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 【第二版】キャリーバッグは絶対に使いたくない(でもTUMIキャリーバッグなら許せるかな) ― 「認知主義的車輪」との闘い(空港は楽しい) 2009年05月01日

飛行機は楽しい。楽しいのは、たぶん離陸するからだ。離陸というのはたぶん人工性の極致だ。反自然そのもの。ヘーゲル的に言えば、飛行機は、その意味で精神の極限のあり方かも知れない。つまりヘーゲル的には飛行機は人間性そのものなのだ。

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この写真の意味は後で分かります。

ヘーゲルは労働を自然の人工化(人間化)と考えた。精神の介在の度合いがヘーゲルにとっての美である。彼の大部の『美学講義』はその思想に貫かれている。

飛行機は(ヘーゲル的な)精神の美の一つだと思う。そうやって北朝鮮(ヘーゲル主義の世俗版)のロケットは、ヘーゲル=マルクス的な労働の究極の野望(=ジェットエンジン、ロケットエンジン)を表現している。これに対抗できるのはニーチェ的な大地だけだ。アメリカの空軍もイラクの大地には勝てなかった。

もう一つは、空港だ。空港は飛行機以上に楽しい。なぜか。たぶん離陸の非自然性(非日常性)=人間の死の共同性が空港だからだ。私は飛行機に乗るときに、「この人たちと一緒に死ぬのか」と毎回、じっくり同乗者の表情や動作に見入っている。そのために乗るときには最後部座席になることにしている。全員の顔がわかるからだ。

意識しようがしまいが、飛行機の搭乗者と新幹線の同乗者とは共同性の質が明らかに異なる。飛行機の同乗者の方が共同性がはるかに高い。それは、彼らは死に隣接しているからである。死は人間を単独化するばかりではない。誰にも平等に訪れる共同性の原理でもある。空港は生き仏の集合体だ。だからなんとなくしっとりしている。そこが楽しい。

そんな空港の行き来で、今私がこだわっているのは、出張バッグだ。私は知る人ぞ知るカバンフェチ。一番大切にしているカバンは、ドイツのホフマンのカバンだが、最近はTUMIにはまっていた。TUMIの26141(http://www.tumi.co.jp/product/product-detail/?modelId=111464&searchTerms=26141)だ。写真で見るとあまりかっこうよくはないが、実際はもっとしぶい。このカバンの良さは(ちまたで騒がれているように)材質面にあるのではなく、表面の材質がソフトなわりに型くずれしづらいということだ。その微妙なバランスが何とも言えない。

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これがそのドイツ・ホフマンのカバン。このアングルのラインが一番美しい。皮の質感もいいでしょう。縫製の精度もピカイチです。寸分の狂いもありません。20年近く前、東京駅大丸のカバン売り場の鍵付き硝子ケースの中に展示してあったもの。一目見て、心が躍り、「買うしかない」。息子の太郎もさすがにこのカバンに一切さわらずに大人になった(苦笑)。このカバンは買って15年以上経っているが、それでも未だに全面皮張り替えのサービスに応じてくれる。それだけでも20万円近くはするだろうが(笑)。

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これが、3月に買ったTUMI26141。型くずれしそうでしない。まっすぐに立っているのが、私のTUMI評価。右の丸い小さなポケットは、ミニペットボトルが入る。疲れたときにさりげなくバッグからお茶を取り出して飲むときの快適さはこの上ない。中は防水仕様になっており、そのための通気口も付いている。両サイドのポケット上部が丸みを帯びているのは、TUMIのデザイン上の特長にもなっているが、これは収納時に大きく口を開けるための機能的な意義の方が大きい。私もいざということに何度もこのTUMIデザインに助けられている。この間もT大学のF先生が私のこの2614に目を付けて「このサイズのTUMIをもってるって、芦田先生、なかなかですね」と言ってくれた。私はその褒めてくれた先生を褒めてあげたかった(笑)

