モバイル『芦田の毎日』

mobile ver1.0

「MSキャビン」の中田郷子は間違っている ― 患者団体はなぜ反動的になるのか(いくつかのコメントを頂きました)[家内の症状報告]
(2008-10-20 00:50:15) by 芦田 宏直


< ページ移動: 1 2 3 >

先週「日本経済新聞」(10月14日夕刊)でも、「神経の難病、多発性硬化症 ― 型見極め治療・副作用を回避」という特集記事が発表された。

こんな感じの記事だ。

「(多発性硬化症の)一般的な治療法はインターフェロンベータの投与。日本神経治療学会と日本神経免疫学会が2004年にまとめたガイドラインでも有効な治療法としている。しかし副作用が相次ぎ、見直す動きが進む」。

2003年の厚労省の調査でも308人中114人が中止をしていた。その後、特に「視神経脊髄型と呼ぶタイプに深刻な作用が出ることがわかってきた」(山村隆/国立・神経センター神経研究所免疫研究部長)。

視神経脊髄型の場合は、「インターフェロンベータではなく、ステロイド剤の投与が有効な治療法となる」

「視神経脊髄型かどうか見極めるには、幹部のMRI検査などとともに抗アクアポリン4抗体の有無を調べる」。

「タイプによって治療が異なることを知らない医師はまだ多い。患者は専門医に相談し、自分がどちらなのか確認して治療を受けて欲しい」(前出・山村隆)というのがこの記事の結論だった。

今年の4月の読売新聞以来(http://www.ashida.info/blog/2008/04/post_284.html)の大新聞社の報道だ。こういった報道が半年経った今でも一般紙に報道されるのには理由がある。

厚労省も患者団体「MSキャビン(http://www.mscabin.org/pc/home.html)」「MS友の会(http://www.h2.dion.ne.jp/~msfriend/mokuji/contents.html)」も、抗アクアポリン4抗体の検査についてまともな反応をしていないからだ。

厚労省が保守的なのはわかるが、「MS友の会」はほとんど沈黙、「MSキャビン」に至っては反動的とも言える啓蒙活動をやっている。

まず「厚労省」は読売新聞の4月の記事に対して、「新聞報道では、抗体とだけ書かれており、その詳しい説明はありませんが、これは抗アクアポリン4抗体のことです。この抗体が陽性の場合は、IFNβ(インターフェロンベータ=ベタフェロン)の治療効果が明らかでないことが多いため中止されていることが多いようです。今回の新聞報道について、不安をお持ちの患者さん・ご家族の方は、主治医の先生によくご相談されてください。自己判断で治療を中止しないようにして下さい」(http://plaza.umin.ac.jp/~nimmunol/official/med/20080423.html)と。

これは一言で言えば、IFNβ(インターフェロンベータ=ベタフェロン)投与を安易に止めるなと言うものだ。治療法の選択に関わる新しい発見があるのなら、安易に(無理をして)続けるなというのならわかるが、文面は「自己判断で治療を中止しないようにして下さい」となっている。

私が本来の意味で保守的な厚労省の役人なら、「IFNβの副作用などが強く、症状の改善が見られない状態にある(特に視神経脊髄型の)患者さん・ご家族のみなさんは抗アクアポリン4抗体検査を受けるなど主治医の先生によくご相談されてください」と書くだろう。あるいは治療未開始の初診者でMRI検査後「視神経脊髄型MS」ですと診断が下された場合には、「速やかに抗AQP4抗体検査を受けましょう」くらいは書くでしょう。にもかかわらず、なぜ「IFNβ治療を中止しないようにして下さい」なのか。

私の感覚では、未だに多発性硬化症と診断された場合には、「IFNβだけがエビデンスのある治療薬」と認識している医師の方が多い。「タイプによって治療が異なることを知らない医師はまだ多い」(山村隆・国立神経研究所)のである。この山村の発言は今回の日経夕刊(10月14日)の発言。今現在でも「多発性硬化症にはIFNβ」という認識がまかり通っている。

視神経脊髄型陽性患者のIFNβ投与は気をつけた方がいい、あるいは避けるべきだという認識の方がまだまだ少数派なのである。逆に言えば、 IFNβが害悪になる場合があるという情報を(どこからか)得て、IFNβが効いているにもかかわらずその投与を中止する患者の方がはるかに少ないということだ。

その少数派に対して「自己判断で治療を中止しないようにして下さい」と厚労省は訴えているのである。

厚労省が、製薬会社やそれに連なる大学教授たち(たぶん関西系研究者)に遠慮して、そういった注意コメントを公表するのはまだわかる(よくあることだ)。

しかし患者団体のMSキャビンまでもが、同じ種類のコメントをするのはなぜか。

MSキャビンは、読売新聞の発表後1週間して、「NMOとMS」と題する記事を代表の中田郷子自身が発表した(http://www.mscabin.org/pc/nmo.html)。※なおこの中田の記事は私のこの記事が掲載されて以降、掲載が取り消されています。理由はわかりません(苦笑)

< ページ移動: 1 2 3 >


コメント(8)
次の記事へ >
< 前の記事へ
TOPへ戻る