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1)最初に気になったのは、北島が100メートル平泳ぎで金メダルを取ったときのインタビュー。
たぶんNHKのアナウンサーの代表インタビューだったと思うが、ひどいインタビューだった。前回のオリンピックの「チョー気持ちいい」が印象的だったために、なんとかそれに比する言葉を得たいという“偏見”が前面に出でており聞き苦しいインタービューだった。
金メダルを取った直後のインタビューで、まずは北島は泣き続けていた。何とかインタビューに応じようとするが、まだ泣き続けている。こみ上げてくる感情が抑えきれない。息をやっと引いたかな、というところで「落ち着きましたか?」などと訳のわからない言葉を投げかけるバカなインタビュアー。落ち着いていないって、落ち着けるわけないだろ、と独り言を言う私。
そこで北島がやっと発した初めての言葉が「何も言えねぇ」だった。これが「チョー気持ちいい」に比する北島の素直な言葉だった。ところがインタビュワーは、「何も言えませんか」などとこの言葉を素通りする。
その上、バカなことに「アテネオリンピックの時には、『チョー気持ちいい』と言われたんですが、今回はどうですか」などとわけのわからないインタービューになる。最初から引き出す言葉のモデルを決め込んでいる。
このNHKのアナウンサーは、2回連続金メダルを取った世界大のスターを前にして結局のところ聞きたいことなど一つもないのだ。アテネ以後長いプレッシャーの後、やっと金メダルを取って興奮しているサイコーの取材対象を台無しにしてしまった。
今回のオリンピックインタービューは、NHKだけではなく全体にレベルが低い。「さわやかな笑顔」「残念でした」「金メダルの重みはどうですか」なんてバカなことを問い続けている。こいつらオリンピックを見ていないだろ、という感じか。
2)女子卓球団体戦セミファイナル、平野早矢香(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E9%87%8E%E6%97%A9%E7%9F%A2%E9%A6%99)の台湾選手(なまえを忘れたが)との一騎打ちはすごかった。
平野の相手選手をにらみ付ける目が怖い。まるでボクシング選手のように相手をにらみ付けている。日本人三選手の中で一番可愛い平野が怖い顔をしてにらむものだから余計にすごい(というか思わず笑ってしまう)。台湾の選手はかつての日本人選手のように伏し目がち。
その伏し目がちな様子も魅力的だったが、この平野の“にらみ”のおかげで、私は笑いながらも、卓球が格闘技のように思えてきた。だからこの平野の卓球の一球一球が息が詰まるほどに苦しい。見たくないほどに辛かった。勝ってくれと言うよりは早く終わって欲しいという試合。卓球は楽しくない。でも平野はこの試合勝った。良かった、良かった。
ついでに言えば、福原愛の団体韓国戦タン・ イェソとの戦いもすごかった。特にタン・ イェソとのバックハンドの応酬は本物の世界最高水準。解説者も「スピード違反くらい速い」というほどだった。芸術的なバックハンド応酬だった。福原愛は、平野と違って顔全体で戦いを表現する。それは戦う相手に向かう表情ではなく、内省によって沈思する哲学者のようだ。
タン・ イェソも体育会系というよりははるかに表情にインテリジェンスがある。福原を知り尽くしているように戦いの最中でも時々笑みがこぼれる。福原とタン・ イェソとの戦いは、平野の格闘技と違って、禅問答のような戦いだった。卓球は人間性がよく出る競技だ。
3)女子サッカーの準決勝アメリカ戦(19日だったかな)。
アメリカ女子のサッカーは美しい。素直なサッカーをする。ぽーん、ぽーんとまっすぐにボールが通る。そして絵に描いたようなサイド攻撃。これもぽーん、ぽーんとサイドからボールが通る。サッカーは素直にやればいいのよ、と言うようにきれいなサッカーだった。
私は男子もそうだが、アメリカのサッカーが以前から好きだ。男子より女子サッカーはもっときれいなサッカーをする。緊迫感の連続するオリンピックの戦いの中で一服の清涼剤のような戦いが印象に残った。結局女子サッカーは決勝戦でブラジルを破り金メダルを獲得。きれいなサッカーが世界を制した。〈世界〉も捨てたものではない。
4)一連の日本女子ソフトボールの戦い。
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