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 家内の症状報告(85) ― 多発性硬化症(MS)と視神経脊髄型MSと再発性視神経脊髄炎 ― NMO抗体検査を受けましょう 2007年02月19日

前回の私の記事(http://www.ashida.info/blog/2007/02/post_188.html#more)にはたくさんの反応がありました。ことがらの性格上、メール反応が多かったのですが、もっと詳しく聞きたい、というものがほとんどでした。そこで、私なりに前回の記事の不正確なところを含めて、再度まとめておきます。少し細かくなりますが、我慢してください(担当の先生とのやりとりも間接的に参照していますが、再度、不正確なところがあったり、間違いがあるとしたら、すべて私の責任です。あしからず)。

1)「再発性視神経・脊髄炎」には、ウイルス性やアレルギー性、膠原病に伴うものなど多くのものがあり、原因が明確でないものを「特発性(突発性再発性脊髄炎)」と言う。

2)「再発性視神経・脊髄炎」のうち、自己免疫的メカニズムによって起こると考えられるものは、日本では「MS(多発性硬化症)」に分類されている。

3)「再発性視神経脊髄炎」は、脳にはほとんど病巣がないため、厳密な意味での「MS」の診断基準は満たしていない。「再発性視神経・脊髄炎」は、典型的な(古典型)MSからはほど遠いものであって、視神経脊髄型MSの「亜型」といった位置づけと言える。

4)「視神経脊髄型MS」は古典型MSとはメカニズムが異なる可能性があることは以前から推察されていた。

5)2000年にベータフェロンが日本に導入された際には、そのこともあって、当然、「視神経脊髄型MS」に対する効果が問題となったが、臨床試験の結果、ベータフェロンは「視神経脊髄型MS」にも同様に「効果あり」と判断されたため、「MS」の全ての病型に対して使用されるようになった。

6)ところがその後使用経験を重ねるうちに、「視神経脊髄型MS」の中にはベータフェロンが効果がないか、逆に悪化させると考えられる症例が少なからず存在することが明らかになってきた。

7)このような症例はステロイドパルスも効果的であり、免疫吸着などの血液浄化療法が劇的に効くこともわかってきた。古典型MSにはあまり効果のない治療法が「視神経脊髄型MS」には効果があることがわかってきた。

8)そこで、数年前から、「脊髄に長大な病変を有する劇症型のMSは他のMSと区別するべきだ」と考えられるようになった。

9)同じ頃、欧米でも劇症型のMSは病理像が異なり、血液浄化療法が著効を示すことが報告され、日本の治療法が支持される形となった。

10)欧米ではこのような病変を有する患者は「MS」とは診断されず、NMO(Neuromyelitis optica)=「視神経脊髄炎」、「Devic病」と診断されている。

11)日本を始めとしたアジア地域ではNMOは単相性のものを指し、再発性の視神経脊髄炎は「MS」に分類されていた。そこでここ数年間は「視神経型MS」と「NMO」の異同についてアジアで頻回に議論が行われている。

12)そこで2004年に発見されたのが「NMO-IgG」(NMOの抗体IgG)。「NMO-IgG」が欧米でのNMOと日本の視神経脊髄型MSの両方で「陽性」になることがわかり、この2つ病態が同じものであることがようやく確認された。

13)そして2005年にこの「NMO-IgG」が「アクアポリン4抗体」であることが確認され、ようやく日本でも測定できるようになった。

14)視神経脊髄型MSだけではなく、「特発性再発性視神経炎」や「特発性再発性脊髄炎」でも陽性になる例があり、これらはNMOの亜型であることもわかった。しかし、まだ発見されたばかりの抗体であるため、病態にどのように関与しているのか、病期によって変動するのかどうかなど、まだまだわからないことが多い。

