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【増補版】一生に一度の披露宴謝辞(親族を代表して)[日常]
(2023-06-12 14:49:24) by 芦田 宏直


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この二つの〈性〉の違いは大きい。相対的に言って、男性は、いつでも女性の好き嫌い(女性の選別基準)が明確ですが、女性は、愛すべき(愛されるべき)原型を原初に逸している分、とても曖昧です。

一言で言うと、女性は、男性に愛されることによってはじめて愛し返すパワーを得るということです。一方、男性は、自分が(相手のことを)大好き!と思うだけでもう恋愛は終わっているわけです。男性の恋愛は最初から終わっている。いつでも好きで選んだ女性は満点以上なわけです。不満はない。「えっ、こんな女のどこが」とみんなに言われても関係ない。

女性はその逆で、どんな男性に選ばれても不安なままです。原型がないからです。「大好き!」と毎日男性から言われ続けないと(言葉だけではなく、行動でも示さないと)、いつでもどこへでも飛んでいく存在です(よく言えば、まさにその種の花粉 ― 生物学では花粉は精子らしいのですが ― のような仕方で、女性の柔軟な生命力が存在しているのですが)。

生涯、相手に対して「満点」をつけることがないのが女性の本質です。定年退職の日に、妻に、三つ指つかれて「お世話になりました」と、別離を告げられ動転する亭主がいますが、原初の両性の異質な体験がそうさせているわけです。満点だった、わざわざ「好き」と言うまでもなく好きな女性(妻)から突然「別れたい」と言われるのだから、そりゃ、大変なことです。男性からすれば「突然」であっても、女性からすればつもりに積もった我慢がそこで爆発したわけです。

はたして、うちの太郎は、いま新婦のナツコさんからみて何点の男なんでしょうか。(先ほどの二人のなれそめのビデオを見ていたら)いつもデートするとき何メートルも前を勝手に歩く太郎の後ろ姿をみて、ナツコさんは、「この人が好きだ」と思ったらしいのですが ― その勝手に先を歩く癖は私の癖そのものだったのですが ― 、そんなに距離を置いて、これから何十年にも渡る男の身勝手な?愛?がもつのでしょうか(会場・笑)。

ナツコさんの謝辞によれば、私は「シャイ」な人らしいのですが、たしかに50年以上に渡る家内との関係の中で「好きだ」と家内に言ったことは一度もありません。中学校以来50年以上も(正確に言えば55年以上も)そんな勝手な愛し方をすると(家内とは同級生恋愛でした)、その家内は2003年に難病(初期には「多発性硬化症」と誤診され、結局「視神経脊髄炎」ということに)で倒れてしまい車椅子生活を余儀なくされ、20年に渡る過剰なステロイド投薬で「ムーンフェイス&バッファローショルダー」のおデブさんになった (家内に代わって弁解すると、彼女のステロイド投薬以前の体重は48キロ、身長は中学校以来162センチでした。今日ここにきている世田谷区立千歳中学校の同級生たちは、「太郎のおかあさん、あんなにデブだっけ」とびっくりしていると思いますが、これは?ステロイドデブ?です)。

今日は結婚式+披露宴+開式前の準備など8時間あまり車椅子のままなんとかもちましたが、この会場には別室に休憩用のベッドを用意、ヘルパーも2名待機しておりました。無事終えることができそうでホッとしておりますが、こんなことを親子に渡ってくり返してはいけません。『めちゃイケ』では私の指導が効いて少しは見倣ってくれたところがあったかと思いますが、これからは、しっかりナツコさんをホールドし、夫婦揃って元気に添い遂げていただきたいと思います。

今日は、台風一過の快晴になりましたが、(岐阜在住の)新婦のお父様は、昨夜から新幹線移動ができず、本日正午からやっと動きはじめた新幹線名古屋駅構内で5時間立ちん坊で並ばれ、やっと乗車できた新幹線の中では1.5時間立ちっぱなしだったそうです。次女(ナツコさん)で、最後の娘の結婚式には特別な感慨があったでしょうが、さぞ悔いが残る5時間+1.5時間だったでしょう。そんな中でもお父様は同じように名古屋駅構内で待ち並ぶ幼い子どもたちやその家族を(自分より)先へ先へ進ませておられたらしい。式典はその優しいお父様の気持ちが充分に表れたよい式典でした。

お父様以外にも、台風通過の交通トラブルの中、駆けつけてくださったみなさま、3時間を優に超える披露宴にお付き合いいただいてありがとうございました。みなさまのますますのご健康とご健勝を祈念して、両家を代表しての御挨拶に代えたいと思います。今後とも旅立つ二人をご支援ください。ありがとうございました(会場・拍手)。


2023/06/03 オークラ東京(2階「オーチャード」)にて

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