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 「これからの専門学校を考える」全3回研修・第一回受講者アンケート(10枚の写真付き) 2008年11月21日

昨日無事「これからの専門学校を考える」研修会を終えました。活発な議論が交わされ、有意義なものになったと思います(私が言うのも何ですが)。

一日目の研修が終わったのが夜の9:30過ぎ。5時間以上連続の私の講義が続いたあと、2時間のグループディスカッション。みなさんも長丁場を良く付いてきてくれました(感謝)。

グループディスカッションのまとめや「疑問点」アンケートの内容(手書き)をすべてワードで打ち直して、2日目あさ9:00からの補講(3時間)に使おうと思っていたので、すぐにホテル(仕事場として取っておいてもらった)に戻って、アンケートの打ち直し。

これが30人以上のボリュームでかつみなさん結構書かれているので大変でした。気付いたら朝の4:00になってしまい。9:00からの再講義にはほとんど時間がなかった。たぶん昨日朝の回答補講はパンダのように目に隈ができていたと思う。が、楽しい2日間だった。

目に隈ができながらも、やりがいがあったと思ったのは、最終講義の12:30くらい(後半の2日目も結局9:00から始めて12:20くらいまで休憩一切なしの連続講義になってしまった)に終わったのだが、事務局の藤村さんが「今回は長い時間ありがとうございました」と締めたところで、2、3秒して(この間が何とも微妙な間だった・笑)、拍手が、しかも力強い拍手が受講者全員から起こったことだった。

結構きつい議論をやっていたにもかかわらず、拍手を頂いて、私は何とも言えずに無視してしまった。こんなことは長い間いろいろなところで講師を務めてきたが初めてのことだったから、何と言って良いやら。私の講演は大概が理詰めの話しになるので、滅多に拍手などない。照れるしかなかった。今となっては情けない。「ありがとうございます」くらいでいいではないか(この場を借りて御挨拶)。この受講者たちと後、2回やるのが楽しみだ。ぜひ上手に学校改革をやり遂げて欲しい。私も本気でアシストする気です。

アンケートは 1)共有できる課題があるところはどこか 2)疑問に思うところはどこか 3)新たに学べたところはどこかの3部構成になっている。今回は1)と3)の掲載にとどめます。2)の部分は、私の回答(これから急いで書きます)を含めて来週前半にここで質問+私の回答という形で発表します。良い質問がたくさん出ました。お楽しみに。

●今回の研修で問題意識を共有できると思った点

「専門学校の公共性課題」という教務経営課題における教員の質的階層化は当校でも導入したい内容です。これからの学校経営では必要不可欠なシステムだと実感している。
(Wさん:K専門学校)

「専門学校の教育評価の公共性問題(履修評価)」の観点。試験の合否、ものさしは教科担当任せであり、教育目標(授業目的、学生の仕上がり像)が曖昧、他者(第三者)から実態がつかみづらい
(Nさん:T専門学校)

専門学校教育の公共性の問題として、専門学校の外部評価は「学校基本調査」くらいで、外部の人が専門学校を評価しようとしてもほとんど資料が存在していない。専門学校の内部で自らの教育の中身を的確に指標化するよう努めなくてはならない時代になっている。
また大学落ちこぼれの「受け皿」教育とならないためにも、就職成果も就職率だけを競うのではなく、就職企業の評価(自分たちが企業から評価されるだけではなく、専門学校自身も企業評価を行う)に基づいた就職目標をかかげ、就職先の「質」の改善を目指す必要がある。「それなり就職」をやってはいけない。
(Yさん:K専門学校)

資格認定校教育の問題点
「技能教育」の問題点(技術教育と区別された)
実習設備は「教材」と呼んではいけない。
追再試を有料化している学校の問題点(「わからないこと」を学生のせいにしかしない体質)
「教員」体制を質的に階層化しないと今後の専門学校は人件費問題で躓く。
(Aさん:Y学園)

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教員としての資質も力量も各人様々なので、教務、教員、実習教員という階層化は、教員自身の意識付けにもなるし面白いと思った。
(Nさん:T専門学校)

「カリキュラム」を作る上での物差しや組み立て方に対する考え方。
(Iさん、K専門学校)

