やっぱり何度やっても式辞は、自己嫌悪の連続。いつも2度とやりたくない、と思う。講演などいくら慣れていても、式辞は全く別次元。自己採点は2、30点。教員の採点では70〜80点が平均。企業の後援会の方がひとり近寄ってこられて、「毎年楽しみに聞いています。身につまされることが多くて」と感想を伝えてくださったのが、せめてもの救い。一応、全文掲げておきます。実際に話したことは、この8割くらいです。『芦田の毎日』の読者の方にはすでに周知のテーマですが。御勘弁ください。
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卒業おめでとうございます。
保護者の方々、来賓の方々、お忙しい中お越し頂いてありがとうございます。
学生、教職員一同に成り代わりまして、感謝申し上げます。
私は、3年前には(3年制の建築工学科の人たちの入学式の時には)、インターネット時代が加速化し、仕事の組織が大きく変化するといいました。
少数精鋭の組織がビジネス全体を動かしていく、と言いました(http://www.ashida.info/trees/trees.cgi?log=&v=612&e=msg&lp=612&st=0)。
2年前には(建築工学科以外の2年制の人たちの入学式の時には)、社会というものは、同質的な学生の集団と違って、年齢や経歴や経済的な境遇が異なる様々な人と出会う場所で、そういったところに卒業後ただちに飛び込んで仕事をしていくには、かなりの覚悟を決めて勉強をする必要がある。これまでの教科書的な知識の勉強と違って、実践的な勉強が必要になる、と言いました(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=143)。
そしてそのみなさんたちを今日の卒業式に迎えています。
入学式と卒業式は、この学校の最初の授業と最後の授業。そう思って私の最後の式辞を聞いてください。
今テレビではライブドア社長(ホリエモン)の話が盛りですが、私はこの騒動をこう考えています。
彼は「メディアITファイナンシャル企業」として世界一になるんだ、と公言しています。これが本当にそうなるのかどうなのかは別にして、現在の企業ではライブドアのような小さな企業でも世界一を目指すビジョンと気概を備えているということです。
小さな会社であっても、世界一を目指す気概がないと生き残っていけないということ、それが彼の騒動から私が学ぶことです。
これは、世界一位にならないと意味がないということではなくて(一位がいれば二位もいるし三位もいるのですから)、世界一を目指そうとする組織の体制や人材の志気がない企業は生き残っていけないということを意味しています。体のいい“棲み分け”もセグメント主義もその世界はもはや終焉を告げて、世界大の下克上の時代に突入したというのが、ライブドア騒動の、私の感想です。
一言で言えば、それくらいに競争は激しいということ。グローバル化とは競争の激化ということです。「そこそこの企業」「実績とブランドに依存する企業」では生き残れないということです。
世界一を目指さない企業や人材は生き残れない、そんな社会に皆さんは出ていくのです。
では、企業や組織を世界一にしていくためにはどんな人材でなければならないのか少し考えてみましょう。
この間、TBSのTVプロデューサーとお話しする機会があって、彼と、ゼークトの組織論を思い出しながらこんな話をしていました。