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96 1/26(日)
23:51:52
 続・戸建て住宅を建てる思想(桜上水住宅展示場訪問記)  メール転送 芦田宏直  6373 

 
 今日は、昨日の続きで(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=95)、またもや午後2:00から桜上水駅前住宅展示場(http://www.purekyo.or.jp/main2-2-1.html)。

 まず、三井ホーム(http://www.mitsuihome.co.jp/)。担当は、篠原徳行さん(新宿営業所チームリーダー・マネージャー)。ここは、ツーバイフォー(2×4)工法(http://www.cfqlcs.go.jp/technical_information/tree_and_life/wl21.htm)の代表的なメーカー。ツーバイフォー(2×4)では、全国シェア30%を占めている。ツーバイフォー(2×4)工法を広めたのはひとえにこの会社といってもよい、などとあたかもわかったような気で書けるのは、篠原さんのツーバイフォー住宅にかける熱意と気迫に私が負けてしまったからだ。

 「ツーバイフォー(2×4)の技術の先端は、いつも三井ホームが切り開いてきたもの。他のツーバイフォー(2×4)メーカーにあって、三井ホームにはないツーバイフォー(2×4)技術というものはまったくありません。むしろツーバイフォー(2×4)の評価=三井ホームの住宅という評価の中で、積極的に全国のツーバイフォー業者たちの指導・教育や啓蒙を心がけてきたほどです」(篠原さん)。これにはまいった。

 私の前知識では、ツーバイフォー(2×4)工法の問題点は、開口部が大きく取れないこと。壁の中の通気性(結露)に問題があること。建物全体の換気・通気性能が(BOX個室の集合体のような体をなしているので)良くないことなどであったが、今日、お話を聞いて、そういった問題はかなりの程度、解消されているというのがわかった。

 篠原さんいわく。「ツーバイフォーは、すべての点で80点という建物。傑出した90点や100点というポイントはないが、どの点をとっても致命的な欠陥はなく、むしろどの課題を課せられても80点の高合格点が取れる」とのこと。たしかに、モデルルームには開口部の大きい窓がたくさんあったし、換気システムも標準装備で付いている。結露対策もグラスウールを使って処置がしてあり、なかなかのもの。

 間取りプランも、中二階的な書斎デスクから、リビングやダイニングを見通し(見下ろし)、リビング壁面の大画面スクリーンが(書斎デスクの)真正面前方に設置してある(もちろんリビングソファからもスクリーンは見える)、かの間取りは(どこかの雑誌かテレビ番組で見たことがあった)、三井ホームのものらしい(賞をとったデザインでもあるらしい)。素敵なプランだな、と思っていたが、実際に見ても魅力的なプランだ。スクリーンをあげれば(収納すれば)、壁面にはプラズマディスプレイがさりげなく設置してあった。これは、書斎派とAV派にとってはたまらない設計だ。

 この書斎から、リビング、ダイニングを見通せるLDKの一覧性(しかもリビングの天井は2階天井までの吹き抜けになっているからなおさら広く見える)は、とてもツーバイフォーとは思えない開放性がある。全体で25畳から30畳あるかないかの広さを柱や中仕切りなしで一気に見通せる。

 ツーバイフォーを建てるのなら絶対に「三井ホーム」。これが私の「三井ホーム」のまとめ。

 次は、「ミサワホーム」(http://www.misawa.co.jp/)。白幡裕(世田谷店店長)、榎本毅(杉並営業部営業1課課長)、桑垣雅一(世田谷営業部営業設計課担当課長MGデザイナー)のみなさんに対応していただいた。ここは、桜上水の展示場で待ち合わせたが、挨拶をした後は、高井戸の研究所のある(http://mhird.misawa.co.jp/gaiyou/)展示場の方にクルマで招待された。

 ミサワホームの特徴は、「パネル接着工法」(http://www.misawa-h.co.jp/jinji/shin/panel.html)というもの。これは(私の理解で)一言で言えば、ツーバイフォー工法の日本的な発展系とも言えるもの。ツーバイフォーの壁よりは強度の高い、両面に同じ強度の板を張り付けた「パネル(壁パネル)」を交互に貼り付け(「高分子接着剤」と「スクリュー釘」を使い)ながら組み立てていく。このパネルはすべて工場で前もって組み立てられたものであるため、現場の職人の工作精度に依存しない分、完成精度がツーバイフォーよりは高い。もうひとつの工法である、セラミック外壁を使った鉄骨造の方も、大半を工場で組み立て(こちらは部屋単位で組み立てられている)、現地で組み立てる部分はごくわずか。

