今日から新入生を受け入れる「履修の手引き(の一部)」を17,000字ほど書き下ろしてみた ― 全国初の生成AI全学導入の大学「履修の手引き」。 2025年04月01日
●本学の教育の特徴(1) ― 「学生の試験点数は、先生の授業点数」
1)学生の点数は先生の授業の質が決める ― 学生の努力も先生次第
本学の教育の特徴は、「学生の試験点数は、先生の授業点数」という考え方です。
学生であるみなさんの試験点数は、すべて先生がどんな授業をやれたか、授業テーマやその進展に関心が持てる授業をやれたか、わかりやすい授業をやれたか、やる気を起こす授業をやれたか、そういった諸々の先生の取り組みの結果生まれた点数です。その取り組みが真摯であれば、当然のことながら、みなさんの点数は上がる。落第することもない。
学生が予習する、復習をする、そういった取り組みも、先生が一つの授業にどれだけ時間をかけて取り組んだかの結果です。「最近の学生は予習も復習もしない」と嘆く大学の先生がいますが、自分がまともな授業準備もしていないのに、学生が予習・復習するはずがない。
2)授業の「つまらない」「わからない」は声に出して、授業を止(と)めてください。
だから、授業が「つまらない」、授業が「わからない」、そう思った時は、遠慮せず、授業中そう言って下さい。そう叫んでください。先生の授業をそこで止(と)めてください。総合環境学部の先生は、必ずそこで立ち止まって、みなさんの声に耳を傾けてくれます。
「わからない」ことは、学生のみなさんの責任ではありません。というのも、大学の授業は、塾も家庭教師も存在せず、参考書も教科書もないほどに新しいことばかりを学ぶところだからです。専門分野の研究は日進月歩です。その世界で、その先端に立つその先生しかわかっていないことを学ぶところが大学という学校です。それが、大学が「最高学府」と言われる意味です。
3)大学は最先端を学ぶ場所 ― 大学の先生の重い役割
だから大学の先生は、塾の先生でもあり、家庭教師の先生でもあり、参考書も教科書も自分で書き下ろすしかないのです。教室で起こるすべてのことに、大学の先生は責任を待たねばならない。
この学部の先生は、90分一回の授業で2,500字の授業概要(シラバス)、10,000字の文字教材を用意して授業に臨んでいます※。自分一人ですべての役割を担わなくてはならない先生を「大学の先生」と言うのです。
※通常の大学では一科目(90分×15回)一回で50字程度の授業概要、教材としてあるのは一回1,000字くらいのPowerPointだけです。一回90分の授業で大学の先生が話す文字数は20,000字~25,000字。授業概要100~200字と1,000字の教材だけでは、毎回出席しても何を勉強したらいいのかさっぱりわかりません。ちょっと古い情報ですが2014年『大学評価研究第13号』(大学基準協会)では、とある大学(「4学部7学科26コースからなる総合大学、学生数は学部と大学院を合わせて約1万人」の大規模有名大学)一科目(90分×15回)あたりのシラバス平均総文字数は711字と報告されています(今では1,000字くらいになっていると思われます)。これで言えば、一回の授業での〝概要〟は50字から多くても70字もないことになります。これでは生成AIを導入しても正確な模擬試験は出来ません(生成AIを活用した模擬試験作成については後述します)。
先生が、学生の「わかる」ことのすべての責任を持つ学校が大学です。だから学生のみなさんは、大学で学ぶことの自信と誇りをもって「わからない」と叫んでいい(※)。その「わからない」に全力でもって応え続けるのが本学、本学部の教育です。
※なお、本学では、「わからない」と大きな声を上げることができない学生のために、期中アンケートを毎学期取っています。前期授業(4月~7月)の場合、6月の前半にアンケートを取ります。期中に取るのは、「わからない」と授業が終わって大学側や先生が知っても遅いからです。授業実施期間の中間に「わからない」というアンケートを取るのは全国の大学で本学だけです。そのアンケートの時にはしっかり授業の不満を書き込んで下さい。ただちに後半の授業で「わかる」改善を進めます。
※本文中に●が続く場合は、その前の語句に打たれた傍点(ルビ点)を意味しています。あしからず。
●本学の教育の特徴(2) ― 生成AI活用について
1)生成AIの全学導入 ― 生成AIが前提する実社会のスキルレベルと新たな学びのスタイル
2025年4月から本学全学部、全専任教員と全学生に生成AI(ChatGPT Education)を導入します。全学導入は日本の大学で初めての試みになります。すでに実務の現場では、当たり前のように生成AIを使った情報収集、プレゼンを含めた文書処理、画像処理などが行われています。従来の〝検索〟によるそれらの仕事の何倍も効率性、有効性の高い仕事術が一般化しつつあります。みなさんが卒業する頃には、そのスピードと仕事量、つまり両者相俟って仕事の高度な質を前提する能力が当たり前のように求められるようになります。
それは、同時に勉強の仕方についても、スピードと勉強量、そしてその質を格段に上げる方法を考えなければならないということです。すでに大学教員の研究では当たり前になりつつある生成AIを学生の日常の授業でも導入したのが本学の、日本初の新しい試みです。
