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 オリンピック、ここまでの総括(北島のインタビュー、平野早矢香の表情、アメリカ女子サッカー、上野の右手中指など) 2008年08月22日

1)最初に気になったのは、北島が100メートル平泳ぎで金メダルを取ったときのインタビュー。

たぶんNHKのアナウンサーの代表インタビューだったと思うが、ひどいインタビューだった。前回のオリンピックの「チョー気持ちいい」が印象的だったために、なんとかそれに比する言葉を得たいという“偏見”が前面に出でており聞き苦しいインタービューだった。

金メダルを取った直後のインタビューで、まずは北島は泣き続けていた。何とかインタビューに応じようとするが、まだ泣き続けている。こみ上げてくる感情が抑えきれない。息をやっと引いたかな、というところで「落ち着きましたか?」などと訳のわからない言葉を投げかけるバカなインタビュアー。落ち着いていないって、落ち着けるわけないだろ、と独り言を言う私。

そこで北島がやっと発した初めての言葉が「何も言えねぇ」だった。これが「チョー気持ちいい」に比する北島の素直な言葉だった。ところがインタビュワーは、「何も言えませんか」などとこの言葉を素通りする。

その上、バカなことに「アテネオリンピックの時には、『チョー気持ちいい』と言われたんですが、今回はどうですか」などとわけのわからないインタービューになる。最初から引き出す言葉のモデルを決め込んでいる。

このNHKのアナウンサーは、2回連続金メダルを取った世界大のスターを前にして結局のところ聞きたいことなど一つもないのだ。アテネ以後長いプレッシャーの後、やっと金メダルを取って興奮しているサイコーの取材対象を台無しにしてしまった。

今回のオリンピックインタービューは、NHKだけではなく全体にレベルが低い。「さわやかな笑顔」「残念でした」「金メダルの重みはどうですか」なんてバカなことを問い続けている。こいつらオリンピックを見ていないだろ、という感じか。

2)女子卓球団体戦セミファイナル、平野早矢香(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E9%87%8E%E6%97%A9%E7%9F%A2%E9%A6%99)の台湾選手(なまえを忘れたが)との一騎打ちはすごかった。

平野の相手選手をにらみ付ける目が怖い。まるでボクシング選手のように相手をにらみ付けている。日本人三選手の中で一番可愛い平野が怖い顔をしてにらむものだから余計にすごい(というか思わず笑ってしまう)。台湾の選手はかつての日本人選手のように伏し目がち。

その伏し目がちな様子も魅力的だったが、この平野の“にらみ”のおかげで、私は笑いながらも、卓球が格闘技のように思えてきた。だからこの平野の卓球の一球一球が息が詰まるほどに苦しい。見たくないほどに辛かった。勝ってくれと言うよりは早く終わって欲しいという試合。卓球は楽しくない。でも平野はこの試合勝った。良かった、良かった。

ついでに言えば、福原愛の団体韓国戦タン・ イェソとの戦いもすごかった。特にタン・ イェソとのバックハンドの応酬は本物の世界最高水準。解説者も「スピード違反くらい速い」というほどだった。芸術的なバックハンド応酬だった。福原愛は、平野と違って顔全体で戦いを表現する。それは戦う相手に向かう表情ではなく、内省によって沈思する哲学者のようだ。

タン・ イェソも体育会系というよりははるかに表情にインテリジェンスがある。福原を知り尽くしているように戦いの最中でも時々笑みがこぼれる。福原とタン・ イェソとの戦いは、平野の格闘技と違って、禅問答のような戦いだった。卓球は人間性がよく出る競技だ。

3)女子サッカーの準決勝アメリカ戦(19日だったかな)。
アメリカ女子のサッカーは美しい。素直なサッカーをする。ぽーん、ぽーんとまっすぐにボールが通る。そして絵に描いたようなサイド攻撃。これもぽーん、ぽーんとサイドからボールが通る。サッカーは素直にやればいいのよ、と言うようにきれいなサッカーだった。

私は男子もそうだが、アメリカのサッカーが以前から好きだ。男子より女子サッカーはもっときれいなサッカーをする。緊迫感の連続するオリンピックの戦いの中で一服の清涼剤のような戦いが印象に残った。結局女子サッカーは決勝戦でブラジルを破り金メダルを獲得。きれいなサッカーが世界を制した。〈世界〉も捨てたものではない。

4)一連の日本女子ソフトボールの戦い。
これは戦いそのものと言うよりは、前監督宇津木妙子(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E6%B4%A5%E6%9C%A8%E5%A6%99%E5%AD%90)さんの解説が最高。ぶつぶつと男のような声で解説をし続ける。全く他人に解説しようという気がない。

そのタッチは未だに監督のつもり(苦笑)。彼女が現役時代ベンチでどんな感じだったかが手に取るようにわかる解説。横にいたTBSの松下アナウンサー(?)もその解説ぶりを楽しんでいるようだった。金メダルが決まって、試合経過を振り返ったとき、4回の山田恵里(日立ソフトウェア)のホームランのシーンを見ながら、「この娘は高めが好きなんだよねぇ」とお母さんのようにしみじみと言った言葉が忘れられない。

でも宇津木さん、日本人選手が打ったときに出てくるあなたの「やった」「よし」という力のこもった言葉のほんとんどはピッチャー前かサード前の凡打でしたよ。どれだけ、あなたの「やった」「よし」という言葉にだまされたことか。そのたびに「なんだよ」と(心の中で)言いつづけていました。

エース上野由岐子(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E7%94%B1%E5%B2%90%E5%AD%90)の投球は何と言ってもオーストラリア戦の延長を戦い抜いたことだろう。彼女と彼女以外の野手とのベンチでの緊張感(助け合いたいという緊張感)が痛いほど感じられた(その心理的戦いの方がはるかに私には関心があった)。11回以降は「意識も呆然としていた」と今日のテレビで上野は言っていた。

今回の中国オリンピックまでの上野は自分のスピードに溺れて投球が雑で単調になるところがあった。いつでもそれでアメリカに負けていた。今回は2日間413球の投球が彼女から「力の投球」を奪い、返って集中力を高めることができたのだろう。右手の中指の先がぼろぼろになっていたのを今日テレビで見せていたが、見るだけでも涙ができてきた。

2日間の「3連投は最初から覚悟して練習してきた」と言っていた。よほど「勝ちたい」という気持ちがあったのだろう。この四年間の思いが手に取るように感じられる瞬間だった。体裁が先行して「なんとかしなきゃ」としか思えない男子野球(プロ野球選手たち)の萎縮した気持ちとは比べものにならない研鑽のたまものだったのだろう。

やはり金メダルは美しい。なぜ人は勝ちたいのか。それは苦労話を手放しでしたいからだろう。負けた者の苦労話など誰も聞きたがらない。苦労話もまた美しくてはならないからだ。上野由岐子の右手の中指はぼろぼろになっていたが、それでも美しく見えた。

(Version 1.0)

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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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