ところが、このカバンの大きさでは(30.5センチ×40.52センチ×14センチ)、ワイシャツを余裕を持って収納できない。1泊が限界だと思う。

ただし、1泊であっても、このカバンに目一杯ものを入れると(パソコン+書類+モバイルグッズ)手でもって歩ける限界の重さに達する。8キロ~10キロの重さだ。この重さで羽田空港のANA68番ゲート(http://picasaweb.google.co.jp/ashidahironao/ANA68#5317131739381415810)に着陸すると地獄だ。いつの間にか周りに誰もいなくなって一人でよちよち歩くことになる。一人で歩く羽田空港はまるで「2001年宇宙の旅」HAL9000の船内のようだ。それも趣があるが、しかし重いものは重い。

そもそも文庫本さえも一冊単位で自宅に郵送される時代だというのに、なぜ10キロ近くの荷物を手で持ち歩かなくてはならないのか。おかしいいでしょ。キャリーバッグの存在は、もはや持ち歩くな、ということと同義だ。

それに私はカバンは絶対に肩に下げない。TUMIにも立派なショルダーベルトが付いているが、使わない。そもそもスーツの生地に負担をかけるし、型くずれの大きな原因になる。スーツにとって、肩の造形はデザイン上の要のライン。そんなところに8キロ以上の荷重がかかるベルトを掛けてどうしろというのだ。

肩にぶら下げているサラリーマンを見ると、こいつらコナカか青木のスーツしか着ないのかよ、と思わず叫んでしまう。スーツはビジネスマンの命でしょ(私はビジネスマンではないが・苦笑)。TUMIを肩から提げている連中が時々いるが(滅多に見ないが)、TUMIに金かけるくらいなら、スーツを買えよ、と言いたくもなる。屋根無しの駐車場にポルシェを停めているのと同じくらいにふざけた話しだ。

そんなやせ我慢の中をスイスイと進むのは車輪付きのキャリーバッグ。これが許せない。キャリーバッグを人が買う理由の一つは、空港で、重い荷物を持っているときにスイスイ進むキャリーバッグの後ろ姿を人が見せつけられるからだ。

車輪付きのキャリーバッグだけは持つまいと私は心に決めていた。というのも、「車輪」と言うとダニエルデネットの「コグニティブホイール」(認知主義的車輪)という論文を思い出すからだ。

移動するのに最も適した装置は車輪なのに、なぜ人間の足は車輪にならなかったのかという認知主義的な問いがある。答えは、車輪が移動に最適なのは平坦路を想定しているからであって、人が実際に歩くところは平坦路の方がむしろ少ない。凸凹の道を進むには足で歩くことの方がはるかに適しているのである。ありえもしない前提に立って、もっともそうな答えを導き出すのが、サイバネティクス以降の機能主義の錯誤。それをデネットは「認知主義的車輪」と呼んでいた。

キャリーバッグを見ると、私はデネットの「コグニティブホイール」を思い出す。きっと階段で追い抜いてやるというように。そもそも階段では、キャリーバッグは遅いだけではなく格好が悪い。持ち上げづらそうだし、階段の角でドタバタとバッグを当てている。バッグも傷つくし、悲惨だ。それに比べて、私のTUMI姿は、なんと颯爽としたことか。

だから、私はアンチキャリーバッグ派。意地でも手で持ち続けてやる、という感じだった。

しかし2泊の仕事が出てくるとこれも限界。キャリーバックが必要になる。それでも私は、できるだけ手に持てるキャリーバッグを探し続けていた。いざというときにだけ「認知主義的車輪」を使うしかない。平坦路の空港内くらいだろう。

※このデネットの論文をネタにして書いたのが、私の「フレーム問題と世界 ― 世界と他者」(http://www.ashida.info/blog/2008/01/post_261.html)。これはいい論文ですよ(苦笑)。サイバネティクスの徒花のような認知主義(コンピュータサイエンス)をこてんぱんにやっつけました。吉本隆明の言う「西洋の機能主義」との闘い(http://www.ashida.info/blog/2009/01/nhketv.html)です。

