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症状報告(30) ― 『免疫革命』の革命性[家内の症状報告]
(2003-11-06 00:09:37) by 芦田 宏直


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家内の症状は、ゆるやかに改善に向かっているが、すでに点滴ステロイド(=パルス)の時期は終わって(9月3日から10月5日まで3日連続で断続的に5クール行い)、(いつものように)経口ステロイドの治療に移っている(10月5日から10錠50ミリ 10月12日から9錠45ミリ 10月19日から8錠40ミリ 11月2日から7錠35ミリ)。パルスも経口もステロイドはよく効いており、日々の変化がわかるくらいによく効いている(だから、やはり「多発性硬化症」だろう、ということになっているらしい)。副作用は顔の下部がふっくらふくらむくらいだ。今回の入院治療でいちばんちがうことは、あの全身をはしる“ビリビリ”について、直接治療を行いはじめたということだ。

 この“ビリビリ”は専門用語で「有痛性硬直性痙攣」というらしい ― こんなものは専門語でも何でもない。ただ症状を漢字にしただけのことだ。こういった名称は、この世界にはたくさんある。「多発性硬化症」も病名ではない。ただの症状(現象)を名指しているだけのこと(〈医学〉ほど非科学的でいいかげんな世界はない。もしかしたら経営学よりひどいかもしれない)。

 この「有痛性硬直性痙攣」の症状を緩和させるために、筋弛緩剤のようなもの(=「テグレトール」http://www.geocities.jp/syamu_buta/Titles/TN/TN-Surgery/TN-DRG.htm)を投与しはじめた。心配される副作用は血液検査でチェックしながらの投与になる(副作用はテグレトールの血中濃度で決まるらしい。家内の場合は一日300ミリ飲んで現在6.6で症状がおさまっており、一般的には8.0くらいまでは可能らしいが、この値が高すぎると中毒を起こすとのこと)。これがまた結構効いて、もうこの症状はほとんどなくなった(足の指先がときどきピクっとするくらいになった)。これがなくなるとリハビリが快調に行える。いつも身体を動かし始めるとこの痙攣が起こっていたから、この痙攣がない分、身体を動かしやすくなったのである。対処療法ではあるが、効果的だ。

 しかし、こういった療法がどれにしても遅すぎる。一回目の退院の時には、お花見まで自分で歩けてできていた(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=139.124.8)。二回目の退院の時には、家事はすべてできていた(外出はできなかったが)。3回目の退院時には(8月中)、家事はすべてできないにしても自宅の中は歩けていたが、11月の今の段階では自分で車椅子に乗るのが精一杯で、まだ自宅内でもそう簡単には歩けはしない。だから症状は全体に悪化している。私は、最初の治療に失敗したのではないか、と思う。4月の時点でもっと丁寧な治療が必要だったような気がする(病院ででも自宅ででも)。かなりハンディを背負った再出発を余儀なくされているということだ。4月のお花見時点にまで戻すのには、かなりの時間がかかりそうだ。

 最近、『免疫革命』(安保徹:あぼ とおる)という本が出た(http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3cbac3c0905f40106273?aid=&bibid=02342574&volno=0000)。この種の本はだいたいのところいかさまな本が多いが、TBSのラジオ番組(『大沢悠里のゆうゆうワイド』http://www.tbs.co.jp/radio/yuyu/)に著者が出ていて話すのを聞いてきたら、結構まじめな学究肌の人物であることを知って、神戸出張(http://www.ashida.info/jboard/read.cgi?num=210.207.3)の帰りに新幹線の中で目を通した。この種の本は、大概が〈著作〉ではなくて、ゴーストライターが著者が勝手にしゃべったことをまとめて“著作”にしあげ、それを最後に著者が添削をする、という仕方でできあがっている。著者は新潟大学の教授であるが、(書くことが仕事である)“教授”であっても最近は自分の著作を自分で書かない。何という情けない時代になったことか。これは大出版社が年間売り上げを想定して計画的に出版するためには、著者に書くことを任せるといつ書き上がるかわからないという不安からできあがっているシステムである。小説家以外のすべての、大出版社の発行物はゴーストライターが書いていると思って間違いない。こういった“著作”の特徴は、重複や繰り返しが多いということと、なぜか共産党の赤旗のように「ですます調」になるということ。また文体も安定しない。この本もところどころ文章にヘンなところがあり(それは元来話し言葉であるものを書き言葉に変形しているからである)、私がこれから引用する部分も少し手を入れているところがある。あしからず。

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