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 ニコルの顧客対応は許せない ― コミュニケーションは難しい 2005年12月15日

今週の月曜日から一週間かけて1年点検。昨年車検だったので、今年からは1年毎になる。月曜日に代車(FFのサニー)を出してもらって、家内にも運転をさせたことのない(運転席に座らせたことさえない)愛車を手渡すときが一番さびしい。クルマを買ったのは青山のニコルオートモビルズだが、ニコルの整備サービス工場(http://job.mycom.co.jp/06/pc/visitor/search/corp71618/outline.html)は川崎にある。遠い。金曜日まで1週間預けなければならない。

愛車はそろそろタイヤの山が無くなりかけているが、275の30タイヤ(19inch)は一本6万円もする。もう少し乗らないと例のカシミヤセーター代(http://www.ashida.info/blog/2005/12/post_61.html#comments)のもとが取れない。なんて思っている内に、車庫の出入りのためのシャッターをあけるリモコン(名刺大の)を忘れてしまった。

そこで、早速電話。「昨日、白のB10を引き取ってもらった芦田ですが、シャッターリモコンをナビのモニタの後ろに置き忘れました。探してもらえますか。あれば電話をいただけますか」。女性の受付だった。

しばらくして、サービス担当の責任者、(いつもお世話になっている)出野(での)さんから電話。「ありました。どういたしましょうか」「ありがとうございます。着払いで結構なので送っていただけますか」「わかりました」と出野さん。

「ところで、ニコルで275、30(「ニーナナゴ・サンマル」と読む)の(ミシュランの)パイロットスポーツはいくらしますか」「今はサービス期間中で1本6万円くらいですが」(私はこの3日間で6万円という言葉を2度聞いている。カシミヤセーターとミシュランタイヤ)。「高いね。量販店でも5万円以下だのに」「申し訳ございません」

そして、今日職場にシャッターリモコンが届いたが、言ったとおり、「着払い」だった。別に言ったとおり「着払い」なのだから、それでどうだと言われればどうということもないが、全財産を売り払って、清水の舞台から飛び込む気持ちで買い込んだ車を扱っているディーラーの“くせに”(2割り増しでタイヤを売っても商売になる利益率の高い車を扱っている“くせに”)、客が「着払い」と言ったからと言ってなぜ本当に「着払い」にするのだ。

そんなことにけちを付ける客はニコルの客ではない、という声も聞こえてきそうだが、それはおかしい。私はファミリーレストランが大好きだが、しかしデニーズに入って、若い女の子の接客態度が悪い、などと怒ったことはない。出てくる料理の安さは、接客対応のまずさと相殺されているからだ。自宅の隣のサンマルク(http://www.saint-marc.co.jp/saint_main/i.html)蘆花公園店でも、ここの店員は忙しくなってくるとフロアを走るのだが、それでも殴りかかったりはしない(ほんとうに殴ってやろうかといつも思っているが)。デニーズの店員もサンマルクの店員でもレストランで走る、ということがどういうことなのかまったくわかっていないのだ(私は走られる度に料理がほこりにまみれて泥だらけになり、自らが重症の喘息にかかったような気になる)。でも我慢。そんなところまでのお金を払っていないのだから(余談だが、私はサンマルクの方がデニーズよりも高級だと思っている客の気がしれない)。

それでも、4万円台でどこででも買えるタイヤをサービス期間中さえも6万円で売ることのできるニコルオートモビルズが、しかも1年点検で15万円近くも取るニコルオートモビルズが、なぜお客が忘れた名刺大のシャッターリモコン(厚さは5ミリ)を送り戻すのに(客の言った通り)「着払い」にするのだ。

私はこれこそが「コミュニケーション能力」の問題だと思う。〈コミュニケーション能力〉とは、顧客の言うことを聞くことではなくて、相手の出方を問うまでもなく、自分の節度とプライドを守ることなのだ。客を撰ばないこと、やくざにでも貴族にでも同じ態度を取ることができることを〈コミュニケーション〉というのだ。出野(での)さんの態度は、ニコルで働いている“くせに”、ニコルの客をバカにしている。私はやくざどころか、金魚やもみじにまで〈コミュニケーション〉をとっているというのに(http://www.ashida.info/blog/2005/01/hamaenco_5_123.html)。

かつてアルピナのボーフェンジーペン(http://www.bmw-alpina.co.jp/automobiles/museum/history/)社長は、バブル期でも年間生産台数を500台前後で維持していた(10年以上経った今でもあまり変わりはない)。ポルシェがオートマ車を出して大量生産に踏み切った同時期にでもアルピナは節度を守った。

