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神戸の夜とシェラトンホテル[日常]
(2003-10-12 02:06:26) by 芦田 宏直


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新神戸の駅をおりて、まず、失敗したのが、バス停。神戸ベイシェラトンまで専用のバスで行こうと、バス停で待つことにした。インターネットで調べると、毎時間6分と36分に出発するとあったので(http://www.sheraton-kobe.co.jp/page/accessmap/index_access.html)、それを信じて、25分から、36分発のバスを待っていた。ところが36分を10分過ぎてもバスが来ない。そこでホテルに電話して、「こういうことはよくあるのか」と聞いたら、「10分くらい遅れることはありますが、15分過ぎても来ないようであれば、もう一度お電話下さい」とのこと。10分と15分との違いがもう一つ納得いかなかったので、次は、バス会社(みなと観光バス)に電話した。「遅れているとの連絡は入っていませんが、運転手と連絡を取ります。お客様の電話番号(携帯)をお教え下さい」。この対応は、ベイシェラトンよりも親切。ベイシェラトンも、私の電話があった段階で、こう対応すべきだった。1分も経たない内に電話があった。「お客様、15時台には36分発はございませんが … 」。「あっ、そう。スミマセン。私の早とちりでした。6分、36分と覚えていたので、そんな空隙、見落としていました」。バカな間違いをしたものだ。最初からタクシーで行けば良かったのだが、財布には1680円しかなかったので、バスに決めていた。

そこで今度は銀行を探さねばならない。フロアーを上がって、小さな駅の書店に立ち寄り、レジの中年のおばさんに、キャッシュコーナーはないかと尋ねた。仕事をさしおいてレジで熱心に雑誌を読む、この下がり眼鏡のおばさんに最初からいい印象はなかったが、「その階段をおりて、そこで人に聞けばわかる」なんて、答えが返ってきた。バカヤロー、と思いながら、銀行へ行く気もなくなった。そこで、電車を乗り継ぐことに。

事前の調べでは、たしかまず「三宮駅」を目指せばいいはず。地下鉄を使って一駅、200円。三宮駅からがわからない(思い出せない)。そこで、地下鉄から地上へ上がるエスカレータの途中でおいしそうにナッツ付きのチョコレートアイスクリームを食べていた中学生風の子供に(口の周りにチョコレートが付いていたが)、尋ねた。「ここから六甲アイランドに行きたいのだけど、どう行けばいい?」。「そんなん、駅の人に聞いたらええやん」。「あっ、そう」。このくそがき。当たり前のことをいいやがって。そこでそのガキの忠告に従って、駅の人に聞いた。が、この駅員も大きなマップを取り出してきた。ちいさな神戸の街で、六甲アイランドに行く乗り物がわからないとはどういうことだ(しかもJRのターミナル駅「三宮」の駅員が)。関西の人間は、行き先を教えるのが下手(路上でも)、というのは前からわかっていた。というよりも、行き先を教えるのは東京の人がうますぎるのだ。田舎者の集まりである東京人は、自分が(大都会東京で)行き先に不安を覚えた経験から、道を聞く人に親切なのである。尋ねる人も多いから、教え慣れている。関西は、すべての道が自分の道だと思っているから、それをいちいち教えるのが面倒くさいのだ。

しかし、「三宮」の駅員が六甲アイランドへのアクセスを知らない、ということで、私は少々動揺した。そんなに六甲アイランドは遠いのかと。やっぱりタクシーの方が良かったのかもしれない。そう思いながら、JR「住吉駅」で「六甲ライナー」に乗り換えればいい、というのがわかった。ホームに出ると、京都方面行きに乗ればいいというのがわかったが、快速や普通があるようで、「住吉」に止まるかどうかがすぐにはわからなかった。待っていたサラリーマン風の男性に、入ってきた電車が住吉駅に止まるかどうか急いで聞いたが、「わからない」と言われ、ショック。いったい、この物知り風に立っているサラリーマンはどこの人間なのか? それをそばで聞いていた人が、(私のショックをわかっていたように)親切に「止まりますよ」と笑みをこぼしながら答えてくれた。きっとこの人は、大学時代、東京にいた人だ、と勝手に思いこんでしまった。関西人に道やアクセスを聞いてはいけない(私も関西人だが)。

新神戸から三宮(5分以内)、三宮から住吉(10分以内)。住吉から「六甲ライナー」で「アイランドセンター駅」(10分以内)。六甲ライナーはモノレール。これは乗り心地がわるかったが、景色はよかった。神戸という街が、無粋な工場地帯に隣接しているのがよくわかる。しゃれた街並みとは落差が大きい。こういった隣接の仕方は、東京や横浜ではあまり見られない。

それに六甲アイランドは、高層マンションが乱立しており、完全な人工都市。江東区や幕張新都心、お台場あたりの人工都市に(このアイランドだけを切り取れば)似ている。こんな人工都市、住みづらいだろうな、と思った。散歩も人工的な「緑道」を歩かされているという感じだ。寄り道する風景がどこにもない。この都市を設計した人間は、「歩く」ということがどういうことであるのかを何もわかってはいないのである。

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