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 『科学的妥当性に欠ける』と言い切ることは、私にはできない」 ― その後の「インターフェロンベータ1bは日本人の再発寛解型MS患者において有効である:ランダム化された多施設研究」論 2009年11月13日

Pさんのコメントについて、逐一挙げても建設的ではないと思いますので、以下の点のみ申し上げます(from 「X」11月13日 21:34)。

Pさんは「科学的妥当性」について論じておられるのですが、現状の科学業界において「科学的妥当性」を判断する役割は学術雑誌編集部が負っています。

それは、通常2名以上の複数の査読者の判断と最終的には編集者の判断により、科学的妥当性があれば論文が掲載されるというシステムです。(ここではシステムそのものの妥当性については論じません)

したがって、Neurologyは当該論文を統計処理を含め「科学的に妥当である」と認め、この論文を受理したことになります。

ただし、Pさんが挙げたEditorial commentの中に示されているように、Western vs optic-spinal MS -Two diseases, one treatment?-という論考は2つの病態に同一の治療で良いのかについて、当該論文における有意差が(あるにしても)小さい点を鑑み、「しかしながら、OSMS/NMOの患者を抱える神経内科医は、本研究により得られた結果をこのサブグループ(OSMS)における確実な証拠として受け入れるには無理があるだろう(そうすべきではない)」と釘を刺している訳です。

なお、一つ前の訳文において「comparable」をどう捉えるかが問題でした。非常に日本語になりにくい英語で、私は一応「匹敵する」という訳語を当てましたが、これは、同じ程度としては「similar」>「comparable」であることを踏まえた上で「同様」とは言い難いので「匹敵する」という日本語を使っています。

これはもちろん、結果の有意性が少ない事を著者らは理解した上での言葉の選び方であると推察します。

私自身は、この論文を養護しなければならない立場にある訳ではありません。ただ、生命科学の業界において仕事をしている人間として、科学論文の現在のお作法に則った上で「科学的妥当性」を論じています。

もちろん、現場にいる研究者として、科学論文の現在のお作法が完璧なものではないことは承知しています。お作法があっても捏造論文が作られたという歴史はあります。しかしながら、当該論文を「科学的妥当性に欠ける」と言い切ることは、私にはできないと考えます。

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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