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109 ネット時代の広告
2000/11/26(日)23:00 - 芦田 - 2248 hit(s)


 労働省の研究会(これについては、「芦田の毎日」7番、108番で言及)が19:10(11/24)に終わったので、このまま帰っては、新橋に来た意味がないと思って(もちろんキムラヤでは30分ほどうろうろしていたが、アルマーニのネクタイはドンキホーテの方が安かった)、銀座の広告社(老舗の広告代理店)のメンバーに連絡をとって、夕食でも食べながら情報交換でもしようと思った。場所はもちろん「天狗」。何を隠そう、私は「天狗」の大ファン。特にネギトロ巻きの品質管理は大したもので、どこの「天狗」に行っても、味がかわらない。すごいと思うのは海苔の新鮮さ。下手なすしやよりもおいしくて、これには他の居酒屋はかなわない。
 さて、そこで問題になったのは、広告代理店の「代理」という言葉。「最近は広告代理店とは言わず、広告会社と言ったりもするんですよ」と担当者。「ネット時代、これからの広告“代理”店はどうなるのでしょうかね」。老舗の広告会社も悩んでいるんだなぁ…。
 そういえば、この間、テラハウスに、バナーズなんとかという会社の営業が来ていて、インターネット上に広告を出さないか、という提案をしていた(こういった提案は、テラハウスにいると月に何度かある)。その提案は、ネット上でテラハウスについての質問を3問与え、それに答えたら、そのサイトの会員はポイントを獲得し、ポイントを加算しながら、そのサイトに登録するショップでポイント分の減額サービスを受けながらショッピングできるというもの。
 広告主のメリットは、質問に答えなければならないため、テラハウスの情報を周知しやすい、その周知の延長上でクロージングに持っていくための機会が増大するというものだった。
 広告料は、サイトの会員が、一問回答(正答)するたびに100円(3問で300円)。この金額は加算式ではなく、最初のロットは3000件回答の先払い。つまり最低でも30万円分は先払いしなければならない。この金額が切れたら(3000件の正答が生じたら)、また再契約の判断をせまられるというものだ。
私は、こういった先払いの広告掲載は、古いメディアの形式だと思う。こういった30万円は、たとえば、紙のメディア(たとえば、『ケイコとマナブ』や『仕事の教室』)のページのある部分を買い取って広告を打つという形態と同じものだ。
何が同じなのか? 成果報酬型ではないということである。これまで広告会社(広告“代理”店)は、こうすればお客様がこられますよ、と様々なメディアを紹介し、実際には来るか来ないかわからない内にメディアコストを先徴収してきた。実際、前もって言ったとおりにお客様が来る場合もあったし、来ない場合もあった。来ても来なくても、先払いしたコストは同じ。広告主は、来たら得をし、来なかったら損をする。損をした場合に特に損害賠償があるわけでもないし、得をしたから広告会社がその分儲かるわけでもない。せいぜいのところ、広告会社への信頼感がまして広告主のリピータ率が若干高まる程度のことだ。こういった広告主と広告会社(広告“代理”店)との曖昧な関係の中で、「費用対効果」というもっともそうでわけのわからないマーケティング用語が飛び交っていたわけだ。
なぜ、媒体費用は、先払い(先契約)になるのか? 媒体にお金がかかるからだ。制作費(デザイン、印刷、放映費用など)や流通コストなど、さまざまなコストがその効果測定ができる前にかかっているからである。だから、その分、先払い(費用の先契約)になるのである。
しかし、ネットメディアは、そういったコストはほとんどかからない。今、多くの広告会社は、コストがかからないネットメディアを使って、安易な思いつきの企画を乱発している。他のメディアと違って、準備期間やプロジェクトスタッフの組織化、あるいは先投資が(他のメディアに比べれば)ほとんど不要。その分、安易な企画も通りやすい。稟議の上長も金がかからない分何も考えずにはんこを押してしまうのである。
一方、クライアントも従来のメディアの延長で費用を考えるため、先払いのコストをそのまま払ってしまう。そうなると広告会社は大儲けだ。元手がほとんどかかっていないからだ。ますます図に乗った企画が蔓延する。
しかし、誰でも参画できる(安易な)企画である分、競争が激化する。そして多くのネットメディアは生き残れない。これが現在のE-マーケティングの実態だ。
お金がかからないところで、お金を取ろうとするからいけないのだ。制作費や流通コストがかからないにも関わらず、従来通りの先払い(コストの先契約)を強要するのがいけないのだ。先の例で言えば、まだクローズィングしていない、質問に答えただけの段階で100円の金を取るな、ということだ。しかも減点制で先に3000件分30万円の“掲載費用”を取られる、そんなバカなことはない。今、安易な広告会社は、利幅が大きいこのネットメディア“粗利”に目がくらんでしまっている。
メディアにコストがかからないということの意味は、ネットメディアは成功報酬型のメディアだということだ。
そんな子供だましのようなクイズの正解で、広告主から金を取るのではなくて、広告主の目的そのものであるクローズィングの件数で費用を取ること(たとえば契約高の10%をペイバックするというように)をなぜ考えないのか? 
ネットメディアこそが、成功報酬型の広告を可能にする。広告主が儲かれば儲かるほど広告会社も儲かる。広告と経営の垣根がネットメディア上では低くなり、より経営的な感覚のある広告会社が生き残る。これは広告の健全な発展だ。
媒体コストが広告会社にとっても(とってこそ)負担にならないということは、広告会社は、直接顧客を組織し、またその顧客を直接広告主に結びつけることができるということだ。これは別に新しいことではない。この商品を(本当に)必要としている顧客はどこにいるのか、という広告会社本来の仕事がますます先鋭化するだけのことである。したがって、広告会社にとって、ネットメディア事業にどう参加するべきかなのというのは、選択の問題ではない。成功報酬型は、広告そのものの本来の形式なのである。ここで生き残れない広告会社は、本質的に広告の意味がわかっていない会社だということだ。要するに「費用対効果」などということを未だに言い続けている広告会社もそのクライアントも、消滅するしかないということである。
もともと広告主は、広告評価(「費用対効果」検証)などしたくないのだ。してもほとんど気休めだからである。広告主が広告評価をせざるを得ないこと自体が、広告営業の失態(広告会社の無能力)なのである。従来は、広告会社(広告“代理”店)のこの怠慢を、営業マンの営業力(=ウソを本当らしく見せる能力)が補ってきた。しかしネットメディアでは、営業マンの(広告主にコストを先払いさせるための)セールストークは、必要がなくなる。成功報酬型の広告掲載を拒む広告主はいないからだ。掲載しない方がおかしいのである。
そう言って、私は、先のバナーズなんとかという会社に、100円とは言わず、クローズィングしたらお客様の契約額の10%を出すから、そういった契約ができないのか、と持ちかけた。社長にそういいなさい、と。「それで社長が首を横に振るなら、あなた達の会社もそう長くはない。ネットビジネスが何であるのかを何もわかってはいないのだから」と。
さて、どんな返答が来るのか楽しみだ。


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