 要するに、ミサワホームの特徴は、できるだけ現地の職人の精度にたよらずに、品質管理が徹底しやすい工法を使っているということだ。どんなにいい部材を使っても、あるいはどんなに優れた設計をしようと、結局は、現地の工作精度、組み立て精度次第で、建物の完成度は決まる。完成度を高めるとすれば、現地施工の割合を極力減らすしかない。それがパネル工法の思想だ。壁で剛性を持たせるという意味では、「パネル接着工法」とツーバイフォー工法とは同じだが、剛性の精度も結局はその壁が何処まで正確に作られているかで大きく性能が違ってくる。現地で壁を作るツーバイフォー工法では、その作り方の精度が落ちる分、完成度は低い、というのがミサワホームの言い分になる。

 設計自由度が低いという点では、ツーバイフォー工法と同じ問題を有しているが、実際見せていただいたモデル住宅は三井ホームと同じく、開口部も大きく、20畳、30畳の部屋くらいは自由に設計できる感じがした。特に20畳の2階部屋を仕切りなしに作って、それと同じ構造の部屋が同じ位置のまま階下でも可能だという。床構造がこれまた数本のハリで持たせるというよりは、すべてがハリ並みの強度を持った「床パネル」を張り巡らしているため仕切壁で上下の強度を持たせる必要がないとのこと。

 もうひとつの特徴は、木とプラスティックの中間のような素材の「M−WOOD」(http://www.misawa.co.jp/reason/reason05/)。これはミサワの独自開発素材。木ほどは質感は高くないが、可塑性が高く、コストも低い。プラスティックよりははるかに質感が高い(ちょっと見では、木に見える)。ミサワは「木を超えた木」と言っている。「M−WOOD」は上手に使えば、低コストで質感の高い内装を構築できる。

 私のまとめ。「ミサワホーム」の「パネル接着工法」は、壁モノコック構造(ツーバイフォー工法をも含めた)の最右翼と言える。「三井ホーム」と「ミサワホーム」は、好ライバルだ。後は設計力と価格競争力の問題になる。そうこうするうちに、時間は17:00を超えて暗くなっていた。

 細かいことだが、三井ホームとミサワホームで共通した仕様で感心したものがあった。サッシの内側(外側はアルミ)がすべてプラスティックになっている(私は最初はコストダウンのための窓枠と思っていたが)。プラスティックだと熱伝導率が低いので、温度差のある冬には結露しない。今頃の季節だと特に機密性の高いマンションなどでは、アルミサッシの内側に結露して、カーテンなどにカビが生えやすくなったり、アルミを止めている木枠が腐りやすくなったりする。それが、この内枠プラスティック仕様だと全く結露が発生しない(ミサワホームでは実際にわざわざ温度差のある部屋を作って、結露発生を比較できるブースを用意していた)。マンションと同じくらいに機密性が高い壁工法の両者では、こういった工夫は必須なのだろう。感心した。


●この二日間のまとめ
 
 最近は、住宅も消費財に近い。50年も同じ家に住むということはない。だから、家の構造的な特徴も素材の特性も、設計力に結実しないようでは何も意味がなくなる。ちょうどコンピュータの革新がソフト開発力に依存し始めているように、住宅も〈設計〉の時代のような気がした。どれもこれもそれなりの品質を兼ね備えているからだ。

 私が思ったのは、今回の大メーカー六社の狭小住宅設計を見てみたいということだった。どれもこれも適当な広さに甘えている設計のようにも見えたからだ。すべて40坪、50坪を超えるそこそこの広さのモデル住宅だった。これでは本当の設計力はわからない。広さがあれば、ほとんどは好みの問題でしかない。設計力は、狭い空間(と超高層のような極大の空間)でこそその実力が問われる。どこか狭小住宅展示場といったものはないのだろうか。

 さて、今回訪問したメーカー系各社の整理

★軸組在来工法
 三井ハウス
 住友林業

★鉄骨構造
 旭化成
 パナホーム

★壁工法系(ツーバイフォー・パネル工法)
 三井ホーム
 ミサワホーム

 いずれにしても今回お願いする各メーカーはどんな〈生活〉をデザインしてくれるのだろうか。各社すべて、最強のチームを率いてコンペに参加してくださるとのこと。次は、現地に業者を招いての説明会を開催する。楽しみでならない。

 追伸:しかし、こんな不況時代にでも、日曜日の住宅展示場の駐車場は満杯。楽しそうに家族連れで各展示場を回る(幸せな)人たちを見て、なぜか腹が立つのは私だけではあるまい。社会、というのは不思議なものだ。


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