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年末買うものシリーズ(2) ― 薄型大画面テレビ[商品批評]
(2004-12-12 11:56:44) by 芦田 宏直


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薄型大画面テレビは、今は買い時ではない(年末年始のテレビ・雑誌の大宣伝に騙されてはいけません)。理由は二つ。

1)ハイビジョン時代なのに、本格的なハイビジョン解像度(水平1920×垂直1080画素) ― 業界では「フルスペックハイビジョン」と呼んでいる(たとえば、最近の製品で代表的なものは、シャープのLC-45CD1: http://www.sharp.co.jp/corporate/news/040614-a.html 。これなどはまだ、45インチの大きさで100万円近くする) ― に対応したテレビがまだまだ少ない(ほとんどない)。ほとんどのテレビは水平1300前後(あるいは1000前後)×垂直768画素の解像度しか持っておらず、ハイビジョン「対応」(画素変換して映せるだけは映せる)でしかない。解像度だけで画質が決まるわけではないが、おそらく来年の春以降は「フルハイビジョン(1920×1080)画質!」なんて、キャッチが飛び交うに違いない。

  今、(30インチ前後で)画質だけを追うなら、ブラウン管の方が圧倒的に美しい(http://www.jvc-victor.co.jp/tv/hd-36dz4/)。ブラウン管の高画質を超える液晶・プラズマはまだまだ出てきていない(あと数年はかかる)。(ブラウン管に対する)液晶・プラズマの利点は、高画質ではなくて、?大きくても明るい ?薄い ということ。高画質に見えるのは、ハイビジョン画像を店頭で映しているからだけのことだ(そんなものは自宅の旧式のテレビでもきれいに映る)。

2)あと、2、3年すれば、30インチ、40インチの薄型テレビは10万円前後(10万円以下)になると言われている。2、3年で10万円、20万円単位で半額以下になるものを今買う勇気のある人だけが(後悔は決してしないという人だけが)、今年の(額の少ない)ボーナスを使う資格がある。

上記、1)2)の理由は、どちらもまだ“早すぎる”というもの。今、買って意味のある人は、大画面を4畳半、6畳で楽しみたい、という人だけ。薄型なら小さな部屋でも30インチ以上が楽しめる。しかしこれも矛盾。そんな広さの部屋しかない人は、30万円、40万円という高額をテレビごとき奢侈品に費やすことはない(そんなお金はない)。その意味でも高額薄型テレビは存在意味がない。

だから、大画面薄型テレビを買う意味は、ただ一つ。お金持ちの(無駄な出費に耐えられる)人で、リビングにではなく、寝室や書斎というリビングほど広くはない部屋に2台目、3台目のテレビとして設置する場合のみだ。現在のところ、薄型テレビを(リビングで)床置きにして使う意味はなく、(書斎や寝室の)壁掛け以外には設置のメリットは少ない。

床置きだと、結局、40センチくらいは、設置台のために“奥行き”を取らざるを得ず、それを薄型とは言わない。薄型テレビを設置台付きで購入するというのは、ベンツや高級スポーツカーに、ドアモール(http://www.creat.co.jp/doormold-image.htm)を付けているようなもの。台を付けた途端に、“台無し”になる。「間違いない」。

薄型のメリットを活かす壁掛け設置も壁強度を確保し配線類、そして周辺機器(DVDプレイヤーやレコーダー類、サラウンドアンプなど)をきれいに収めるには、それ(設置工事)だけでも5万円〜10万円はかかるから(それなら台付きの普通のテレビを買った方が余程楽だ)、本当に贅沢な買い物なのである。ひとことで言えば、薄型テレビの意味は、お金に余裕のある人で設置の美、設置の妙にこだわる人以外には意味がない。

40センチも奥行きを取るくらいなら、リアプロジェクションテレビを買った方(ちなみにSONYの42インチプロジェクションテレビKDF-42HD900:http://www.ecat.sony.co.jp/wega/products/index.cfm?PD=9541&KM=KDF-42HD900なら実売28万円で売っている)が、液晶、プラズマディスプレイよりは10万円〜20万円以上は安く40インチや50インチの大画面を安価で楽しめる。しかも液晶やプラズマディスプレイの3分の一くらいの消費電力で。明るさや視野角では不利だが、発色の感じはむしろプロジェクションテレビの方が自然な感じがする。20万円台で、42インチが買えるのなら悪くはない。本格的なハイビジョン時代を安価に楽しむには、あと数年はかかるだろうから、その間の“つなぎ”としては充分に役に立つ。

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