専門学校教員資格の「公共性」向上
中等教育以後の学校としての「公共性」が専門学校には決定的に欠けている。
教育目標の設定の仕方(就職目標と教育目標をリンクさせ整合性を取ること)
(Nさん、K専門学校)

専門学校の資格教育と実習教育は息の長い人材能力の形成を阻害していること。その原因について。
(Kさん、K専門学校)

しっかりとしたカリキュラムが書ける人材、組織を作ること
実習内容の評価をしっかりすること
学校独自の教材が作れる組織を作ること
学校として「教員」の定義をしっかりとさだめ、その階層化を行うこと
学生の人間としてのパーソナリティを評価しすぎている体制の方向性を転換する必要があること
コミュニケーション教育について見直す必要がある
授業時間外で学習を進める仕掛け作りに取り組む必要があること
就職目標を明確化し、就職企業のランク化に学校自体が(教務が中心になって)取り組むこと
退学率、欠席率(長期欠席)が日常的に明確になるような体制を作る必要がある
補習や追再試にお金を取る学校は、教育側の改善契機を自ら喪失している学校だということ
(Iさん、E専門学校)

基本的に全て賛同でき、共有できます。中でもカリキュラムを作る上で何が重要なのかが(注意すべき点など)よくわかりました。
教員自身(私も含めて)「専門学校とは何か?」「大学との違いは?」ということに答えられないことが問題だ」ということ。わかっているつもりでわかっていない。
また何を持って教員を階層化するのか、という点がとてもわかりやすい。納得できる。
(Kさん、S専門学校)

コスト削減と教育とのバランスの中で学生に対して時間外学習をどう進めていくのか、その仕組みを作らなくてはいけない。
コミュニケーション教育の本質は、OUTPUT中心教育。学ぶだけではなく、使う、使わせる教育が重要ということ。
(Iさん、N学院)

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教育目標意識の希薄さとカリキュラム、実習授業のマンネリ化、悪循環。
(Kさん、E専門学校)

専門学校の教員は、その要件に実質的な公共性が存在していないということ
公共化は、授業プロセス、履修評価、就職状況をセットに考えることから始まる
(Kさん、E専門学校)

明確な人材像(仕上がり像)を持ったカリキュラムの策定が必要。
実習授業の質の向上が必要であること
(Nさん、N専門学校)

実習主義の問題点→専門学校で行われているのは、技術教育ではなくて技能教育。本質がわかっていなくても手が動く教育にとどまっていること。
教材を単に物設備ととらえるのではなく、専門学校ならではの教材開発が必要。物(設備)と学生との間に〈教材〉が必要。
(?)

専門学校教員の公共性が不足しているという点
教員組織の階層化。教員評価指標の策定が、「人材(教員)こそ財産」の学校の要。
教育スタイルの諸問題
カリキュラムの考え方→キャリア人生を圧縮して学生に見せてやること
(Yさん、T専門学校)

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同じ授業で学生がやっていることに差があることを学生個人のせいと思っていたが、それが間違いだということがわかった。
補講料を取ることは、教員=学校側に全く責任がないという考え方が前提になっていること。それはおかしいということ。
教員が学校の一番の財産だということ。
(Uさん、B専門学校)

資格教育を脱し、教育目標を自力で再構築していくことが重要。
履修評価の透明性とプロセス評価を合わせて考えることが大切。
実習設備それ自体を〈教材〉と教員に思わせないこと。設備を使って何をどう教えるのか、の教材が本来の教材。その教材作りが必要。
教育目標を「あれもこれも」と散漫な仕方で広げない。
(H先生、A専門学校)

教員は学校の最大の生命線
就職率や資格合格率を在籍率分母で表示しないのはおかしいということ
教員組織の質的階層化
話しの上手な教員、板書の上手い教員が「良い先生」とは限らない
科目の配置が横方向にも上下方向にも連携がない(学生が専門的な成長の実感が味わえないカリキュラムになっている)。
「挨拶しろ」というのは世代論。そう言っている大人もかつてはそう言われてきた。
(Tさん、T専門学校)

