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ミクシィ(MIXI)の時代 ― インターネット時代における主体の再生(2006-10-09 03:32:24)へのコメント

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by 「伊藤」(2006-10-09 18:32:12)

ご無沙汰しております。

わたくしは伊藤という苗字でかつて(大学院時代の)芦田さんと少し交流させてもらったことのある者です。

当時は芦田さんの毒気の強さ、と恋愛論の頑固さが嫌いというか苦手でした。

し、しかし年齢を重ねるとともに芦田さんの面白さが分かる気がしてきます。

『芦田の毎日』はどうも一般常識にくらべてひねりがありすぎて、御著書『書物の時間』同様、わからないところが多すぎます。

でもいつか教養を積んで一字一句理解したいと思っています。

今回のミクシィの、この記事もさすがにひねってますね。

再度熟読の上、感想を書き込みさせていただきたく思います。


by ashida(2006-10-09 18:44:35)

「伊藤」様

「伊藤」様、思い出せそうで、思い出せません。当時の連中に問い合わせてみます。

そうですか。わかりづらいですか。特に意識的にひねっているつもりではないのですが、納得のいく仕事(社会的にも、思想的にも)をしている人が少ない、と嘆いているだけです。

でも、時間がかかってわかってもらえそうだ、というのはありがたいですね。その時はわかった気になっていても、あとで考えたら、騙された、というのよりは、はるかにうれしい。しかも数十年経っている。「恋愛論の頑固さ」も未だに衰えていませんよ。そんなこんなで、ありがたいことです。
 
しかし、わかりやすい、ということは、どんなときにでも大切なことですから、心がけているつもりです(いつでも心がけていますよ)。斜め読みを絶対させない、という気概はいつでも持って書いていますが。

かつての知人が、こうやってブログに訪れてくれるのは大変ありがたいことです。また学校にでも来てください。お逢いしたいですね。


by 伊藤(2006-10-10 14:02:25)

芦田様

ご丁重なお返事をいただきまして、誠に痛み入ります。
しかし、私は伊藤「様」と呼んでいただくような者でもないのですが・・・・・・。

おそらく芦田さんが新しく本を出版されたとしても私はどうにも恐れ多いような、その他の理由で手紙を差し上げる、などということはありえないと思います。

必ずしも私的な場とは言えない「芦田の毎日」という場所でまるで手紙を差し上げるかのような文面で書き込みさせていただきましたが、そういう公と私が同時にあるような場所としてブログが存在しているという面もあるのではないか、許されるのではなかろうかと考えて、ああいうなれなれしいといわれても仕方ないような書き方をしました。

それにしても専門学校の校長先生とは意外なことです。
先生の恋愛論のエピソードのひとつは私を震撼させ、その話を私が他の者にするとその者もまた世界を凍らせるような言葉を聞いてしまったという顔をするという恐ろしいものでした。その恋愛論がなお健在とは恐ろしい気がします。

私自身はちょうど先週にミクシィをはじめたところというタイミングもあったのですが、実は「IT」はあまり縁がないのです。

ただ「IT」環境がこれまでならば、おそらくなかったような交友の途絶えていたような人と人を結ぶということ、しかもその人の思考、核心に出会えるということに素直に感動して書き込みをしました。

先生のミクシィ論の核心は最後の3段落ですが、先生のまさに先生であるがゆえんの修辞を俗に言い直せば「メディア環境」ということでよいのでしょうか。

パソコンの世界における相互性の登場、それに対応する主体形成、相互性が言われながら、実は独り言、情報の一方通行であったパソコンの世界において情報に主体が相互的に関わりつつ形成することができる、あるいは主体、人間自身が情報でありうる「最初の」または「あたらしい」仕組みという評価と読んでよいのでしょうか。少しだけ私のミクシィの感想を書かせてください。

ミクシィでも当然演じられてるキャラクターは多いそう(よう)ですが、それでもいかにもその人らしい「日記」を書く表現者や、評論的な文章ではキャラクターを偽ることができないので、真摯な表現にかかわることができるという点で、「同じ主体」の自己形成が行われることが感じられます。

ただ他の媒体例えば本だと多くの場合本名、ないしはもっともらしい普通の名前を著者が持って出版されます。
でもミクシィは基本的にパソコンコミュニケーションにおいては支配的な可愛らしげな、かっこの良い、なにか自己主張を込めたとても人の姓名とはちがった「ハンドルネーム」が使われます。

もともとハンドルネームそれを遡ればニックネームというものはあくまでも親密な者同士の、そのサークルの外から見れば排他的ともいいうる自己完結性をもった関係で用いられることが通常と思います。