2)活用の中心は「期末試験対策」― 「テストワーク」で見えてくるシラバスと教材の本質
本学の生成AIの活用の眼目は、ただ一つ、期末試験対策です。大学を卒業するには、一つ一つの科目の期末試験に合格すること、100点満点で60点以上取ることが必須の条件です。毎日毎回の授業に全回出席して、しっかり授業を聴き、ノートを取って授業に臨んでも、肝心の期末試験で〈点数〉が取れないと卒業できません。しっかり授業を聴いていたつもりでも〈点数〉が取れない理由は、毎回の授業のポイント、先生の話のどこが重要な部分かを把握できていないからです。コマシラバスをしっかり読むこと、教材をしっかり読むことができていないからです。しかし読んだつもりでも読めていないことがあります。そんなときに、そのコマシラバスや教材を生成AIに読み込ませて、自分で模擬試験をくり返すこと、これを、本学では生成AI導入の最大のメリットとしています。
「自分で模擬試験をくり返すこと」を、本学では「テストワーク」と呼びます。「テストワーク」による自己模擬試験を受けてはじめて、何がコマシラバスや教材に書かれていることなのかを実践的に(●●●●)知ることができます。読み切るのに時間がかかる12,500字も、逆に「テストワーク」からアプローチすれば、読みやすくなります。〈試験〉とは、コマシラバスや教材に込めた先生の〝本心〟が現れる場所です。先生の〝意図〟もここにあったのかと。そこから12,500字の授業資料にアプローチできます。
3)高精度の教材で実現する高度な学習 ― 生成AIによる多様で多彩な支援機能
このことができる条件は、ただ一つ、一回90分の授業コマで、先生の教えたいこと、伝えたいことの内容が前もって皆さんに開示されているかどうかにかかっています。シラバスと教材だけで90分一回、12,500字以上の授業内容・解説が開示されているからこそ、それを読み込ませ模擬試験を生成させることが可能になるのです。あっても2,000文字くらいしかない他の大学のシラバスや教材だけでは、まともな模擬試験が出来ません。先生の〝本心〟も〝意図〟も正確には見えてこない。
コマシラバス、コマ授業教材合わせて12,500字を前提とした生成AI「テストワーク」なら無限に多様に、そして難易度別、テーマ別にくり返しくり返し模擬試験を作り出せますし、解答解説もわかるまで付けてくれますから、先生の〝本心〟も〝意図〟もしっかり理解して、安心して期末試験に臨むことができます。予習復習に最適なツールとなります。そして「ゼミスタジオ」(後述)で、学生同士でお互いに作った模擬試験を交換しながら勉強することもできます。
4)知識の定着と反復学習の重要性 ― 教材の再理解と生成AIによる深掘り学習
一回良い点数を取っても、数日経って「テストワーク」したらまた忘れていたというような場合にもいつでもどこでも何回でも付き合ってくれる生成AIは、そういった知識・スキルの定着にも役立ちます。期末試験は4ヶ月もの期間全体(高校のように「中間テスト」というものは大学には存在しません)で学んだことをたった一日の90分の短い時間で測るものです。先生の作る小テストなどを待っていても(●●●●●●)、知識・スキルの定着は進まない。コマシラバスや教材から、何度も何度もテストやその解答解説を「生成」させることによって、4ヶ月の長い時間が「いつでもどこでも」再現できるようになります。
そういった「テストワーク」において、一つの科目の一つのコマシラバス、一つの教材(それらの中の一つの語句、一つのセンテンス、一つの段落、一つの引用著作)の中にも、色々な学習課題が潜んでいることに気付いていきます。それぞれの単位(語句、センテンス、段落、著作など)を生成AIに読み込ませて、「これをもっとわかりやすく教えて」「もっと深く教えて」と聞けば数秒で何でも教えてくれるからです。テキストには表れていないこと、たとえば、どんな本を読めばもっと深く学ぶことができるのかまで生成AIは24時間教えてくれます。またその本にどんなことが書いてあるのか、その著者自身がどんな考え方に影響されてその本を書いているのかまで細かく教えてくれます。期末試験など恐れることなく安心して4年間学べる体制になっています。
5)「ゼミスタジオ」での協働学習環境
総合環境学部の新校舎3階にフィールド自然学科の先生たちの研究室、4階に環境情報学科の先生たちの研究室がありますが、それぞれの研究室の前には、「ゼミスタジオ」と呼んでいる、学生が自由に集まって学生同士で「テストワーク」できるスペースを用意しています。研究室のドアとドアを取り巻く壁は、すべてガラス張りになっていますから、ゼミスタジオにおいて学生と先生とは気軽に自由に行き来できるようになっています。生成AI活用で戸惑うこともあると思いますが(たとえば、〝この〟模擬試験を解ければ、ほんとに期末試験は大丈夫かなど)、いつでも相談できるフロアーが新校舎3階、4階の全フロアーです。教室実習や野外実習で学んでいたことの整理(フィールド自然学科の場合)、授業で学んだことを活かしてのあらたなアプリケーション作成(環境情報学科の場合)など、教室内でのコミュニケーションとはまた別のチャンネルによるコミュニケーションが生まれるのもこのゼミスタジオ。先生と学生、また学生同士が教室授業を超えて交流できる生成AIフロアーです。