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就職させたい企業とカリキュラムや教育目標は連動させていかないと意味がない。
インターンシップの諸問題については、確かに当校で実施しているものについても明確な課題が無かったと反省いたしました。
何も持って「優秀な教員」と判断すべきかの指標がご指摘の通り当校にはないと思います。早速検討すべきだと思いました。
(Iさん、D専門学校)

高度専門士コースを設けて、来年度の3月には卒業生が出るのに、4年生のカリキュラムがまだ確立していない。やはりご指摘の通り、カリキュラムや教材を作れる人材の弱さがあると感じている。
(Hさん、M専門学校)

確かに専門学校における教育目的ははっきりしていない。
担当者に授業を任せたら、後は担当者任せ、チェックなし。
(?)

大学と専門学校との違いは講座主義かカリキュラム主義かの違い。
授業とそれ以外の時間-イベントなどを巧妙に組み立てて、学生(親)または社会が、その商品を買うという構造へと持っていくべき。
(Yさん、Y学園)

総花的カリキュラムではなく、専門性を身に付けられる教育が専門学校の生きる道であることを思い出しました(いつのまにか忘れていました)
(Kさん、A専門学校)

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教員の教育レベルに応じた組織の階層化
専門学校は「技術」ではなく、「技能」の教育に留まっているのが現状
個々の学生の就職先とその学生の成績との相関を就職評価とする仕組み作り
日常的に在籍率や出席状況がわかるシステムを作る
資格対策がメインにならないカリキュラム
卒業生連携のある企業連携(わが校はほとんどがこのタイプ)
高学年の一年生指導(本校も行っている)
(Kさん、N専門学校)

目標と評価を共有し、教材開発をする力を作ること
「教員」の質的な階層を明確にする必要性
「受け皿」専門学校、「受け皿」就職企業からの脱却
学年交流の活発化
コストマネージメントの重要性を学生に教える必要性
パーソナリティー教育は生涯課題、マナー教育は世代論にすぎない
高度教育が高コストとは限らない
(Tさん、H専門学校)

実習主義の授業体制に多くの問題があることは問題意識を共有できました。
専門学校のことをどうするのかを真剣に考えて行かなくては未来がないこと。
(Sさん、A専門学校)

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教員が何年経っても同じことを教えている。
インターンシップの問題点
テストの要点を教えるのは学生のためではなくて教員のため
カリキュラム開発しても、教員がその通り教えなくては意味がない
教員のキャリアパスが必要
(Aさん、H専門学校)


●今回の研修で勉強になった点

カリキュラム概念
単位概念。カリキュラム主義と単位主義は矛盾するということ。
専門学校の「シラバス」と大学の「シラバス」とは全く意味が異なるということ
(Wさん、K専門学校)

公共性の教務経営課題 ― 教員人経費モデルの一例
教員階層化における「キャリアパス」というアイデア
(Nさん、T専門学校)

大学の設置基準が柔軟化され、専門学校化しやすい環境があるということ
専門学校の教員資格(設置基準)はほとんど無いも同然のものだということ
それゆえ、自律的な内部指標化が必要ということ
教育改革は第三者評価(外側に見える仕組み)を伴わないとうまくいかないということ
(Yさん、K専門学校)

人事評価、教育評価の難しさを思い知りました。
学生を育てる目標としてもう少し高いところに置く必要性もわかりました
(Iさん、Kカレッジ)

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大学には「カリキュラム」がない
「FD」の大学の取組
「良い教員」の指標の考え方
(Nさん、K専門学校)

教育プロセスの明確化→上昇感のあるカリキュラムの重要性
同窓会組織ができない理由→資格に対する公共性の方が学校の「卒業」よりも高い。専門学校における「資格」は学歴(学歴の付かない専門学校の)の代替物。
「受け皿」教育からの脱却
「コミュニケーション教育」について考えさせられたこと
(Kさん、K専門学校)

専門学校は技能教育、大学は技術教育
設備そのものは教材ではない
大学の「キャップ制」「GPA制」
能力別クラス編成は、そのことによって生産性が上がることが前提となること
上級学年の出席率はとても重要。
(Iさん、E専門学校)