そうであればそれはいくら広がっても、あるサークル、村の拡大であって、けっして普遍的な人をつなぐ言葉は持ち得ないのではないか、という気がします。(この最後の文章は今のところどうしても言いたいことがうまく表現できませんので、これでお許しいただきたいと思います。)

ちょうど『芦田の毎日』が心を動かすのはやはり「芦田宏直」というご本名で書かれてるからであって、もし「ピンキーの毎日」だったらやっぱり感じ方がちがうのではないかと思うのです(ここで本名を名のらない私が言うのも矛盾なのですが)。

長々と恐縮です。

追伸  おそらく管理人の方が最初の私の書き込みに(大学院時代の)交流のあった者と分かりやすく修正なさったのだと思うのですが、それは芦田さんが32、3歳(オーバードクターの頃)でいらっしゃったころだと思います。

ふりかえれば芦田さんの言葉は印象的なものが多いですね。

「外国語ができることがえらいんじゃないよ。そんなこと言ってたら勉強できないよ。おれなんかどんな翻訳者よりデリダを分かってるよ。吉本(隆明)じゃないけど、馬鹿な学者は翻訳だけやってればいいんであって(それだけでも逆に立派なことであって)、翻訳もしないで自分のくだらない私見をだらだらと述べるのは許せないよ。語学ができることと思想とは別だよ」。

『芦田の毎日』の読者の皆さんに若い時代の芦田さんを紹介したい気持ちになりました。



by 早稲田の後輩より(2006-10-15 17:14:49)

ミクシィ(MIXI)、お誘いいただいてありがとうございました。いい機会を与えていただいて感謝しております。mixiにはこれまで3度ほど誘われたことがあるのですが、怠惰ゆえに見送っていまして、今回が初登録になります。

 芦田さんのmixi論、興味深く拝見しました。mixiが、言われるように「インターネット時代における主体の再生」につながるものなのかどうか、上記のような事情で初めて使うのでよくわかりません。ただ、ハイパーテキストというインターネットの根底をなす技術では個人が実在性を実感できず、そうした状態に抗する主体の再生を企てなければならない、という問題の立て方には基本的に共感を覚えます。

 問題意識が重なっているかどうかわかりませんが、次のようなことを考えることがあります。インターネットの思想家アラン・ケイに「アトラス」という概念がありました。それは、全世界の書物がすべてハイパーテキスト化されリンクしあっているという理想の図書館、テキストのユートピアといったような構想です。しかしこの発想は、まあそもそも諸言語間の共訳不可能性ということを考えただけでもおよそムリなものなわけですが、もしそれが仮に実現されたとしても、大して面白いことにならないだろうな、と思うわけです。

 それに対して、例えば知り合いの家に上がりこんで本棚を覗いてみる。そんなとき、棚にどんな風に本が並んでいるかを見ていると、その人の「魂」のようなものを感じることがあります。ラカンの本の隣に正岡子規が並んでたり、西田幾多郎の隣に片岡義男の恋愛小説が並んでたり、「普通はこんな並べ方ありえねえだろ!」というようなとき、それが「魂」なのか「主体性」なのかわかりませんが、そんなものが見えてくる。

すべての書物が等価につながりあっているハイパーテキストでは生じ得ない、つながり方の「偏差」のようなものが、「主体」を生産するのではないか。それが大切なんじゃないか、と。

 よくわからんことを書きました。いろいろご教示いただければ幸いです。

 ミクシィ(MIXI)論の先のコメントに、伊藤さんという方が、若いとき芦田さんに教わった印象深い言葉を書かれていましたね。

私にも、ひとつだけ覚えている芦田さんの大切な言葉があります。

それは「何かひとつのことを知ると、必ずその知識の影に隠されて見えなくなるものがある。知とはそういうものなんだ」という言葉です。

ご本人は忘れておられるでしょうが、これまでの人生で何度も思い返した貴重な教えでした。


by ashida(2006-10-15 20:08:52)

「後輩」様

「すべての書物が等価につながりあっているハイパーテキストでは生じ得ない、つながり方の『偏差』のようなものが、『主体』を生産するのではないか」。

いいですね。私が言いたかったことはそういうことです。あなたのいう「偏差」は帰趨(レファランス)を持つからこそ生じるような差異です。これはしたがって、ソシュールがいったような意味での「差異」ではありません。記号論的な差異ではなく、意味論的な差異です。

もう少し、お互いじっくり考えましょう。

※なお、ミクシィ(MIXI)に入りたい方は、私にメールアドレスを送って下さい。すぐに招待メールをお送りいたします。


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