授業とは別に開催される〈教員サークル〉もこの「ゼミスタジオ」を中心に展開します(一部、野外演習)。2025年4月時点で開設予定の教員サークルは以下のものを予定しています。括弧内は教員名。
※〈教員サークル〉とは、先生が主催するクラブ活動のようなものです。学生は自由参加です。カリキュラムや科目では学べない自由なテーマを先生が選んで(または集まった学生の希望を反映しながら)運営するクラブ活動だと思ってください。
◉フィールド自然学科
持続可能な農業サークル(甲斐)
干潟・マングローブ生態系研究会(後藤)
マイクロバイオサークル(中島)
探鳥サークル(西川)
昆虫学研究サークル(久松)
写真サークル(松原)
ダーウィンはどこにいる?(三中)
水族研究サークル(吉田)
◉環境情報学科
未来予測サークル(請園)
デジたまクリエイト!(神馬)
豆の会(須藤)
発想法探求サークル(深澤)
data Rookies(藤浪)
ドローン飛行隊サークル(山浦)
ゲーム開発サークル(渡辺)
※写真は4階環境情報学科研究室&「ゼミスタジオ」。先生の研究室のドアと壁がガラスで透明になっていること。研究室の前に学生教員が集まって学習できるフロアーがあることがこの学科の新校舎の特徴。カリキュラムや教育方法が斬新なだけではなく、校舎設計も最新の教育思想に基づいて学習しやすい環境が整っています。3階には、同じ配置でフィールド自然学科の「ゼミスタジオ」があります。
●本学部本学科の一回分「90分」の授業において先生が準備するもの
【1】授業概要(コマシラバス)
1)シラバスの語源と意味
先の本文でも授業概要=シラバス(コマシラバス)という言葉が出てきたと思いますが、大学の授業では、「シラバス(syllabus)」というものが存在しています。
※この「シラバス」という言葉は、古代ラテン語の「sittybas」(書物のラベルや目録を指す言葉)から由来しています。ところが、ラテン文献の写本で、この「sittybas」が誤って「syllabus」と写されてしまいました(オックスフォード英語辞典OEDによる)。その後、その誤植が広まり、「syllabus」が「講義の概要」や「学習内容一覧」の意味で定着したものです。
高校までのように既存の教科書を使う授業がほとんどない大学の授業では、何を学ぶのかが前もって(●●●●)わからないため、先生自身が、その科目で何を学べるのかを記した文書を「シラバス」と呼んで、毎年の年度の初めに公開します。
2)シラバス文字量とその意義
だいたいどこの大学でも一回90分で100~200字、一科目全体(90分×15回の場合)で(多くても)平均1,500字くらいのシラバスを用意して授業をやっています。
一回90分の授業で、大学の先生が話す文字量は20,000~25,000字もあります。先生は90分一回の授業で学ぶことを皆さんに伝えるのに20,000~25,000字も話すのです。それを100字にも満たない文字数でみなさんに伝えるのは至難の業です。
本学では、90分一回の授業で2,500字のシラバスを用意しています※。この分量のシラバスであれば、予習にも復習の学習目標にも、場合によってはやむを得ぬ事情で欠席しても何を学ぶべきなのかが「わかる」シラバスになっています。
※一回の授業コマ(=90分)毎に詳細なシラバスを用意しているため、本学では「コマシラバス」と呼んでいます。
3)シラバス調査結果とその問題点
先にも書いたように大きな大学でも90分一回の授業でのシラバスは100字前後しかありません。授業準備(先生にとっての授業予習)の態勢、授業への、先生の取り組みの熱心さは、シラバスの文字量が左右します。何を教えるべきか、何を伝えたいのか、それをまず公式的な公開形式で書き記してしておかないと、先生は行き当たりばったりの授業をやるだけのことになります。教科書がないため、行き当たりばったりかどうかさえ、みなさん学生にはわからない。これでは、みなさん学生は、安心して授業を受けることができない。予復習ももちろんできません。
先ほど示した、一回のシラバスが100字もない大学(誰もが知っている有名大学)のシラバス文字数調査では、「授業方針」を示す文字数平均は134文字(一科目全体15回分)、その標準偏差※は126。これで言うと、個々のシラバスの文字数まではわからないものの、科目(担当教員)によって「授業方針」の説明文字数に大きなバラツキがあり、少ない場合は、134文字-100(標準偏差126×0.7978)=34文字程度しか「授業方針」が書かれていないことになります。極端に言えば「授業方針」が書かれていないシラバスが存在しているということです。同じく「成績評価方法」を示す文字数は、これも個々のシラバスの文字数まではわかりませんが、平均で69文字、その標準偏差は51。少ない場合は、69文字-40(標準偏差51×0.7978)=29文字程度になります。こんな状態では、その科目を受講したら、どんな場合に合格して、どんな場合に不合格になるのかさっぱりわかりません。みなさんは、手がかりのない授業を4ヶ月間(前期・後期制の場合)受け続けることになる。