そこで見つけたのが、サムソナイトのクアドリオン(http://www.shop.jal.co.jp/jal-shopping/1104006/000001110400627343.html)。

これはたぶんキャリーバッグの中ではもっともスマートな部類に入る。特長はパソコン収納部が本体から外れて独立したバッグになるということだ。

そこで私が思いついたのが、少なくとも帰りの段階では、このパソコンバッグ(+重要書類)だけ手持ちでもって帰り、残りのバッグ本体は出先の空港から宅急便で配送してもらうということだ。1000円かかるが、「認知主義的車輪」で苦しめられるよりはましだろう。

そこで昨日は、SPが二人も付いた超重量級の人物と久しぶりに楽しく会食したあと、新宿に直行。このサムソナイトのクアドリオンを高島屋へ見に行ったが、高島屋にはサムソナイト自体がない! 「なんで?」と聞いたら、「サムソナイトは直営店でしか扱わなくなった」とのこと。「『三越』に直営店舗があったと思います」とのこと。そこで『三越』へ。

徒歩5分。久しぶりの『三越』だったが、もはや三越は三越ではなかった。すべてがテナントショップになっており、新宿三越はもはや貸しビル不動産業でしかない。「三越」の思想はどこにもなかった。

クアドリオンはその三越にあったが、一つだけ残念なことがあった。パソコンバッグとの接合部がキレイに納まらない(場合がある)。やはり可動部分が多いと整形が難しいのだ。写真のようにはうまくいかない。新品の段階でもそうだから、使う回数が多くなるともっとよれてくるかもしれない。そこでクアドリオンは不合格。そもそも、デパートを閉め出されたサムソナイトの(日本での)将来は、もはや明るくはあるまい。

せっかく、新宿南口から、新宿東の三越まで出てきたのだから、こんどは伊勢丹へ。ここも数年ぶりだったが、さすがに今新宿で一番元気な伊勢丹。カバン売り場も人が多い。一番美しい女性に近づいて、「格好いいキャリーバッグない?」と詰め寄った。「格好いいですか?」と笑われるが、その笑顔がまた素敵。何だか飛行機のアテンダント(スッチー?)のように思えてきたが、デパートには空港の死の哀愁はない。ただ伊勢丹のメンズ館はわざと店内が暗くしてあり、それなりの哀愁は漂っている。

でもそのお姉さんも格好のいいキャリーバッグは見出せなかった。「やっぱりTUMIかな」と私が言うと、「TUMIですか?」。でもTUMIは2ヶ月前に買ったばかりなのよ。いまさらTUMIのキャリーバッグを買いたくもないもないし」。

「そうですか。TUMIはこちらにありますが」となぜか寂しそうにそのお姉さん。というのは、伊勢丹にはTUMIの社員が出向していたのだ。年齢不詳のおばさんたちがいる高島屋とはわけが違う。ショップの集合体でもない。伊勢丹の新宿戦争の立ち位置を垣間見た瞬間だった。つまりお姉さんは私と離れるのが辛かったのか(何という勝手な解釈か)。

私はそのTUMIの若いお兄さんとTUMI談義に入ることにした。「TUMIのキャリータイプある?」「ありますよ」「でも2ヶ月前にTUMI買ったばかりなのよ。無駄だよね」「そうですね。決してお安くはないですし」「そうなのよ。TUMI、高いのよ、円高で儲けているくせに。たぶんアメリカで買えば5万円以下でしょ」。

なんて話しながらTUMIの26104(http://www.rakuten.co.jp/daily-3/1341326/1476027/)と26141(http://www.rakuten.co.jp/daily-3/1341326/1476026/)を見ていた。二つもTUMI買ってどうするのよ、と思いながら26104を見ていて思ったのが、このTUMIの26104は、手持ちでも全くおかしくないサイズと形だということだった。手持ちで鏡の前に立ってもそんなにはおかしくない。

