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 『時代おくれの酒場』と吉幾三 2002年12月07日

帰りのクルマの中がまたいけなかった。かのマイミュージックサーバー(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=10)から聞こえてきたのが、加藤登紀子の『時代おくれの酒場』(http://www.tsutaya.co.jp/item/music/view_m.zhtml?pdid=20102273)。余計に悲しくなる。この歌は、演歌ではない。「背広姿の男たち」が歌われているからだ。

「時代おくれのこの酒場に 今夜もやって来るのは ちょっと疲れた男たち 風の寒さをしのばせた 背広姿の男たち」。なかなかいいではないか(私は加藤登紀子についてはこの歌しか認めない)。吉幾三(http://www.tsutaya.co.jp/item/music/view_m.zhtml?pdid=20147902)より、さらに左(左翼)にあるのが、この『時代おくれの酒場』だ。演歌ニュートラルの極点が小林幸子の『おもいで酒』(http://www.tsutaya.co.jp/item/music/view_m.zhtml?pdid=20017400)だとしたら、その左が吉幾三、最左翼が「時代おくれの酒場」というところだろう。

ところで吉幾三はなぜ今年の「紅白歌合戦」に選ばれなかったのだろう(http://www1.plala.or.jp/nakaatsu/index.html)。年に一回のこの紅白だけに歌手生命をかけていた吉幾三をなぜNHKは選ばない。私は紅白の吉幾三がたまらなく好きだった。吉幾三は今頃「あーどこかに何かありそうなそんな気がして 俺はこんな所にいつまでもいるんじゃないと」と『時代おくれの酒場』を歌っているかもしれない。「時代おくれのこの酒場に 今夜もやってくるのは 違う明日を待つ男 今夜もやってくるのは 昨日を捨てた男たち」と歌っているかもしれない。

そう言えば、島倉千代子が「人生いろいろ」(http://www.tsutaya.co.jp/item/music/view_m.zhtml?pdid=20051661)を歌ったのは、紅白を落とされたのがきっかけだった。「人生いろいろ」なことがあるという内実は、紅白の落選だったのである。絶望的に落ち込んでいる島倉を気遣って、浜口庫之助(http://www.tsutaya.co.jp/item/music/view_m.zhtml?pdid=20049694 ― この人は通俗性の天才だと思う) が起死回生の歌を仕立て上げたのである。それを思ってこの歌を聞くといつも私は泣いてしまう。吉幾三はいつも紅白で歌うとき泣いているが、来年の紅白の涙はどんな涙なのだろう。それを思うだけでも胸が熱い。

今から20年以上前、修士論文が書けなくて悶々としながら紅白歌合戦を観ていたら、なんと(そんなときに限って)歌手が登場するたびに出身の都道府県が表示されるではないか。“故郷に錦を飾る”歌手の顔が誇らしげに見える。論文が書けない自分の無力が情けなく思えてくる。涙が出てきて止まらない。僕も修士論文の紅白歌合戦に出てやるぞと思いながら自分の熱い涙になぜか力がこもる。体が震える。そういった12月は切ない胸騒ぎの12月なのである。島倉千代子、万歳。吉幾三、頑張れ。

投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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