※標準偏差とは、数値の集まりが平均値を挟んで、平均値より大きい範囲と平均値より小さい範囲にどれくらい広がっているかを示す指標。標準偏差が大きいほど、各数値は平均値から離れた広い範囲に散らばっていることを意味し、標準偏差が小さいほど、各数値は平均値に近い狭い範囲に集まっていることを意味します。標準偏差は、各数値の平均値からの大小差の平均によって求められます。たとえば、{4, 6}の2つの数値の集まり(たとえば、10点満点の試験で、4点取った人と6点取った人の二人がいるとしましょう)は、平均値は5(4+6=10 → 10÷2=5)になり、標準偏差は「1」(標準偏差の計算の仕方はここでは省きます)。これは平均値「5」を中心に、平均値より大きい範囲と小さい範囲に平均で1ずつ広がっているということを意味します。たいして、{3, 7}の2つの数値の集まりでは、平均値は{4, 6}と同じく「5」ですが(3+7=10 → 10÷2=5)、標準偏差は「2」になります。この場合、{3,7}は、平均値「5」を中心に、平均値より大きい範囲と小さい範囲に平均で2ずつ広がっています。{4,6}と比べると{3, 7}では標準偏差が二倍になっており、同じ平均値でも、数値の広がりが二倍になっていることを意味します。0点と100点の平均点は50点ですが、40点と60点の平均点も同じく50点です。みなさんおなじみの「平均点」という指標では、この両者の点数のバラツキは見えないことになります(この場合の「平均」を「算術平均」と言います)。平均点ではみえない点数の広がりを示すのが「標準偏差」(「幾何平均」で求めるバラツキ)です。この言葉の厳密な意味と計算方法は大学の授業でも学ぶことになります。ただし、この事例の分布は値が2個しかないので、本来の分布の話ではありません。みなさんがよく知っている「平均点」 はただちに分布の在り方を説明するものではないということに留めてください。そもそもその分布が正規分布なのかどうか、そうでない場合のチェビシェフの不等式による計算など細かく話すと難しい問題がたくさんありますが、そういった話は、大学に入ってから専門的に学んでください。
こんな大学が、全国の大学にはまだまだたくさんあります。最高学府である大学は、最先端の論文、国際的な論文に基づいて、新しい、今議論されている内容に基づいて授業を行うところです。そのため〈教科書〉というものが存在していない。その分、〝自由な〟授業に充ちていますが、その分、授業を担当する先生は、しっかりその内容や目標を学生に伝える必要がある。それが大学のみに存在する〈シラバス〉という言葉の意味です。〝自由な〟分、しかし大学によって先生が書き込む文字数もまちまちです。本学本学部の教員は、90分一コマ2,500字以上のコマシラバスを用意して、入念な授業準備をして授業に臨んでいます。
【2】文字教材について
1)スライド教材の現状と特徴 ― テキスト圧縮の限界と内容のギャップ
〈教科書〉がない分、大学の先生が使う授業の道具は、PowerPointかKeynoteというスライド型のプレゼンツールです。電子版の紙芝居(あるいは、板書の電子版)と言ってもいいものです。紙で言えばA4用紙の半分くらいの容量のスライドを一枚一枚めくって授業を進めていく感じです。一回の授業で先生たちは、10枚~30枚くらいのスライドをめくって授業を進めていきます。この枚数も先生によってまちまち(いいかげん)です。
たとえば、先ほど生成AIの話をしましたが、この章は全部で約3,000字あります。90分授業で先生が話す文字量の約6分の一の内容が書かれています。これをPowerPointでスライド化するとだいたい以下のような小見出しを拾う箇条書きになります※。
※「総合環境学部の教育の特徴(2) ― 生成AI活用」という先の章をPowerPointでスライド化した場合の箇条書き例
1)生成AIの全学導入 ― 生成AIが前提する実社会のスキルレベルと新たな学びのスタイル
2)活用の中心は「期末試験対策」― 「テストワーク」で見えてくる教材の本質
3)高精度の教材で実現する高度な学習 ― 生成AIによる多様で多彩な支援機能
4)知識の定着と反復学習の重要性 ― 教材の再理解と生成AIによる深掘り学習
5)「ゼミスタジオ」での協働学習環境
パワポとは箇条書きのスライドを集めたものです。このスライドの箇条書きの文字総数は170字前後。実際の授業において先生が言いたいことは3,000字あるのに、みなさん学生の前に渡る資料は170字に圧縮されて、しかも教科書もない。ほとんどの大学の授業では、3,000字の文字資料なしに、この一枚のスライドで授業を終えているわけです。3,000字もある内容を、170文字のPowerPointで理解し、期末試験を突破することは不可能です。生成AIにかけてもその元になるデータが170文字しかないとすれば、まともな模擬試験(テストワーク)もできない。
しかし、みなさんが入学して、このスライドの授業がなされたとして、先の3,000字のテキストを生成AIに読み込ませて「テストワーク」したら、生成AI(ChatGPT)は、以下のような問題(模擬問題)を10秒足らずで作ってくれます。
【問題1】
2025年4月から本学で全学部・全専任教員・全学生に導入される生成AIの名称は何ですか?