15)ただし「抗アクアポリン4抗体」は、長大な脊髄病変や巨大な脳病変を有するなど、非典型的な視神経脊髄型MSにしか認められない。

16)脳に多数の病巣を有する典型的なMS患者では「抗アクアポリン4抗体」が「陽性」になることは、まずあり得ない。

17)そんなことから、この1、2年で、長大な病変を有する視神経脊髄型MSに対する考え方が大きく変化してきた。

18)ベータフェロンを開始したらプレドニン(ステロイド)を中止するというのが一般的なここ数年来のMS治療だったが、この「抗アクアポリン4抗体」の測定が可能になって、「陽性」のNMO患者には、ベータフェロン治療が効かないこと、むしろ病状を悪化させる場合があることが分かってきた。むしろステロイド、免疫抑制剤、血液浄化法などが予防的にも効果的なことが分かってきた。

19)それゆえ、ベータフェロンを使っていても再発が続く人、脳内炎症が見られない人、視神経か脊髄に炎症が比較的集中する人、一回の炎症の規模が大きい人などは、「再発性視神経・脊髄炎」を疑った方がいい。少なくとも「視神経脊髄型MS」と言われている人、その人の中でもベータフェロンが効かない人は、すぐにでもNMO抗体検査を行った方がいい。

20)NMO抗体検査(=「抗アクアポリン4抗体」検査)は、血液検査ですから、簡単なものです。患者の手間はかかりません。

(Version 2.0)


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感想欄

ミクシィ(MIXI)日記の反応の一部から

●2007年02月21日 12:16 Aさん

私は「脊髄炎」なのかもしれません。ベタフェロンが効かない、ステロイドとイムランが効いて3年弱一度も再発はなし。確かに一度「膠原病の疑い」と言われ某大学病院に入院しましたが全く異常なし。今度、脊髄のMRIを撮り、疑いと言われた書類を持って山村先生に見てもらおうと思ってます。


●2007年02月21日 Aさんへの私の回答

そうですね。そういった患者はたくさんいると思います。私の家内は、4年前に発症しましたが、これまでの記録ではステロイドの量が一日20ミリを切ると再発しています(4年間で16回)。

減量の契機は、医師がステロイドの長期服用を嫌うということとベータフェロンを薦めたがるということです。

再発性神経炎、再発性脊髄炎の患者にとっては、この医師の治療傾向は致命的なものです。

家内も4年前の発症時に、「抗体検査」=「抗アクアポリン4抗体」検査をやっていれば、ステロイド、免疫抑制剤、血液浄化の3点に絞った治療によって、まだまだ歩けていたと思います(現在は自宅内でのわずかな自立歩行どまり)。

「抗体検査」=「抗アクアポリン4抗体」検査のない治療は、まずステロイド、次に(ステロイドの減量と共に)ベータフェロン、次に免疫抑制剤(か、血液浄化)といった経路を一般的にはたどりますが、二段階目の「(ステロイドの減量と共に)ベータフェロン」というのが、再発性視神経炎、再発性脊髄炎の患者には致命的な治療になります。ベータフェロンは再発性視神経炎、再発性脊髄炎を最悪の場合悪化させる場合があるからです。

昨年後半からの「抗アクアポリン4抗体」検査は再発性視神経炎、再発性脊髄炎を「視神経・脊髄型MS」=「日本型MS」と“誤診”されている患者にとっては、科学的な治療法(まともな治療)を受けるまたとないチャンスです。

家内はあと一歩で寝たきりとなるところを、なんとかふみとどまるかどうかという段階ですが、多くの若い患者さんや発症が最近の方はこの検査でベータフェロンを経由することなく、進行を遅らせることができると思います。すぐにでも病院と医師を変えてでも、この抗体検査を受けるべきだと思います。

※「視神経・脊髄型MS」と「日本型MS」との違いは、前者は炎症箇所が比較的局部的ということと一回の炎症の“規模”が大きい、いわばドカンと来るということです。私の家内の場合(再発性脊髄炎)、一回再発すると、目に見えて歩行がより困難になります。老人が5年単位で自然に歩行困難になって寝たきりになる経緯を、この4年間で一気に再現しているかのようです。それくらい再発性視神経炎、再発性脊髄炎の炎症再発は、きつい。

