芦田の毎日

348 re(4):世界史とは何か？

2001/4/28(土)18:38 - 芦田宏直 - 35099 hit(s)

「３４４面白く読ませていただきました。３４０に質問です。下から３行目、カリキュラムを作るとき、現在の自分を（自分の過去に向かって）否定できるかどうかとありました。
なぜ？肯定することではなくてですか？」（３４６番）なんて、質問が来るだろうな、と思ってここのところを書いていました。ここは、他者と自己との関係（＝空間・世界）は、自己の過去との関係（＝時間・歴史）に転化する（その逆もある）ということを言いたかったわけです。「他者」とは、架橋し得ない空間的な隔たりであるかのように考えてしまいがちですが、そうではなくて、自分を追想することが「他者」の在処なのだということをいいたかったわけです。「他者」を空間的な距離と（してのみ）考えてしまうところに「コンプレックス」としての自己否定が生じますが、それを時間（歴史）として考えれば、「他者」は、想像力（＝思考）の問題になります。これが〈現在〉が〈世界史〉であり、〈自由〉であることの意味です。

「全然話は違いますが、「あの人は猿よ」とか「あいつは人にもっとも近い猿だ」とか
決めてしまいたがるのは心配だからですか？」（３４６番）。
そうではありません。その理由は、かつて「猿であった」自分を忘れているからです。現在の自分を歴史的に考えないのが、その理由です。いつも空間（的な隔たり）としてしか他人の存在を考えられないのが、その理由です。

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