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バカなことを言ってはいけません。[教育]
(2005-09-27 13:52:10) by 芦田 宏直


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「喧嘩」を買わせて頂きます。日曜日の午後がなくなっただけではなく、今度は火曜日の昼休みがなくなってしまいました。まず誤解を先に解いておきます。昨日のあなたへの授業評価は、この『芦田の毎日』の記事(1059番や1087番)とは何の関係もありません。

私たちは、いつも毎コマ毎に授業評価を行っていますから、昨日はもうこれ以上放置出来ないと判断して、科長や教務の者を教室に行かせただけのことです。最初に言っておきますが、あなたの授業は現在の専門学校一般の建築科の授業としては悪くはありません。しかしわれわれの学校はそんなレベルでは満足していないということです。それだけがあなたと私(たち)との“行き違い”(の原因)です。それだけを最初に指摘しておきます。

あなたはこともなげに「度重なる授業への第三者による介入」という言い方をしていますが、なぜ、教務担当者や科長(そして校長)が、授業にとっての「第三者」なのですか。教室で行われることは、すべて科長、校長の責任の元でのこと。教室で行われる授業、そして学生は、教員の私物ではありません。あなたもたしかに学生に対して一教員として責任を負っていますが、私もまた校長として学生に責任を負っています。学生への指導の責任ばかりではなく、教員への指導の責任も私は負っています。授業はその意味で公共的なものです。

私があなたの「製図実習」授業に関して、科長に指摘したことは、以下の2点です。

1)教員が個別指導に走り、他のほとんどの学生が放置されている。授業時間が学生全体に対して有効に活かされていない。

2)上記1)に関連して40人の学生に対して2人の正教員を付けているにもかかわらず、2教員が(教室前方の)教壇に固まり、教室全体への目配り感に乏しい。

要するに、あなたの授業は旧来の典型的な製図実習授業(われわれは、このタイプの授業を放牧型、徘徊型授業と呼んできました)に落ちぶれていたわけです。このタイプの授業についてはすでに何度も私はコメントしています。以下3点を参照されたい。

1)校長の仕事 Part9 ― 作品批評という授業スタイル(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=197)

2)校長の仕事 Part11 ― 思考力と製図力

(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=200)

3)校長の仕事(12) ― 〈講評〉というデザイン教育の問題点

(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=262)

「介入のあった本日の授業(3回目)は、個別に提出させ、我々2人が雁首をそろえ、作品批評だろうが講評だろうが、主観だろうが印象批評だろうが、一人一人にコメントし、緊張感を与えて、そのままずるずるとほぼ全員がついてこれなくなるという事態を食い止める」とあなたは書いていますが、このやり方ではいつまで経っても学生は「ついてこれ」ません。

なぜか。この種の個別指導に「緊張感」があるのは個別指導を受けているときだけで、終わった途端に、緊張感は雲散霧消します。だからその指導を(現在は)受けていない学生は、何もしていないのです(退屈そうに遊んでいる)。

この種の個別指導(の“緊張感”)は教員が目の前にいるのに(しかも自分に向かって話し続けているのに)寝てはいられないという程度のものにすぎない。指導を受けていない学生が遊んでいる個別指導は、指導になっていないのです。だから「そのままずるずるとほぼ全員がついてこれなくなる」現象は、むしろこの種の個別指導型授業の結果であって、この現象をその個別指導で解消するというのは本末転倒の事態だと言えます。

「対象が学生諸君の経験的世界の外にあり、想像や類推が働かない。我々の想像を遥かに超えて働かない。我々はもっとも設計のできる学生さえ「何をやったらいいのかわからない」と発言し課題を提出しなかったことに対して非常な危機感を覚えました」とあなたは書いています。そんなまともな“危機感”を持っているあなたは、なぜ授業時間中、学生を遊ばせるのですか。少なくとも授業時間中であれば、1分でも2分でも学生に関わろうとするのが教員(や学校)の役目であり、もうこれでいい、などということはあなたの“危機感”からは決して出てこないはずです。

なぜ、一対一で教えた学生(20人、40人のクラスで教える場合の20倍、40倍の教育力を享受できるはずの学生)が、“緊張感”を急速に失い自分の順番が終えたら何もしなくなるか。そのことをあなたはよくよく考えるべきです。

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