たしかに電車内では誰ももっていないほど大きなバックだが、必ずしも車輪を使うほどでもない。しかも26141(http://www.tumi.co.jp/product/product-detail/?modelId=111464&searchTerms=26141
の大きさ(30.5センチ×40.52センチ×14センチ)よりは二回りは大きい(34.5×44.5×21.5)。これなら2泊は出来る。ワイシャツが2枚は入るだろう。充分だ(厳密にはキャリー用のアーム収納分、一回り程度しか容量は増えないが)。

高さが30.5センチと34.5センチという違いは大きい。というのも3月に買ったVAIO Type T(http://www.ashida.info/blog/2009/03/_vaiotype_tssd258gbraid0.html)が以前のTUMIでは縦向きに入らなかったが(VAIO Type Tは横幅が28センチある)、26104TUMIは、VAIO Type Tが縦に入る。つまり縦向きに2台は充分入る大きさなのだ(2台も持つことはないが)。要するにカバンの同じ仕切りの中にパソコンに並んでA4ファイルが縦向きに一冊充分入る大きさだということだ。かなりの余裕が出来ることになる。

ビジネスバッグの重要な要素の一つは、パソコンが短い辺(サイド面)を下にして入れることが出来るかだ(それを私は「パソコンを縦に入れる」と書いたのだが)。そうすると色々なものの収納に余裕が出来る。その意味ではパソコンの横幅が30センチを越えるノートパソコンは全部失格になる。TUMI 26141の305センチと26104の34.5センチの高さの違い、4センチ差は大きいのだ。

今回買った26104の伸縮するスチールアームに既に2ヶ月前に買った26141をドッキングさせれば(できるようになっている)、1週間くらいの出張も可能になる。何よりもTUMIの2段重ねキャリングバッグ体制というのも格好いいではないか(苦笑)。まだ見たことがないが(笑)。

TUMIは好きだけど、「キャリーバッグでTUMIを使う気にはなれない」なんて言うなかれ。伊勢丹のTUMI出向担当によれば、「TUMIのキャスターは、シールドベアリングを使っています。ゴミを巻き込まない構造になっている」とのこと。新品のときは、滑りがいい、使っていく内に重くなる他社製のキャリーとは一線を画すらしい。

などと書いている内に、今、「ピンポーン」と、ポータブルハンガー(http://item.rakuten.co.jp/auc-e-goods/ph-2000/)が手元に届いた。夏を前にして、スーツを手に持たなくても済む優れものハンガーだ。何よりも85グラムと軽いのがいい。こういうのは、便利でもそれ自体が重くて持ち歩く気がしないということがあるが、良く配慮されている。夏は手にかけて持ち歩いていると、汗で上着が台無しになる。これっで片手を空けながらスーツを脱いで移動できる。

TUMIに使うときはこんな感じ。

TUMI(2)DSCF0655.JPG

TUMIの赤いロゴ文字とこのハンガーの赤いポイントがなぜか偶然にもよく似合っている。

これで我が夏の陣の空港利用は完璧になった。TUMI26104(http://www.rakuten.co.jp/daily-3/1341326/1476027/)は明日我が家に到着予定。どこにも行かないゴールデンウイークの唯一の楽しみだ。それに色々とレポートの宿題が私にはたまっている。今私の仕事の仕方は学生時代に戻っている(苦笑)。毎月一本、論文を仕上げているようなものだ。それも楽しい。

※「ビジネスパーソンは なぜTUMIのバッグが好きなのか?」という面白い記事を見つけました。ご参考までに→http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20080124/1006396/?P=1

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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感想欄

「SPが二人も付いた超重量級の人物と久しぶりに楽しく会食した」

これって誰ですか?

気になるな~。さらっと自慢しててかっこいいな~。


投稿者 大森 : 2009年05月03日 10:32
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