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210 re(2):連載:高等教育・職業教育・生涯教育(2)
2001/1/8(月)23:06 - 芦田 - 1106 hit(s)


 そうですね。専門学校の“職業教育”は岐路に立たされています。これまでは、極端に言えば、大学の落ちこぼれの受け皿でしかなかった。ところが、2000年を前にして、高等教育進学者が50%を超えるという状況が生まれた。一方で10年前から少子化現象が指摘され、従来の意味での“落ちこぼれ”はいなくなった。全員が希望すれば大学へ行ける時代になったのです。

 したがって、大学のまねごとだけやっていた専門学校や短大はほとんどつぶれます。現にどんどんつぶれています。

 今、専門学校に問われていることは、本来の職業教育とは何かということです。
 ここで課題が生じます。はたしてみんなが大学へ行くべきなのか。文部省は、2005年には、大学院進学率を25%にまで拡大する方針をもっています。これは日本の高等教育をアメリカ型の高等国民教育へと展開する施策だと思います。

 一方で、高度知識社会。一方で、高度モラトリアム社会。両者とも高度資本主義社会の指標だと思いますが、この指標から見れば、大学進学率が増加し、大学がかつての高校になり、大学院がかつての大学になるのは歴史的な自然でもあるように思えます。

 しかし、ここで忘れてしまうのは、結局のところ職業教育とは何かという課題です。
大学進学率がかりに80%、100%になっても、かれらはすべて〈研究者〉になるわけではありません(研究者とは、第一に数の少ない者のことを言うのですから)。ほとんどの卒業生は、職業人になるのですから、進学率100%の大学生にとってのその大学教育は、ほとんど(高等な)一般教養にとどまるものにすぎません。

 大学進学率は、せいぜいのところ、20%以下に押さえるべきです。国立大学は、東大と京大だけくらいにして、あとの国立大学は全廃。私立大学は現在の半分にする。これで充分です。そうすれば、日本では幾分差別的に語られる職業教育をまじめに議論する体制ができるでしょう。もちろん現在の専門学校にそういったことをリードする体制は皆無といってもいいのかもしれない。

 いったい職業教育とは何かということについて、教育界には蓄積がないのです。私にも定かな確信があるわけではありません。とりあえず、連載を続けます。


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【204】 連載:高等教育・職業教育・生涯教育(2) 2001/1/7(日)04:02 芦田 (3816)
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