今の段階では「視神経・脊髄型MS」は「日本型MS」の「亜型」(とりあえず「MS」)と言われていますが、数年後には「MS」の分類から外されると思います。

投稿者 ashida : 2007年02月21日 21:42

抗体検査について調べていたところこちらのブログを見つけました。

私は重症筋無力症という奥様とはちがう他の病気なので他の抗体の検査を受けました。これからも受けるそうです。

抗AChR抗体とか言う何度きいても難しい抗体です。

こちらのブログを読んで奥様の病気のことについてとてもよくわかりました。

私の先生の説明は専門的で難しすぎていつもメモさえとりにくい状態です。

まだ診断されたばかりですので、これから先生に聞いていくためのヒントになりました。

私の家族は感情的になっていろいろ先生に聞きすぎて私の方が恥ずかしくなってしまいました。

家族にももっとわかってもらわなければならばいけれどいまは自分で知るのが精一杯です。

私の家族はとても悲しんでいます。

このシリーズを最初から少し以前のまで少しずつ読ませていただくつもりです。

芦田さまはとても不思議なちからのある方ですね。

奥様も頑張られていてとても励まされるような気持になりました。

ありがとうございます。

投稿者 かなこ : 2007年02月25日 22:26

芦田さま

こんなにすぐにアップされるとは思わなかったのでびっくりしています。

メールにしていなくてすみません。

実は私は病気はもう一つあるらしいのです。そのことはまだはっきりしていません。

夫はとても動揺しているのでそのことも気がかりです。

免疫抑制剤のことももっと知らなければならないのですが、治療がうまくいっているのかさえまだわかりません。

入院中ですのであまり詳しくかけません。

先生はいつでも話すと言ってくれていますが夫が仕事帰りにきてももう遅くていないので私がわかったことを伝えることになります。

こんな私にアドバイスがあればお願いします。

投稿者 かなこ : 2007年02月25日 22:58

>かなこ 様

「重症筋無力症」ですか。家内が入院していたときも、何回かその病気の“入院お友だち”に会っています。お互い大変な病気ですよね。「重症筋無力症」も「膠原病」も「多発性硬化症」もみんなウイルス(の変異)が原因のような気がします。

私も家内が4年前に発症したときには愕然としました。ちょうど3月の卒業式・4月の入学式シーズンと重なっていました。厳粛な壇上に立って学生諸君に対して式辞を話し、彼らを勇気づけているときには、私自身にも語りかけるように話していたな、と今でも思い出します。孤独感がパワーにもなっていました。

家事を家内に200%任せていた私にとっては、病気のことと共に、生活の変化が耐え難い、という感じでもありました。食事(息子の分も含めて)、洗濯、掃除など一気にのしかかってきたからです。

私は家内が私よりも先に倒れるなんて全く予想もしなかった。まさに人生最大の不覚です。

しかし生活の変化は、ある程度の時間を凌ぐことができれば、何とかなります。大失恋と似ています(笑)。

4年目になる今も仕事から帰ってきて1分以内で服を着替え、15分以内に食卓に食事を用意するという毎日が続いていますが、歯磨き程度の面倒くささとほとんど変わりません。慣れは恐ろしい。

「アドバイス」と言っても私もまたそんなに事態を達観しているわけではないのですが、「なるようになる」というのが鉄則です。Let It Be、あるいは「アーメン」(私はキリスト教とは無縁ですが)と言うほかないでしょう。

それは病気であれ、何であれそうだと思います。今日も先ほど私のミクシィ(MIXI)の友人の20歳前後の若い子が、「多発性硬化症の彼氏と別れました。もう病気のことは聞きません」なんてメールが来ました。

