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最近のAV(オーディオヴィジュアル)状況について、一言。
たとえば、30インチ以上の壁掛けテレビを買う。よくだまされるのは、店頭で見られる(見せ付けられる)大画面はすべてが地上波デジタル放送(あるいはBSデジタル放送)を放映している。だから、もともと解像度の格段に高い映像を見せ付けられて「きれいな大画面」と感激している。
たしかに大画面に耐えられるメディア=コンテンツが存在し始めたというのは喜ばしいことかもしれない。
私が大画面に関心を持ち始めたのは、LD(レーザーディスク)時代。ビクターの36inchテレビを70万円の大枚をはたいて買ったのが今から18年前くらい。100キロの重さがあり、ブラウン管も大きく湾曲していて、しかも画面が暗かった。この当時36inchブラウン管はすべて三菱電機が各社に供給していて、「大画面の三菱」だったが、映像回路は、私にはビクターがもっとも優秀なように思えていた。
その3年後にはNECの三管式プロジェクターを(デジタルスキャンコンバーターとともに)購入。大画面は一度はまり込むとどんどん大きな画面がほしくなる。天井にアンカーボルトを打ちつけ、100inchの前面投射画面を真っ暗な部屋で楽しんでいた。当時は(今でもあまり変わらないが)三管式プロジェクターは今の液晶プロジェクタの10分の一以下の暗さだった。
当時のメディアはどれもこれもLD(レーザーディスク)。今から思えば、LD(レーザーディスク)なんてS−VHSビデオの映像とほとんど変わらない。一度DVDの画像を見てしまえば、もう見る気は起こらない。いまさら買ってしまったLDをDVDで買いなおすのも馬鹿らしいが、しかし今DVDは一枚2000円で売っている。昔、キューブリックの「2001年宇宙の旅」のLD(レーザーディスク)は20000円近くもしたが、今では4分の一以下で手に入る。馬鹿らしいくらいだ。
今は、私は、SONYの液晶プロジェクタVPL-VW10HT(http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/199908/99-0818/)を愛用している。こんなに便利な(使い勝手のよい)プロジェクターはない。2000年以前の商品だが、当時からハイビジョン対応で大画面でも液晶のギザギザを感じさせない優れたプロジェクタだった。その後何度もバージョンアップして新製品が出たが、今でも十分耐えられるよい製品だと思う(黒の多い暗い映画だけは苦手だが)。
たぶん、昨今の大画面ブームはDVDというメディアの登場が決定的な要因をなしている。100inch以上の大画面でもまったく耐えられる。「耐えられる」どころか、その大きさで見てこそ、DVDだ、とも言えるほどの鮮やかさだ。それに音声の方も5.1サラウンド(http://allabout.co.jp/computer/av/closeup/CU20031116A/)によって、はるかに臨場感あふれるものになった。
最近は、デジタル放送自体が、AAC (http://www.apple.co.jp/mpeg4/aac/)によってサラウンド信号を含んでいるため(もちろん画質もDVDに勝るとも劣らない)、自宅でそれを録画(録音)しつつ楽しむことができる。DVDと同等以上の高画質・高音質を自宅で編集しつつ楽しめるのが、最近のデジタル波の面白いところだ。20年前を思えば、誰が、空からサラウンド信号を受信できるなどと思っていただろうか。あるいはLDの倍以上の高画質・高音質の信号が空から降りてくるなどと考えていただろうか。
さて、私が不思議に思うのは、昨今の大画面ブームだ。まずこの大画面を満喫できるのは、デジタル放送(地上波、衛星波)だけであって、通常のテレビ放送はほとんど見られたものではない(それをまず店頭で確かめること)。通常のテレビ放送だけではなく、スカパー!などのCS放送も画質の水準はひどいものだ。
仮にデジタル放送(地上波、衛星波)を見たところで、楽しめるまともなコンテンツは(今のところ)ほとんどない。せいぜい映画派の人がデジタルWOWWOWやデジタルスターチャンネルを楽しめるだけだ。だから今の大画面派は映画ファンにしか意味がない。あえて言えば一握りのサッカーファン、野球ファンもその中に入るかもしれないが、しかし画面の大きさとスポーツとは映画ほど本質的な連関はない。
それに映画派であっても、50inch、60inchごときの画面で「大画面」とは言えまい。最低でも80inchはないと自宅で映画は楽しめない。プラズマ大画面でも60inchが精一杯で、それでも200万円もするから、こんな馬鹿な大出費するくらいなら、20万円くらいの液晶プロジェクターを買って100inchの大画面を楽しんだほうがはるかに有益だ。
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