A. ChatGPT Universal
B. ChatGPT Education
C. AI Learning Pro
D. EduAI Chat
E. Campus AI System
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【問題2】
生成AIの全学導入が実社会で既に普及している技術と比べてもたらすメリットとして、本文で強調されているのはどれですか?
A. コミュニケーションの改善
B. 情報収集や文書・画像処理の効率性の向上
C. 授業出席率の向上
D. 学費の削減
E. 講義内容の自動記録
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【問題3】
本学で生成AIを活用する中心的な目的として明示されているのは何ですか?
A. 授業資料の自動生成
B. 学生間のディスカッション促進
C. 期末試験対策
D. 教員の研究サポート
E. 入試対策の強化
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【問題4】
「テストワーク」とは、生成AIを利用してどのような学習活動を行うことを指していますか?
A. AIによるリアルタイムの模擬試験作成と自己評価
B. 教員が作成する問題集の自動採点
C. 学生同士でのオンラインディスカッション
D. 授業資料の自動翻訳
E. AIが行うプレゼンテーションの模擬練習
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【問題5】
「テストワーク」において、12,500字以上の授業資料が重要な理由は何ですか?
A. 長文でなければ生成AIが動作しないから
B. 詳細な教材内容を生成AIに読み込ませることで、より正確な模擬試験が作成できるから
C. 学生が文章量に慣れるため
D. 教材の難易度を均一に保つため
E. 生成AIの学習データが限定されているから
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【問題6】
生成AIによる「テストワーク」がもたらす、試験前の準備における大きな効果として、本文で述べられていないものはどれですか?
A. 自己模擬試験を何度でも繰り返せる
B. 教材の本質や教員の〝本心〟が理解できる
C. 試験対策のスピードと質が向上する
D. 授業中の出席点が自動的に加算される
E. 予習復習に最適なツールとなる
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【問題7】
生成AIを活用した学習において、知識の定着と反復学習が強化される理由として適切なものはどれですか?
A. 生成AIが学習記録を自動で保存するため
B. いつでもどこでも同じ教材から模擬試験を生成し、予習・復習が容易になるため
C. 授業後のディスカッションが促進されるため
D. 学生同士での競争が活発になるため
E. 教員が直接解説を加える機会が増えるため
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【問題8】
ゼミスタジオの特徴として、本文で述べられている内容はどれですか?
A. 学生が自主的に研究テーマを決める教室
B. 教員と学生が自由に行き来でき、模擬試験交換などの協働学習ができるスペース
C. 生成AIによる自動講義が常時行われるスペース
D. オンライン会議専用の教室
E. 試験結果の自動分析を行う研究室
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【問題9】
ゼミスタジオを中心とした教員サークルの目的として正しいものはどれですか?
A. カリキュラムに沿った必修科目の復習
B. 自由なテーマで学生の希望を反映したクラブ活動の運営
C. 生成AIの運用マニュアル作成
D. 期末試験の採点基準の見直し
E. 学生の出席率向上のための講義補助
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【問題10】
シラバスや教材として提示される90分間の授業内容が、生成AIによる模擬試験生成の前提条件となる理由はどれですか?