私は、こう答えておきました。「大変でしたね。でも病気は何も生理的なものに限りません。なにがしか誰もが“病気"を抱えています。 『これで終わった』と思わないで、気を引き締め直して“人生”を生き抜いてください」と。

私があなたに言うとすれば、病気の自分を特殊な状態にあると思わないようにということです。これしかありません。

お役に立てるか分かりませんが、いつでも何なりとどうぞ。

投稿者 ashida : 2007年02月25日 23:19

しばらく治療していました。

効果があるらしいので期待していますが、他の病気の検査の結果はまだでないので心配でいます。

実は、もう病気になってずいぶん月日がたったようなまだまだのような変な気持になりこのままではだめになると思っていたときにこのブログに出会えたことがとても幸せでした。

芦田さんの「なるようになる」というのが鉄則というのをいろいろ考えました。すべてをそう考えるのは修行のようなものなのでしょうか?

私の病気のことも家族とのこれからも、家のことも。でも一つずつ自分たちで動かすことが必要です。

「気を引き締めて人生を生き抜いている」芦田さん家族に私たちも近づきたいです。

投稿者 かなこ : 2007年03月08日 19:45

たしかに「修行」かもしれませんが、でもそうだとしたら、病気であろうがなかろうが、すべては「修行」です。大病だから修行が必要というわけではありません。

投稿者 ashida : 2007年03月09日 23:06

芦田さんが、「なるようになる」と書かれていた意味はもちろんどうでもいいとかではなくて、「受け入れる」ということですね。

「芦田の毎日」の他のところをずっと読んでいてわかりました。こたえを見つけたような感じで、時間がかかるけれど私たちもそこへ到達できるのではないかと思えました。

雨の日も風の日もあるけれど自分たちでうけていくしかありません。

ここの記事に書いてよいのか迷いましたが、あすの卒業式式辞、通り一遍の式辞ではない去年に引き続き大変かと思いますが。芦田さんのいろんな引き出しから出てくるお話はどんなことでも、優しい愛情があふれている気がします。

投稿者 かなこ : 2007年03月15日 21:43

多発性硬化症で入院中の 47歳男性です。

多発性硬化症疑いから、確定になり、 今治療法の 2選択に迫られてます。

一つはベタフェロン。もう一つはTRY720とか言う新しい薬の治検です。 どうしたらいいか悩んでます。

投稿者 かつ : 2007年05月15日 13:17

私の母が今年6月突然下半身が麻痺し、歩けなくなり入院、視神経脊髄炎と先日説明を受けました。

現在ステロイド投薬とリハビリで治療中。よちよち歩きが出来るまで回復してきましたが、下半身の痺れがひどいみたいです。

レントゲン写真を見ましたが、通常背骨の3個分くらいの病巣が10個分くらいあり、中々完治は難しいと言われました。

今後は退院し投薬・通院を勧められていますが、再発率はどれくらいあるのでしょうか? 今後の見通しが立たず不安がっている母親をみるのがつらいです。

投稿者 としひろ : 2007年09月04日 15:37

1955年生まれの52才主婦です。

2005年9月から2007年9月までベタフェロン使用。20代に感覚異常。第一子出産後視神経(中心暗転)。片足麻痺。等あり。

運よく後遺症無く、病名付かず、三人の子供を持ちました。

1995年頃から仕事にでました。

少しの痺れ、胸の締め付けなどあったけど回復してたので普通に過ごしてきました。

しかし、2005年8月に片足麻痺。不安を感じベタフェロン。しかし、今年3月再発。8月再発。3月からは、痺れ消えません。

一日立つことは無理。一時間位なら歩ける。でも、今日はほとんど横になってます。

今は、治療無く、ビタミンB12.ビタミンD.安定剤。仕事もやめ、家にいます。アクアポリン抗体、今調べています。

もし、NMOならどこに相談しよう。MSキャビン、MS OMORROWS とも違う。芦田様情報お願いします。

乱文にて失礼します。

投稿者 mayumiluku : 2007年11月13日 14:31
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