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校長の仕事 Part6 ― まだまだ授業がよくない[校長の仕事]
(2003-08-26 08:39:38) by 芦田 宏直


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昨日(8月25日)は、3期の始まりの日。我が学園は教育改革以後、5期制を取っているため、8月25日が夏休み明けになる。初日だから、と思ってはりきって、授業をのぞいてみたら、まだまだ私の望み通りの授業にはなっていないいくつかの授業に出くわしてしまった。以下の授業評価は、学内のロータスノーツ「伝言板(掲示板)」に昨日UPしたものです。学内では実名で報告していますが、ここではとりあえずイニシャルで掲載します。

●今日のエンジンメンテナンス科1年の3授業について

3期の初日(我が学園は教育改革以後、5期制を取っているため、8月25日が夏休み明けになる)。今日はエンジンメンテナンス科1年の全クラスの授業について、感じたことをレポートします。

1101室のT先生の授業は、「二輪車の構造と特性」という科目。今日は、その中の「二輪車の概要を理解する」という「テーマ」。コマ主題(この90分の授業コマにおける教育テーマ)は厳密に言うと「海外、国内の歴史を知る。二輪車を構成している装置を知る」というものだ。

コマシラバスと授業シート(※)はぴったり合っているが、しかし実際の授業の端緒は「歴史は君たちには関心が薄いだろうから、少し違う話(重要な話)をするね」と言って、「バイクや自動車は2輪だのに、なぜ立つことができると思う?」というものだった。

(※)我が学園は、4年前に始めた教育改革以来、90分単位の講義概要とそれに準じた授業テーマを10項に分節化した「授業シート」(その90分で何を教えるのかを10文節化したA4版のシート)を毎授業毎と全学生に配布して授業を行う体制を敷いている)

大事な話をしようとしているのはわかるが、そうであれば、授業シート自体を変えるべきだ(授業シートは教科書をまとめた歴史項目からできている)。何度も言うように(新人研修でも言ったように)、授業シートは、コマ目標(その90分で何を教えるべきかの目標)を実現するための一種の"制御"装置なのだから、コマ目標に対する自分の授業の方法(自分が授業の中で話すこと)をそのまま反映させたものでなければならない。歴史を教える前に話さなくてはならないことがあると思えば(それは教員の自由だ)、それを授業シートの第一項に持ってくればいいだけのこと。そうでないままに、授業シートと違うことを話すのは、学生の(シートや教員の授業態度への)信頼感を失うことにつながる。

T先生の授業は、人と違った話をしよう、人と違った授業をしようという気配は伺えるが(いいことだと思う)、その気持ちにシートや教材がついて行っていない。だから、学生から見ると思いつき(と自分の経験)を話しているだけ、ととられ、学生からの支持を失いがちだ。

1102室のK先生の授業は、「ブレーキの作用と原理」。今日は、その中の「ブレーキの役割と原理」という「テーマ」。この先生の授業のやり方は、学生に徹底して〈書かせる〉というもの。たとえば、「フートブレーキとは」という教材シートがあらかじめ配られており、一方で、「フートブレーキとは…」と書かれている記述がプロジェクタに投射されている。それを見ながら、学生がその記述を書き取るという形式だ。この記述も、2行、3行、4行に渡るため、学生は筆記に集中し、先生の話をまともに聞いていない。真剣なのは、書き取るという行為のみ。したがって、プロジェクタが次のスライドに移ったときも、「先生、早すぎる。まだ(前のスライドの内容が)書けていない」ということになる。これは、退屈な授業だ。寝させないための授業工夫なのだろうが(確かに誰も寝ていない)、これは〈授業〉ではなくて、〈訓練〉に近い。というか、〈講義〉ではなくて〈実習〉(書記実習)に近い。自動車系の中級の授業(「中級」というのは、学生が寝てはいないという意味)によくあるパターンの授業だ。

もう一つ思ったのは、この先生の授業は、ブレーキのコマにしては文字が多すぎる。ブレーキの種類の話をしているのに、その絵や図や写真が皆無(教科書参照も、ほとんどない)。パワーポイントの内容も文字だらけだ。とても「ブレーキの役割と原理」というコマの授業とは思えない。書かせること(あるいはそのことによって記憶させること)よりは、〈理解〉させることが講義の要点なのだから(理解したものは忘れづらい)、教材の供給の仕方にもっと工夫の余地がある。

1103室のH先生の授業は、「ステアリング装置の仕組み」。コマテーマは、「ステアリング装置の概要と操作機構、構造を理解する」(コマテーマの割に、こんな抽象的で曖昧なままでいいのでしょうか? 長窪CL)。

 

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