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1123 12/4(日)
21:57:37
 症状報告(69)―介護ベッドとは何か?  メール転送 芦田宏直  4705 

 
家内の退院は、年内クリスマスイブまでにはなんとかなりそうだ。

今回の退院のために、“介護ベッド”を買うことにした。フランスベッドのFBN-730WD29(https://www.homecare.ne.jp/homecare2000/bcart2.cgi)だ。足の感覚がもともと弱いので身体上部がモーターで持ち上がった方がベッドから離れやすい。このベッドは、3モーター内蔵。上部が持ち上がるだけではなく、足下も上がるし、ベッド全体も上下動する。便利だ。

もともと家内の我が家でのベッドは貧弱この上ないものだった。我が家は2LDK。書斎を兼ねた寝室にダブルベッドで(以前は)寝ていたが、退院後は体温管理が異なるため一緒にベッドを共有できない。私は極度な暑がり。冬でも気付いたら上布団をまたいで、背中丸出しで寝ているくらい暑がり。家内は足を暖めないと痛みが強くなる。だから寝室は別にして家内の方がリビングのソファーの上にマットを引いてそれをベッド変わりにしていたが、やはり本物のベッドとは寝心地が違う。ソファーでは少し柔らかすぎて寝返りなどがしづらかったらしい。

かといって、書斎を兼ねた寝室には、大きな本棚が3面の壁を埋めており、机もある。ツインベッドを置くには備え付けの書棚(50万円!もかけて作った書棚)や机を排除するしかない。私にとっては、書棚も机も自分の命よりも大切なもの。ましてや家内のベッドのためになんて…なかなか踏ん切りが付かなかったが、今回の再入院がいいタイミングだったのかもしれない。普通に考えれば、病人のベッド(就寝環境=就寝)は、どんな薬よりも大切なものなのかもしれない。仕方がない。勉強はどこでもできるが、眠ることは場所を選ぶ。

そう思って、ぶらっとフランスベッドのショールーム(新宿区百人町http://www.fbms.jp/shinjukushop/)をのぞいたら、介護ベッドが結構コンパクトなものであることを知った。これなら狭い寝室でも大丈夫だ、と気が楽になった。それに「高級家具調タイプ」もある。決して高級には見えないが、介護ベッドふうに無機質なわけでもない。

しかしそうなると今あるダブルベッドをどうするのか? ダブルベッドをそのままにこの介護ベッドを置くと、もう間際の壁まで150センチしかない。だからシングルベッドを私自身が買い足さなければならない。面倒くさいことだ。

フランスベッドショールームで、購入予定のベッドに実際に寝てみて、3モーターの威力(この3モーターは作動中でも全くの無音、たいしたものだ)を確かめているうちに、ふと思った。これなら私も使いたい! 

私は就寝時にいつも足先が熱くなる。夏などはアイスノンを足で抱えながら寝るくらいに足先が熱くなる。それもあって、足下にも枕を引いて少し足先を上げて眠ると眠りやすい。このベッドだと、それが自然にできる。角度は連続的に変化するから枕を置くよりもはるかに高さが最適化できる。

さらに背もたれの角度も自由自在だから、読書もテレビ鑑賞もこのベッドから一歩も出ることなくできる。介護用のベッドテーブル(https://www.homecare.ne.jp/homecare2000/bcart2.cgi)を買えば、パソコンで『芦田の毎日』も打ち続けることができる。これで、最近我が家にやってきたSONYの8チューナ+2テラバイトHDDのVGX-XV80S/(http://www.vaio.sony.co.jp/Products/VGX-XV80S/)を寝室のテレビに接続すれば、年末とお正月はベッド三昧だ。さらにマッサージ機能(+低周波治療器)でも付いていれば最高なのだが。

そもそも「介護ベッド」という言い方がおかしい。病身でフル活動できない家内にはむしろもったいないくらいだ。介護ベッドはそれが本来の機能を果たすとすればユニバーサルデザインであるべきなのだ。こうなったら、私もこのベッドを買うしかない。これなら、デザイン的にも同じものが並びおかしくはない。それに別の(“普通”の)ベッドを買いにデパートに行く手間も省ける。

24日の16:00納品。家内へのクリスマスプレゼントというよりは、私自身が盛り上がりそうだ。死ぬまで、このベッド。まさに眠りの本質を言い当てているという点でもユニバーサルだ。ユニバーサルデザインとは〈機能〉をユニバーサルにデザインしているのではなくて、〈時間〉をユニバーサルにデザインしているのである。デザインの本質は空間にあるのではなくて時間の中にある。

ところで、家内の入院病棟の男性(老人)の患者が、2、3日前、家内と廊下ですれ違って「死んだ女房にそっくりだ」と親切に声をかけてくれたらしい。ところが昨日、同じように廊下ですれ違って、その男性が「本当に死んだ女房にそっくりだ」と話しかけたところで、そこを看護婦さんが通過。「あら、あなた奥さんいるじゃないの」と看護婦さんが一言。ばつが悪そうにその老人は去って行った。病院の患者たちには、いろいろな“生活の知恵”がある。どこにいても人間は“生活”を有している。


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