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今日は、面白い一日だった。
ここ数年、鼻がよく詰まる。別に花粉症的な季節病ではなく、一年中、鼻が詰まる。しかも風邪でもない。咳も滅多に出ない。
講演の前(緊張したとき)とか、くだらない会議の時にも鼻が詰まる。きっと精神的な病が、たまたま鼻の粘膜に表れるだけだろう、と思って放っておいた。
しかし、50才も越えた今、最近は夜が辛い。別に糖尿病でもないが、夜に鼻が詰まると、口呼吸しかできないため、口腔が乾く。目が覚める。水を飲むとトイレが近くなる(特に冷たい麦茶を飲むとトイレで1時間以内に目が覚めるが、なぜかへルシア緑茶だと目が覚めない)。口が渇いて目が覚めるのが一番辛い。睡眠も充分取れないからだ。
それにもう一つ、10年前くらいからの症状がある。鼻がつまるから、歯を磨いて数分間口呼吸ができないと無酸素状態が続くことになり、唾液と交わり液状になった歯磨き粉をはき出すとき、オエー、と大きな嗚咽(おえつ)が出る。家中に毎日朝7:00前後にそれがとどろき渡る。まるで二日酔いで肝臓に負担がかかっているよっぱらいの朝のようだ。酒をまったく飲まない私は、毎日毎日朝7:00に、オエーと歯磨き粉を吐いている。これが我が家の朝の鳩時計だ。
年を取ると、こんな毎日に(特に夜の口腔の乾きに)耐えられなくなってきた。
そこで、意を決して、今日のお昼休みに耳鼻咽喉科を訪ねた。2001年6月以来ほぼ5年ぶりの病院(http://www.ashida.info/trees/trees.cgi?log=&v=379&e=msg&lp=379&st=60)。
テラハウスの6階の売店のカマキリのような顔をした親切なおばさんに紹介されて、東中野駅の近くにある「池田耳鼻咽喉科」に飛び込みで入った。ここは予約制ではないが、夏休みが終わって今日はすいていた。
池田先生は院長の女医さん。アルバイトの先生ではないところがまず安心。先に来ている人の診断を耳を澄まして聞いているとなかなかのもの。
順番が来た。
「どうしましたか」
「季節にかかわらず、鼻が詰まります。一日の中でも不定期に鼻が詰まります。精神的なもののようにも思えますが、もう10年、20年同じ状態が続いています」。
「咳は出ますか」
「特には出ません」
「頭痛は?」
「しません」
「耳はどうですか」
「特に何もありません」
「では少し診てみましょう」
(例の鏡面パラボラアンテナのようなめがねで私の鼻の中をのぞき込む)
「あら、やっぱり詰まっているわね」
「これは、レントゲンを撮るしかないわね。2階で取ってきてください」
(20分で2枚のレントゲン撮影が終わり、フィルムをもって先生の元に戻る)
(もうお昼の部は私が最後で看護婦たちが私と先生の話に集中している)
「あらー、あなたの鼻孔、どこにも穴があいていないわ」
「まず、はなの真ん中の骨が左に大きく曲がっている。見てよ、わかるでしょ」
「本当ですね」
「普通、こんなふうに曲がっても、その分、反対側が広がっているから呼吸はできるけれど、今度はその反対側にポリープが出来ていて、広がった分を埋めてしまっている。眼底から鼻孔にかけて、黒い部分(穴が空いている部分)がほとんどなくて全体がもやのようになっているでしょ。これじゃ、鼻が詰まるに決まっている」
「ポリープって?」
「結構、出来る人には出来るのよ」
「たしかに20年以上前から、右の鼻の穴の中がふくらんで詰まっているのは知っていましたが、あれはポリープですか」
「そうよ。あなた、そんなに昔からよくも放っておいたわね。こんな鼻は珍しいわよ。外から見ても何も変わったように見えないのにね」
「それに別に生きていけないわけじゃないですからね」
(先生、看護婦、一同笑い)。
「これは私のところでは治せないわ。手術しかない」
「まず、鼻の骨をまっすぐにして、それからポリープを取る。それですっきりしますよ」
「入院はどれくらいですか」
「一週間くらいかな」
「退院後、包帯やマスクをしたり、特に完全復帰まで時間がかかることはありませんか」
「1週間で退院すれば、あとは、激しい運動を避ける以外、何も外からは変化はありません。手術跡もまったく残らないし」
「私は慶応だから、慶応病院を紹介しますが、どうします」
「この手術は技術の高低に影響を受けますか」
「耳鼻科の手術としては、初級ですけれども、うまい下手はやはりありますよね」
「先生の母校の現在の水準はどうですか」
「慶応病院の耳鼻科ね、そうねえ」(と先生は考え込んでしまった)。
「その様子だと、母校にいい印象はない?」(看護婦・笑い)
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