A. 授業時間が短いので、内容を圧縮して理解するため
B. 90分間の授業内容が、詳細な解説と講師の〝本心〟を十分に含むから
C. 90分という時間設定が学生の集中力を高めるため
D. 授業内容が他大学よりも多く、生成AIの学習データとなるため
E. 授業資料が必ずしも書面で提供されるとは限らないため
さらに、「これらの10問の問いに解答と解説を付けてください」と生成AIに頼むと、以下のような解答と解説が数秒で生成されます。
【問題1】
正解:B. ChatGPT Education
解説:
本文では、2025年4月から全学部・全専任教員・全学生に導入される生成AIの名称として「ChatGPT Education」が明記されています。
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【問題2】
正解:B. 情報収集や文書・画像処理の効率性の向上
解説:
文章では、生成AIの活用により、従来の検索方法と比べて情報収集や文書・画像処理が何倍も効率的に行える点が強調されています。他の選択肢は本文に記載がありません。
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【問題3】
正解:C. 期末試験対策
解説:
本文では、生成AIの活用の焦点が「期末試験対策」であると明示されています。試験対策のために、模擬試験(テストワーク)を繰り返すことが導入の狙いです。
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【問題4】
正解:A. AIによるリアルタイムの模擬試験作成と自己評価
解説:
「テストワーク」とは、シラバスや教材を生成AIに読み込ませ、自分で模擬試験を何度も生成し、その結果を通じて理解度を確認する学習方法を指します。他の選択肢は本文の説明と一致しません。
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【問題5】
正解:B. 詳細な教材内容を生成AIに読み込ませることで、より正確な模擬試験が作成できるから
解説:
90分の授業ごとに提供される12,500字以上のシラバスや教材があることで、生成AIが十分な情報を得て模擬試験を生成でき、教員の意図や本心が反映された問題が作成されると説明されています。
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【問題6】
正解:D. 授業中の出席点が自動的に加算される
解説:
本文では、「テストワーク」による自己模擬試験で知識の定着や試験対策の効果が説明されていますが、授業中の出席点の自動加算については一切触れられていません。
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【問題7】
正解:B. いつでもどこでも同じ教材から模擬試験を生成し、予習・復習が容易になるため
解説:
生成AIは、同じ教材から何度も模擬試験を作成できるため、知識やスキルの反復学習と定着が容易になるという点が本文で強調されています。
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【問題8】
正解:B. 教員と学生が自由に行き来でき、模擬試験交換などの協働学習ができるスペース
解説:
ゼミスタジオは、ガラス張りの構造により教員と学生が自由に交流でき、生成AIを活用した模擬試験の交換や協働学習が可能な環境であることが記されています。
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【問題9】
正解:B. 自由なテーマで学生の希望を反映したクラブ活動の運営
解説:
本文によれば、ゼミスタジオを中心に開催される教員サークルは、カリキュラムでは学べない自由なテーマに基づいて、学生の希望を取り入れたクラブ活動のようなものと説明されています。
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【問題10】
正解:B. 90分間の授業内容が、詳細な解説と講師の〝本心〟を十分に含むから
解説:
生成AIで正確な模擬試験を生成するためには、90分間の授業で提供される12,500字以上のシラバスや教材が必要です。これにより、講師の伝えたい内容(本心・意図)が十分に伝えられ、生成AIがより精度の高い問題を作成できるとされています。
こんなふうに「テストワーク」は進行します。「テストワーク」の本質は、〈試す〉ことです。「試験」という言葉は、「科挙」試験などでも使われていた中国語に起源を持ちますが、「試」「験」もどちらも「ためす」という意味です。平たく言えば、自分の能力を実際にためしてみるということです。科挙などの試験は受験試験と同じで、〝落とす〟〝選抜する〟ためにのみ意味を持つ試験ですが、「テストワーク」の模擬試験は、自分の弱点や誤解を正すためのものです。「テストワーク」は正解を求めるための試験、授業や先生の解説の代わりをする試験です。授業に出席して授業を聴くのと同じくらい重要なことが、この「テストワーク」です。
これまで、「試験」というものは、「模擬試験」と言われるものも含めて、先生が作り学生に課すもの、学生がそれを待って(●●●)受験するものと考えられてきました。しかし待つばかりでは、みなさん学生は〈試験〉を恐れるばかりです。「何が出るかわからない」からです。しかし今回の生成AIは、そんな受動的なテスト体制をくつがえすものです。生成AIは先生の作るテストより精度が高い状態で何度でもどんな角度からでもテストを「生成」してくれます。「テストワーク」が一定の回数を超えれば、もはや先生が作った本試験が「いちばん簡単だった」というくらいに、授業理解度は増します。友達同士でもゲームをするように「テストワーク」を楽しんで、一科目も落伍せず、4年間を安心して過ごしてください。
