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またSONYは間違った ― 根源的「電子手帳」論。[商品批評]
(2004-09-20 03:15:27) by 芦田 宏直


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CLIEの新製品が出た。TEG-VZ90(http://www.sony.jp/products/Consumer/PEG/PEG-VZ90/index.html)。

SONYは、また間違ってしまった。これはもはやCLIE(=「デジタル手帳」)ではない。外形寸法 約 幅109×高さ87×奥行き23mm、質量 約270g。重すぎる。私は、以前の記事で(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=336)、PDA(Personal Digital Assistant)は150グラム以下が必須の条件と言ったが、100グラム以上も重い。これでは胸ポケットに入れることができない。現行ザウルスよりも重いから、使いものにならない。

よく、電子手帳を買って専用カバーやサードパーティのケースに入れて持ち歩いている人を見るが、そんな人は電子手帳を持つ資格はない。技術者が技術の粋を結集してコンマ単位で軽く、薄く作っているにもかかわらず、全体を(本体を超えて)10 mm近く厚くしたり100グラムも重くしたりするカバー類を付けるとはどういうことだ。そもそもそんなに大きくしてしまうと常時携帯、つまりカバンなしの携帯が不可能だ。カバン携行が可能ならば、PDAにこだわる必要はない。カバンを携行しない場合の携行(ポケット携行)が、PDAか、モバイルパソコンかの生死を分けている。

そう考えると、150グラムが限界。厚さ(奥行き)も、TEG-VZ90は20 mmを超えている。20 mmを超えるとワイシャツの胸ポケットには入らない(入れる気がしない)。要するに、PDAは携帯電話の大きさと重さを意識しなければ存在する意味がない。

SONYは、PEG-UX50(http://www.jp.sonystyle.com/peg/Store/Clie/Ux50/index.html)において、 NXシリーズが間違って方向付けた(PEG-NX80V (http://www.jp.sonystyle.com/peg/Store/Clie/Nx80v73v/index.htmlなど)なんでもありの巨大機路線を大転換し、もう一度小型機路線へと正当にも復帰した。PEG-UX50は、当時(2003年8月発売)ザウルスのSL-C700(http://www.sharp.co.jp/products/slc700/index.html)の横型キーボード付きPDAの路線を踏襲していたため、人気が盛り上がらなかったが、SONYにとっては、結構真剣な路線転換だったのである(今から考えれば、フルキーボードを付けて、しかも無線LAN、Bluetoothモジュールも内蔵して外形寸法 約幅103×高さ86.5×奥行き17.9mm 、質量 約175gは、ザウルスが足元にも及ばない画期的な小型化技術だったのである)。その後TJシリーズ(http://www.jp.sonystyle.com/peg/Store/Clie/Tj25/index.htmlhttp://www.jp.sonystyle.com/peg/Store/Clie/Tj37/index.html)、TH55(http://www.sony.jp/products/Consumer/PEG/PEG-TH55/index.html)は、その小型化路線を踏襲したものになっていた。PEG-UX50とTJ 、THシリーズとの一番大きな違いはキーボードを付けているかどうかの違いである。2004年2月発売のTH55(http://www.sony.jp/products/Consumer/PEG/PEG-TH55/index.html)は、フルキーボードが付いているPEG-UX50(http://www.jp.sonystyle.com/peg/Store/Clie/Ux50/index.html)よりも10グラム重い(PEG-UX50=175グラム、TH55=185グラム)。

私はTH55は全く認めない。キーボードは付いていたほうがいいに決まっている。手書き認識がいくら精度が高いからといっても、本気で“書く”気が起こるかどうかはキーボードのあるなしに関わっている。そして書く気(書き込む気)が起こるPDAは、それに応じて愛着のわく度合いも大きい。

結局キーボードを付けるか付けないかの決断は、重さと大きさを犠牲にするかどうかだが、キーボードを付けていないにもかかわらず、全体に大きく重くなったTH55の歴史的な意味はほとんどない。今から思えば、すでにこのTH55(2004年2月発売)において、SONYの変節(小型化へ最新技術を集約することからの変節)は始まっていた(http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200402/04-0203/)。

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