「公共性」への取組という点は大変勉強になった。
公共性という言葉は、透明性・信頼性とも言えますが、ただ中身がわかるということだけではなく、共有化できる目標とそれを達成できる教員により公共性への取組は出発できるということがよくわかりました。実践するのは大変ですが…。
キャップ制というのは始めて知りました。大学も考えてますね(GPAも)。
(Kさん、S専門学校)

技能教育の問題点をよく考えて、専門学校の実習授業を再構成する必要があると思いました。
カリキュラムの考え方。今までは時間割りの中で考えていたが、補講も含めて考えていく。
「あれもこれも」横軸カリキュラムはダメ。縦軸方向(専門性の上昇としての縦軸)に伸びていくカリキュラムが必要。
(Iさん、N専門学校)

大学における単位制の欠陥を補正する仕組み(GPA、キャップ制)の概要がわかり、参考になった。学生への勉学取組姿勢の質向上と併せ、教員へのスキルアップの仕組み作りも重要と考えていたので、今後の運営に活かしたい。
(Kさん、E専門学校)

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資格教育、実習教育のリスク
人材目標の第三者評価としての就職の重視。就職先目標の階層化目標。
学校での成績と就職先との整合性
教員組織の質的階層化
補習のカリキュラム化
基礎教育と高度教育との考え方
FDの意味
科目の階層化と教員の階層化、および両者のリンク
(Iさん、A学園)

大変勉強になりましたが、指標を導き出すのが難しいです。
(Kさん、E専門学校)

実習、資格を中心とした専門学校が大きな岐路になっているということ
「公共性」という概念です。
専門学校が実は職業教育、実務教育機関ではないという事実
(Nさん、N専門学校)

専門学校の公共性を問うという視点(切り口)が大変斬新だった
プログラミング→設計→分析のモデルを例にしたカリキュラム構築の考え方。縦軸カリキュラム。
講座主義の大学の問題点。講座間の隙間をこれまでは学生が埋めていたこと。
担任制の諸問題。中でも「担任はラインではない」という指摘。
(?)

大学には「カリキュラム」が存在していないということ
これからの専門学校のキーワードは「カリキュラム」
担任主義の問題。
専門科目で「コスト管理」は必要。
高度教育が高コストとは限らない
優秀な人材を育成することこそが、コスト低減の切り札。
(Yさん、T専門学校)

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技能と技術の違い
資格依存、実習依存のままではこれからの専門学校は生き残れない
カリキュラム開発のあり方、進め方
(Uさん、B専門学校)

カリキュラム開発の考え方。特に資格主義を脱し、高度教育を実現するため、科目間の厳密なヒエラルキー構造が重要。復習や補習までもをカリキュラムに組み込んでおくことが必要というのは大変ためになった。
(Hさん、A専門学校)

校長、カリキュラムリーダ-、科長との関係、編成の仕方
カリキュラムへの関心は、入り口よりはまずは企業側
看板教員の配置と科目配置をリンクさせる必要があること。科目の軽重と教員の軽重との整合性を考えること。教員の質的階層は、科目の質的階層とリンクさせなければ、単なる教員差別になること。
(Iさん、D専門学校)

教員組織の質的な階層を構築すること。
専門学校の就職の現状に関するデータは大変役に立った。大変興味がある。当校の卒業生も調査してみようと思う。
「基礎」教育とは何か、考えてみなければならないことが山積している。
(Hさん、M専門学校)

教育改革に第三者評価を入れる大切さ
同じような話をしたときに、それに対する反論の引き出しが増えました(笑)
(Yさん、Y学園)

学校管理者の一人として今後の一条校化を意識した当校内で整備すべき項目、ポイントがわかってきたような気がします。ただし、お話の内容が少し高度で付いていくのが大変でした。
(Kさん、A学院)

大学のキャップ制、GPAについて。
コース制や選択科目を導入するよりももっと専門性を高めること
時間外学習など家庭で学生が勉強する仕組みを作る
暗記学習や資格対策はe-ラーニング化する
学生交流で2年生が1年生を教えること
(Aさん、H専門学校)

以上。

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翌日の朝の顔。待機状態の私。目にクマができている(笑)。

(Version 1.0)

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