2)授業ノートの役割とその課題 ― 充分な分量の文字教材の必要性
この生成AI模擬試験の答えを得るには、3,000字のテキストが与えられている限りは、簡単です。読めば答えは書いてある。しかし通常の大学の授業では3,000字程度のテキストでさえ、配布されていません。だから、授業の前後、期末試験前には、PowerPointの170字の箇条書きと3,000字の内容との溝(箇条書きと箇条書きとの間にある溝)をみなさん学生自身が埋める必要が出てきます。
PowerPointの箇条書きは、その授業の内容ではなくて、それ「について」先生が今から語り始めるテーマが書かれているだけです。本当に大切なものは、「テーマ」ではなくて、それ「について」話す内容です。ところが、その大切な内容が語りのトークに流れていって、授業が終わった後には何も残っていない。
この溝を埋めるものを従来「授業ノート(あるいは講義ノート」と呼んできたわけです。しかし170字と3,000字との間を埋めるノートって、いったいどれだけ書き込まなくてはいけないノートなんでしょう。2,000字の膨大なノートを取ったとしても、大事な先生のトークをちょっと聞き逃しただけで、先の10問の試験問題に答えられないかもしれません。PowerPointと先生のトークと学生のノートを取る力に依存している限りは、どうしても期末試験の不合格者が増えるわけです。
そのため、本学総合環境学部では、少なくとも90分10,000字程度(10,000字であっても、先生が一授業で話す総文字数20,000字の半分ですが)の文字教材をすべての必修授業で用意して授業に臨んでいます。10,000字あれば、その文字数の外から試験に出る内容は一切ありません。必ず、その文章(文字数)の中に、試験の問いと解答は存在しています。むしろその文章教材の中から試験問題は作られます。それをお約束しているのが、本学総合環境学部の授業です。先生が他のどの大学にも増してかなりの時間を割いて、入念に書き込んだ文字教材をしっかり読み込んでください。そこに先生が授業で伝えたいすべてのことが書き込まれています。
【3】小テストについて
1)「小テスト」の意味
本学では、90分の授業一回毎に、10問5択の試験が、授業時間の最後10分を使って実施されます。この「小テスト」は、いわゆる「試験」ではありません。この試験に何回0点を取っても、不合格ということはありません。この試験は、先生が、〝この〟授業でどれくらい学生に伝えたいことが伝わったのかを調査する試験です。言わば、先生への試験、先生に課せられた試験です。
ただし、学生の皆さんに関係ないというわけではありません。わかった気になって聞いていても、試験(小テスト)を受けてみると全く点数が取れない場合がいくらでもあります。それは先生も同じで、授業で手応えがあり、「満足度」も高い授業をやっても試験(小テスト、期末試験)で不合格者を多く出す場合があるのと同じです。
2)小テストは本番の期末試験の模擬試験
この小テストの意味は、先生にとっては、伝わり具合のテストですが、学生にとっては、期末試験で先生がどんな試験問題を出すのかの重要な手がかりをなすものです。それゆえ、成績に直接関わりはありませんが、期末試験を作る先生自身が行う模擬試験の意味を持ちます。
小テストは、即時にコンピュータで自動採点されて、点数結果がわかります。平均点、偏差値、受講クラスの中の順位もわかります。そのデータをみれば、同じ授業を聴いて、どれくらいの受講能力を自分が有しているかもわかりますが、ただしそれは成績としては記録されません。これらのデータは、先生の授業への取り組みを総括するものとしてのみ機能しています。
小テストの平均点が低かったりすると、先生は、次回の授業のやり方を「もっとわかりやすく」と変えようとします。その意味では、小テストはみなさん学生の成績には直接関係ありませんが、次回の授業がもっとわかりやすくなるという点では、期末試験の点数と関係しています。わかる授業が積み重なっていって初めて期末試験も無事通過できる。その上、その期末試験の予想を立てるにも、小テストは期末試験を作る先生自身が与えてくれる模擬試験ですから、とても役立ちます。先生もこの小テストの点数に一喜一憂していますが、みなさんもしっかり小テストに臨んでください。しっかり臨めば臨むほど、期末試験の点数は必ず上がります。
先生自身によるこの模擬試験としての小テストと生成AIによるみなさん自身の模擬試験(「テストワーク」)を期末本番の試験に向けてくり返し〝ワーク〟すれば、不合格科目なし、好成績の4年卒業が確実なものとなります。
以上、本学本学部の先生たちは、一回90分の授業に対して、2,500字のコマシラバス+10,000字の文字教材+10問五択の小テスト、そしてそれらのすべてを多様・多彩に活用できる生成AI(ChatGPT)を用意して臨んでいます。みなさんのどんな「わからない」にも応えうる体制です。安心して4年間のキャンパスライフを満喫してください。
●学生のみなさんに御願いすること ― 授業を休まないこと
先生は、一回90分の授業で、コマシラバスを含めて12,500文字数の授業資料を用意して授業に臨んでいます。他の大学に比べれば、一回90分の授業で、この文字数の授業資料を用意し、また生成AIの多様・多彩な「テストワーク」を駆使できる本学は、やむを得ない事情で授業を欠席しても〝なんとかなる〟部分も多いかと思います。
しかし、大学の学習で一番大切なことは、先生と親しくなることです。世界の最先端の学識を有した先生と出会う機会、日常的に出会う機会は、生涯の中で、この大学の四年間にしかありません。
テキスト(シラバス、小テスト、文字教材など)だけならどんな機会にでも出会えますが、その書き手(著者)が自分の授業担当の先生でもあるという大学の環境は、これからの四年間にしかないものなのです。いつでもその書かれたものについて質問することができる。なぜこんなことを書くのですかと尋(たず)ねることも出来る。それが大学という環境です。
