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パソコン一つで世界を動かす ― 大学の情報教育は、国・公・私立大学問わず、未だに「電気通信」時代のカリキュラムにとどまっており、今日の「情報」教育に対応できていない。(Ver.1.0[教育]
(2024-03-02 17:37:03) by 芦田 宏直


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※2位 食品・農林・水産、3位 薬品・化粧品、4位 官公庁・公社・団体、5位 繊維・化学・ゴム・硝子など、6位 電子・電気機器、7位 医療系、8位 自動車系、9位 銀行・証券、10位 機械・プラント(以上『マイナビキャリアサポート』サイトより)

●分断されているIT産業 ― アジャイルソフトウェア開発、環境システム設計の必要性

一口にIT企業と言っても、狭い意味での「プログラマー」しかいない下請的な企業もあります。システムの設計とプログラミング&完成品の運用という仕事とが、産業構造自体で分断されているのが日本のIT産業の特徴です。地方IT企業と大都市IT企業との分断にもなっています。いわゆる下流工程(プログラミングとシステムの管理・運用)と上流工程(システム企画立案とシステム設計)とが産業的、地域的に分離しているのです。

そして、日本のIT教育もまた、あまりプログラミング教育を熱心にやらない大学教育とプログラミングに偏りがちな専門学校に分断されています。
しかし、システム開発におけるこのような、産業的、地域的、教育的分断こそが日本のIT産業の飛躍的な発展を阻害する要因になっています。プログラミングにも設計にも熟知していないと、今日の、変化の早い組織やマーケットの動きに対応できるシステムを構築できないからです。机の上(頭の中)できちんとした設計図を完成させて、それから実行するという旧来のやりかたでは、実際やってみると不都合なことがたくさん起こり、なんども設計やプログラムを書き直すことになり、どんどん納品日が遅れていきます。また納品してこそ発覚するミスもあり、それを社内外(下請け地方IT企業−元請け大都市IT企業)の設計-実装(プログラミング)の分断の中で処理することになると混乱はますます拡大します。

こういった混乱を招いているのは、新卒(大卒・大学院卒)人材もまた分断されているからです。大学は〈設計〉しか興味がない。専門学校は〈プログラミング〉に偏重している。つまり頭の設計と手足のプログラミングとが分離した教育しか存在していない。本来のIT教育、あるいは今日のIT教育は、設計から実装までのプログラミングをトータルに学び、その中で小刻みなテストと検証をくり返す過程をカリキュラムの中で再現する必要があります。本学科が、?プログラミング技術 ?WEB技術 ?データベース ?システム工学の四本柱をバランスよく充分な時間を確保してカリキュラムを作った意味もこの再現性を意識してのことです。

この手法を昨今の言葉で言うと「アジャイルソフトウェア開発」 ― これに比して、従来のソフトウェア開発の手法を「ウォーターフォールモデル開発」(まず〈設計〉を完成させて水が高いところ(上流)から低いところへと流れるようにプログラミング(下流)へと進むというソフトウェア開発) ― と言います。

アジャイルソフトウェア開発(「アジャイル(Agile)」とは「迅速な」「機敏な」という意味を持つ英語です)は、2001年にアメリカ(ユタ州)で、Robert C. Martin、Martin Fowler、Kent Beckなどオブジェクト指向のカリスマエンジニアたちによって始まりました。設計とプログラミングとを一体的に行い、設計→実装→テストを小刻みな単位でくり返しながら、開発期間の短縮、コストの削減、顧客要求とその変化に迅速に対応できる手法です。

長い時間や高コストをかけてシステムを作っても、使われていくうちに新しいニーズが生まれ、導入直後から陳腐化していくのが、この世界の?商品?。たえざる改善や改善のしやすさ(システムの柔軟性、可塑性)に配慮したシステム開発が求められています。

本学科が「環境情報学科」と、ことさらに「環境」を意識した情報学を提唱しようとしている意図は、開発前、開発後のあらゆるコストに配慮した、環境に優しい、環境適合性の高いシステム開発を担える人材を作ろうとしているからです。

われわれが提唱する〈環境情報学〉は、ソフトウェア開発過程の上流(設計)と下流(実装プログラミング)との間を自由に行き来できるという点で、現在の大学教育や専門学校教育とは一線を画しています。最先端の「アジャイルソフトウェア開発」はもちろんのこと、従来の「ウォーターフォールモデル開発」までを幅広く、且つ深く学べる環境情報学科の誕生です。ご期待下さい。

●学部長に深澤良彰(大学ICT推進協議会AXIES会長)、学部顧問に鷲崎弘宣(世界コンピュータ会議IEEE会長)を迎え、グローバル水準の教員陣を揃えています。

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