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 小泉「郵政解散」 ― 民主党はどこへいく? 2005年08月12日

小泉解散が面白くないのは、民主党が郵政民営化反対だからだ。これまでの政権を支えてきた小泉自民党自身が、「小さな政府」を標榜しているのに、民主党は「小さな政府でも大きな政府でもない第3の道」などと言うのだから、論戦にならない。

普通、野党というものは政権党の既得権益の保守性からは自由な政策を打ち出さなければならないのに、民主党自身が(旧社会党系の)全逓労組の支持基盤から自由になれないために郵政民営化を打ち出せない。これでは政権は取れない。自民党の守旧派と同じ主張をしている野党がどうやって政権を取るというのだろうか。仮に政権を取ったとしても、自民党と何も変わりはしない。

小泉首相は、解散を決めた当日の夜の記者会見で、「郵政民営化を反対しながら、公務員を削減するなんてことがどうやって可能なのか、郵便局員を(公務員として)温存して、どうやって他の公務員を削減しろというのか、これは、単なる1法案の賛否を問うだけの解散ではないのだ」と解散動機を語った。最近の政治家にはない立派な演説だった。

このことに民主党は何も応えていない。岡田克也民主党党首は「郵政民営化だけが解散テーマではない」と言い続けているが、なぜ、このテーマに正面切って応えられないのか。逃げているとしか思えない。

結局、旧社会党系、旧自民党系の中選挙区型対立の構図をいまだに出ようとしていないグループが民営化「反対」で同じ主張をすることになってしまった。

今回の郵政6法案の中身で言えば、中身はほとんどない。反対派も賛成派もその論拠をほとんど失うくらいに中身はない。賛成派にも民営化反対論は渦巻いているし、反対派にも民営化自身には反対ではない、という賛成派はいくらでもいる(このばらつき方は民主党内とほとんど同じだ)。だからこそ、小泉首相は、この「反対」運動の実体は倒閣運動なのだと断じた。それはまったく正しい。

したがって「反対票」を入れた議員を小泉自民党執行部が公認しないのは当たり前。小選挙区制に、派閥は存在し得ない。「人情がない、独善的だ」と反対派は小泉を批判するが、人情がないのは小選挙区制の風土であって、党内野党は存在し得ないのが小選挙区制。伝統的な自民党が「懐が深かった」のは、中選挙区制によって一選挙区から、考えの違う多くの政権党議員が輩出されていたからにすぎない。小選挙区の今日、本気で政権党のメインの法案に反対する気なら、自民よりもさらに保守的な民主党や社民党に行くしかない。

私自身は、300兆円を越える郵貯の“民営化”がどうなるのか、わからないでいる。郵便局が民営化することには無制限で賛成だが、300兆円の郵貯は、一億総中流化現象の根拠になっていたのかもしれない。地方への“無駄な”公共投資が(政治主導で)行われることが社会福祉であるように機能したことが、日本的な下限担保の根拠になっていたものかもしれない。日本“社会主義”は、郵貯が演出したものであると言ってもよい。

300兆円が流動化することも重要だが、総中流化が社会的な流動性の根拠でもあったことを考えれば、この問題はそう単純なものではない。日本以外に(先進国で)、こんなにも中流層が肥大化している国や文化は存在していないのだから(しかも最近は格差社会が拡大しつつあるという指摘も多い中で)、この問題を考え抜くには独自の思想や科学が必要だ。

それでも、私は民主党が郵政民営化に反対することが許せない。小泉が全自民党を敵に回しても解散を決断したように、公務員をすべて敵に回しても民営化を推進する思想と根性が、なぜ民主党にないのか、それが私にはわからない。そんなことでどうやって「新しい政治」を切り開くというのか、それが私にはわからない。

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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