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これまで、「自己点検・評価」「第三者評価」について各地・各所でさんざんしゃべってきたが(数えてみたら2002年から14回、講演・研修で講師を務めてきたが)、一度、全体的にまとめてみようと、夏休みを返上してレポートを(Q&A調で)仕上げた。参考にしてみて下さい。ただし長いですよ(400字詰め原稿用紙で80枚近くあります)。
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専門学校における学校「評価」とは何か ― 大学評価と専門学校評価との違いについて
●専門学校における「学校評価」というのは何のことですか?
それは直接には、平成14年の専修学校設置基準の改正による「自己点検・評価」の努力義務化を意味していると言ってよいかと思います。「専修学校は、その教育水準の向上を図り、当該専修学校の目的及び社会的使命を達成するため、当該専修学校における教育活動等の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない」(専修学校設置基準 第一章 総則 第一条の二)となっています。
●「自己点検・評価」はもともとは大学の「自己点検・評価」から始まったものだと思いますが。
そうです。平成3年の、いわゆる“大綱化”という動きの中で「自己点検」という言葉がはじめて出てきます(後出関連資料参照のこと)。以下がその初出の文面です。
「大学は、その教育研究水準の向上を図り、当該大学の目的及び社会的使命を達成するため、当該大学における教育研究活動等の状況について自ら点検及び評価を行うことに努めなければならない」(平成3年 大学設置基準改正要綱 第1 総則的事項?)
先の専門学校の条文と較べても、「研究」という言葉以外はすべて同じですから、大学から始まった「自己点検・評価」と専門学校の「自己点検・評価」とは法律上は同じ意味を持っていると言えます。
●ということは、大学の「自己点検・評価」と専門学校の「自己点検・評価」とは同じだということですか?
そこは、そう単純なものではない。大学の「自己点検・評価」は、大綱化、つまり教育上の規制緩和(=カリキュラムや科目設置規制の柔軟化)とともに始まりました。官許的・統一的教育規制を緩めるから、自分自身で点検・評価を行いなさい、というものです。
●なぜ、文科省はそんなことを言い出したのですか。
それは、もはや誰の目にも明らかなことです。90年代を皮切りに学校群は少子化の時代を迎えた。結果、2007年には大学の募集数と応募数は一致するところまで来た。いわゆる大学全入時代を迎えたということ。全入時代というのは競争率の高い大学も依然としてあるわけですから、つぶれる大学も存在するということです。戦後、銀行と大学(あるいは学校)はつぶれない組織の代表格でしたが(というか学歴主義の人材に満ちた組織だったわけですが)、90年代後半になって、どちらもが統廃合の時代に現実的に突入した。
そして今でもそれは続いている(銀行は一息ついたかもしれませんが学校はまだまだこれから統廃合は続くでしょう)。90年初頭から始まる教育の規制緩和は、そういった大学全入時代、統廃合時代を見越して、文科省が大学教育の中身について具体的な縛りを無くし始めた。これは意地悪な見方をすれば、つぶれざるを得ない大学の、つぶれる理由を規制の所為にはされたくない、という文科省の思惑もあったのかもしれない。手足をしばったまま競争の海を泳げと言われても泳げはしないということです。
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