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214 re(3):お正月、最後の映画は「八日目」で(ちょっと古いか?)。
2001/1/9(火)02:08 - 加藤 - 2236 hit(s)



芦田>  あまり深く考えるのはやめましょう。深く考えなくてもよいのが、映画のよいところです。


これはちょっと意外でした。ザウルスに対するメーカーのコンセプトとか、ICAの講座のタイトルとか、あらゆるものに対して「考える」ことを要求するのが芦田さんだと思っていたので。
深く考えなくてももちろんいいけど、深く考えることもできるのが映画です。
日本で公開されるアメリカ映画の大半(いわゆる「ハリウッド映画」)はたしかに深く考える必要まったくなし、というものばかりです。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見て「つじつまの合っていないところがある」と文句を言うのは野暮というものです。
しかし、ある種の映画は明らかに深く考えるに足るものを持っていますし、制作者が「この映画はハリウッド映画と違って、深く考えるに足るものを持っているぞ」といわんばかりの押しつけがましい作品も多々あります。そういう作品に対しては、娯楽第一の映画とは異なる視点から観て、考え、それなりの批評をするのも必要なことではないでしょうか。
しかし、映画の批評は「散文」の批評より難しいのも確かです。どんなにひどい筋書きでも、どんなにテーマがくだらなくても、どんなに役者が下手くそでも、思わず息をのむような美しいシーン(美しい「絵」というだけの意味ではありません)がたった一つあるだけで、その映画がすばらしい宝石のように思えたりしますから。(余談ですが、淀川長治がすごいのは、そういった(理屈ではなく)感覚的にすばらしい部分をきちんと見つけだして、他の人に伝えることができることです。)

ダウン症の主人公が最後に死んでしまうということ自体は、確かに批判にはあたりません。それが作品の中で必然性があるのであれば。
必然性というのは、筋書き上のつじつまという意味ではありません。観ている人が納得できるかどうかです。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は細かいつじつまは合っていませんが、観ている人はそんなところは気にせず、よくできたエンターテインメントとして納得して観ると思います。

私もこの映画の結末に違和感を持った一人なのですが、それは主人公が最後に死んでしまうのは残酷だとかいうことではありません。「自分を見失ったサラリーマンがダウン症の人間と出会い、人間性を取り戻していく」というテーマで感動させよう、最後に主人公が死ぬことで物語をより感動的にしよう、という「あざとさ」が見えるからです。(芦田さんがその部分で感動したかどうかは関係ないですよ。あくまでも制作側のねらい、ということです。)
そういった「あざとさ」が悪いのではありません。映画をつくる側は、必ず何らかの意味で感動させようと思っているはずですから。
問題は、その「あざとさ」を観る者に感じさせてしまう点です。私は、この映画全体の「きめの粗さ」(「つめの粗さ」ではありません)によって作品にのめりこめず、結果的に「あざとさ」が目立って感じられたのです。


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