一回分のテキストの文字数(12,500字)×15回の一科目授業で、187,500字のテキストというのは、岩波新書一冊~二冊分の文字数になります。前期一学期間に5科目~8科目くらいの授業を履修することになりますから、みなさんは、一学期間毎に10冊以上の新書を読んだことになります。これは全国の大学生の中でも、一冊の本を読み切った冊数としては突出した〝読書量〟です。大変な読書量ですが、それが簡単に可能なのは、そのテキストのすべてに書き手(著者)がいる。書き手がそばにいて一緒に読んでくれるからです。
これが大学の授業というものです。だからどんなに難しい文章でも読めるようになる。それが授業に出席する意味です。授業に出席する前、授業に出席した後、みなさんに与えられているテキスト(授業のシラバス、小テスト、文字教材、そして生成AIによる「テストワーク」における模擬試験)の意味は、授業の中での先生の解説によって、新しい息吹をもって何度も甦ります。意味さえ変わるように甦(よみがえ)ります。「そういう意味だったのか」と甦ります。高校時代までの俳句や短歌の意味が、先生の解説によってがらっと変わったように、大学の授業に登場する専門的なテキストの意味は、授業に出る度に、そして先生の研究室を訪れる度に変わるのです。文字面(づら)は同じでも変わるのです。それが専門的なテキストを〈読む〉ということの意味です。専門的なテキストとは、長文の俳句、短歌と同じです。先生なしには読めない。
大学の授業のことを〈講義〉と呼びます。〈講義lecture〉は、ラテン語語源で〝読むことlecutura〟 を意味します※。その意味で、大学の授業に毎日出席することは、まさに〈読む〉ためにこそ重要ということになります。自宅に引きこもっていてはテキストの意味は見えてきません。
※動詞legere(読む)の過去分詞lectusに由来。そのlectusに動作や状態を示す接尾語-turaが付いて、lectura(読むこと)になりました。接尾語-turaが付くときに、lectusの-sが取れるのは文法上の語尾の-sだからです。語幹はlectuであり、その語幹に接尾語-turaが付いて、lecturaになりました。
こうして授業の前後で変わるテキストの意味を体験して、はじめてもろもろの文書の意味を、より広く、より深く読めるようになっていきます。インターネット時代は、画像や音に溢れた社会のようにみえますが、それ以上に文書にまみれた社会です。みなさんが4年後就職する実務の社会は文書処理の社会です。上級職になるほど文書処理の能力が問われるようになります。高学歴の実務者には上級職者が多いというのは※、大学四年間でたくさんのテキストを読む訓練をしたからです。その訓練は大学4年間の中でしか体験できない訓練です。貴重な訓練です。
※たとえば、総務省「就業構造基本調査」、厚労省「賃金構造基本統計調査」、「高学歴化と職業構成の変容に関する基礎分析」(2018年)古田和久など。
そしてそれが大学の先生と親しくなることの意味です。単に毎日の授業に出ることではなくて、毎日のように先生の研究室に訪れることの意味です。大学の先生の〝部屋〟が、大部屋としての「職員室」ではなくて、一人一人の先生が個別単独の部屋として〈研究室〉を有すること、その前方に「ゼミスタジオ」を有しているのは、みなさんと、授業の前後で、個別にテキストの意味について語ることのできる機会を持つためです。そのためにも、テキストそのもので安住することなく、必ず授業に出席するようにしてください。必ず先生と接触する機会を持ってください。
本学では、期末試験に合格するだけではなく、その期末試験を受験できることの条件を出席数において定めています。いわゆる期末試験受験資格というものです。授業も教材も単に点数を取るためのものではなく、先生の生きた解説(点数の意味)を聞くことが重要というのが、この受験資格の意義です。
総合環境学部においては、
15回の科目の場合、通算4回以上欠席した学生
30回の科目の場合、通算7回以上欠席した学生
45回の科目の場合、通算8回以上欠席した学生
60回の科目の場合、通算9回以上欠席した学生
90回の科目の場合、通算10回以上欠席した学生
これらの学生は、期末試験を受験できなくなります※。
※「15回の授業」というのは、週に一回の90分授業が4ヶ月にわたって15回開講される科目です。「30回の授業」は、週に二回の90分の授業、45回の授業は、週に3回の授業、60回の授業は、週に4回の授業、90回の授業は、週に6回の授業となります。
この受験資格の有無に関わる欠席数条件は、〝休んでもいい〟欠席許容数ではありません。毎回出席しようと思っていても、長い履修期間の4ヶ月間には予測できない色々なことが起こります。風邪を引いて休んでも(指定伝染病による欠席は除きます)、この許容数は減っていきます。交通事故で入院してもこの許容数は減っていきます。その種の不意の〝事情〟を考慮して設定したものが、この欠席許容数です。
この許容数は、したがって、全回出席を前提しています。風邪(病欠)を含めて何が起こるかわからない四ヶ月の授業出席は、全回出席することを前提しないと、期末試験受験資格を不本意な仕方で失うことになります。不合格点を取る前に試験さえ受けられない。本学本学部の先生は全力で授業に取り組んでいます。授業に不安なことは何もありません。けれども、そんな先生の取り組みも、学生の皆さんが出席してくれて初めて意味を持ちます。
本学本学部が学生の皆さんに御願いすることは、ただ一つ、大切な、シルクのような繊細な授業を休まないでいただきたいということです。くれぐれもよろしくお願いします。

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