —〈像 〉概念の影響について
第2位 電子書籍論
第3位 デリダのフッサール理解について — 表現と意味(1982年)
第4位 人工知能の諸問題
第5位 吉本隆明と〈転向〉
第6位 なぜ、人を殺してはいけないのか。
第7位 情状性、死への存在 — 『存在と時間』入門以前
第8位 死んだ人と、会わない人との違いはなんだろう。古い同級生などは消息不明だが、消息不明の人と死んだ人との違いはなんだろう。関心のない人と死んだ人との違いはなんだろう。アリストテレスには関心があっても、それでも会えなくても悲しくはないが、実はこんな問題を真面目に考え続けるのが哲学だ。
第9位 ウィニコット論 (good enough mother論)— 大学院の講義から
第10位  〈序文〉とは何か — 『書物の時間』(1982年)
第11位 「一流」とは何か。
第13位 Amazon prime「最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ」 — 息子・太郎のAmazon移籍後最初の作品
第14位 卒業式式辞 : 努力する人間になってはいけない
第15位 生活苦とは、何か
第16位 ハイデガーと世界性の問題 — 『存在と時間』入門
第17位 フッサール・ハイデガー・デリダと現象学の可能性(マリオン『還元と贈与』論)
第18位 結婚式披露宴・親族代表、ご挨拶
第19位 小学校の「学び合い」教育を参観して(2) — 担当教員からの反論に答える
第20位 テレ朝『あいつ今何してる?』『あざとくて何が悪いの?』、Amazon Prime『ゴールデンコンビ』『シークレットNGハウス』などの源流を語る

投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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