先週の金曜日(7日)は、例の国立がんセンター(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=1103)の後、ホテルヴィラフォンテーヌ汐留(http://www.villa-fontaine.co.jp/shiodome/)での、リクルート社主催の「学びワークショップ『IT業界研究会』」に参加してきた。
リクルート社いわく「ご参加いただく学校関係者様各位におかれましては、今回のワークショップを通じて今後IT業界において必要とされる人材像をより具体的にイメージ・共有頂ける機会にして頂くべく、IT業界の有力企業人事セクションの皆様をお招きしての情報交換会など、人材開発現場の活きた情報満載の企画をご用意して当日のご参加をお待ちしております」とのこと。
参加企業は、
リコーテクノシステムズ(http://www.r-ts.co.jp/)
DTS(http://www.dts.co.jp/corp/01.html)
J−COMテクノロジー(http://www.csec.co.jp/)
テンアートニ(http://www.10art-ni.co.jp/)
セゾン情報システムズ(http://home.saison.co.jp/SIS/)
伊勢丹データーセンター(http://www.isetan-data.co.jp/)
の各社。
参加する専門学校は
わが東京工科専門学校
日本工学院専門学校
日本電子専門学校
情報科学専門学校
読売東京理工専門学校
大原情報ビジネス専門学校
の各校。
企業も学校も2名以上の単位で来ているため、参加者25名を越える“ワークショップ”になり、しかも、机配置が長方形であったため(そのうえ、中途半端に大きな会議室であったため)、私は会場に入った途端に、「今日はダメだ」と直観した。案の定、司会者がマイクを握って、一人一人にあてて意見を聴取することになったこともあって、形式張った会議になった。面白くも何ともない“ワークショップ”になった。
この種の会議で議論される人材像については、ほとんど接客対応能力やコミュニケーション能力(あるいはヒューマンスキル)という言葉が前面化する。この言葉を直接使った企業がやはりこの会議でも4社あった。
専門学校の関係者の方も、それに対応しようと努力している、と応えるのが精一杯。これでは面白くも何ともない。
具体的な職業能力(職業的な専門能力)という点では、入社してからでもどうにでもなるから、接客対応能力やコミュニケーション能力(あるいはヒューマンスキル)の基本を植え付けておいて欲しいという“要望”が企業側からよく上がる。
私は、この言い方は半分ウソだと思う。もしこの言い方を倣うとすれば、接客対応能力やコミュニケーション能力こそ、入社してからのon the job教育の方がはるかに効果的な成果を上げられるものであって、学校教育の方がはるかに不得手なものであるにちがいない。
学校時代、遅刻だらけで、まともな会話一つできなかった学生も社会人になると見違えるように一人前の社会人になっている。これは、企業が育て上げたというよりは、社員として関係を持つ教育の強さにすぎない。現に、学生であってもアルバイトなどに精を出す学生の方がはるかに「接客対応能力やコミュニケーション能力」に長けている。時間割やカリキュラムに余裕のある大学生の方がはるかにアルバイトに精を出す率が高いし、また本格的なクラブ活動によって先輩・後輩の“主従”関係(=“組織論”)から「接客対応能力やコミュニケーション能力」という点で大学生が専門学校生よりもはるかに優位にあるのははっきりしている。
しかし私は、こんな能力こそ入社してからの年月でどうにでもなる“能力”だと思う。大学は、大学のカリキュラムや教育体制が解体している分、むしろ専門学校生よりも、学校外で(=社会で)学ぶチャンスが多い。その分、結果的には専門学校生よりも先に“社会人”になっている。そのうえ、一般的には2才年上になる。20歳前後の2年間というのは、どこで学ぼうが、どんな教育を受けようがかなりの違いが出る2年間だ。
この間も、I.I.I(インテリア・インターンシップ・インコーポレーション)の第6回平成17年度企業研修報告会がわが校で行われ、大学、短大、専門学校などの10名(10組)を超える学生たちが企業研修報告を行ったが、聞いていて「なかなか立派なものだ」と思えるものは、そのすべてが新卒の学生の発表ではなく、20才を優に超えた既卒者ばかりのもの。いずれも20代半ばの社会人経験者(あるいは大学卒業後の専門学校生)。だから、これは学校や教育の能力というよりは、発表者本人の経験に負うところが多い。