理由は「われわれの作る車の乗り味を理解できる人がそんなにたくさんいるとは思えない」というものだった。うれしいことを言ってくれるではないか。全財産をはたいてしかも5年ローンで買った甲斐があるというものだ。その言葉通りにすばらしいクルマに巡り会えたと思っている。

それがだ、そうであるにもかわらずだ、この出野さんの対応は、社長ボーフェンジーペンの精神を全く理解できていない。なぜ(客の言う通りの)「着払い」なのだ。ボーフェンジーペン=アルピナの客ならば、当然「着払いでいいですから」と言うに決まっているではないか。言うに決まっているからこそ「着払い」じゃまずいでしょうよ、出野さん。たった500円前後の送料だったからこそ、無性に腹が立ってきた。あなたも何年もニコル(アルピナの日本正規代理店)で働いているのならば、500円するかしないかの佐川急便をなぜ、着払いにするのか。その気がしれない。デニーズやサンマルクのアルバイトの若い女の子が店内を走るように、佐川急便は「着払い」伝票をおいて立ち去っていった。


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投稿者 : ashida1670  /  この記事の訪問者数 :
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感想欄

はじめまして。ペンネームで失礼します。
私は生徒ではないのですが、あるきっかけでいつも拝見させていただくようになりました。
むずかしいとおもうところが多いのですが、今回は表面では分かりやすい日常の題材で興味を惹かれました。
芦田さんは、出野さんの対応をコミュニケーション能力の定義をされた上で、その能力の問題とされていますが、たとえば私はこう考えられないか、と思いました。
もし、道徳を相手を思う、相手の立場を思う、または、相手、周りの全体を考えて行動することと素朴に考えることにすると、これは道徳として説明することはできないでしょうか。

それと申しますのも、道徳とはなにかを明確にしないで、道徳的な物言いの批判、道徳批判をするというのが相変わらずすこしインテリめいた人、知識人に多いと思うからです。
芦田さんは電車にはお乗りになることはないかもしれませんが、例えば7人掛けの長いすには大抵の人が隙間を隣の人と空けつつ5-6人が、他に立っている人が多いのに座っています。これはこの人たちに道徳が欠けてるのか、気が利かないだけなのか、あるいは新宿でもどこでも周りをみないで歩き、人とぶつかっても振り向きもしない人たち、こういう人がほとんどの現状で道徳批判をすることにいかほどの意味があるのか、と日頃よく思うからです。

出野さんの対応とこういう人たちの行動のつながりを説明できるのか、芦田さんはどうお考えになるだろうか、では人によってのコミュニケーション能力の有無はどんな風に出来上がっていくのか、教育の問題とつながるのか、などいろいろと思った次第です。
今回の芦田さんの記事で多くの人がそういうふうに考えて行動するものか、と教えられたと思います。

投稿者 Y : 2005年12月16日 20:22

道徳とか知識人とかではなくて、出野様には大切なお客様に対する心がけが足りないのだと思いますが。友人に頼まれたのとは意味が違います。それだけのことでは?

投稿者 接客業経験者 : 2005年12月18日 11:24

 いつも芦田先生のページを見させていただいています。音楽のお話や映画のお話以外はとても難しくて・・・それでも毎日楽しみにしています。
今日のお話を主人にして(彼は仕事以外ほとんどパソコンをいじらない人です。そして本人曰くトップセールスマン?だそうです)あなたならどうする?ってきいて見ました。
 かれは「ぼくならお客さんのところに持参するね」と即答しました。お金の問題ではなく自分だったらどうしてもらいたいかをいつも考えているそうです。それが結局は信頼となって次の仕事に繋がるんだと、だからぼくにはお客さんのほうから仕事の依頼があって切れることがないんだよって。 商社マンの主人の一面を知って少し彼を見直しました。芦田先生のご指摘が相手の方に届けばいいのにと思います。

投稿者 平凡主婦 : 2005年12月19日 14:28

「平凡主婦」様

これはご夫婦の“おのろけ”に聞こえました。私のブログで、ご夫婦の会話が弾んだことを光栄に思います。

投稿者 ashida : 2005年12月20日 08:30

多くの人は特に今の職場で働きたいわけでもないのではないでしょうか。そういう人に会社精神を求めても無駄でしょう。多くの人は別に職業に愛着などないのではないでしょうか。

投稿者 おかざき : 2005年12月21日 09:45
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