モバイル『芦田の毎日』

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EM-ONE(Windows Mobile6.0) は、この世に存在する意味がない ― こんな携帯端末誰がどこで使うというのか[商品批評]
(2008-01-27 22:11:11) by 芦田 宏直


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昨年出たEM-ONEを遅まきながら、新製品(http://emobile.jp/products/sh/s01sh2/)と同じ状態にバージョンアップした(http://www.emobile.jp/cgi-bin/press.cgi?id=494)。正式には「EM-ONE SO1SH ?」と言う。9980円(税込)もかかったが、それでもやはりこの製品は全く意味がない。この世に存在する意味がない。

たぶんこの種の携帯端末は、Windows CE以来のマイクロソフトモバイルOSの出来の悪さが問題のすべて。HSDPA(下り最大3.6Mbps)でどんなに通信速度が上がっても、実質のスピードはまったくあがらない。携帯電話の方がまだマシ、ということがいくらでもある。Windows MobileというOSが邪魔をしているのである。ミクシィ(MIXI)をやるくらいなら“普通の”携帯電話の方がはるかに使いやすい。

その証拠に、EM-ONEをノートパソコンのモデムとして使った場合には、充分のスピードが出る。少なくとも単独で使うよりはかなり速い。充分使える。

だから、私は昨年の3月末に買って1ヶ月も経たないうちに、EM-ONEは、「PDA付きモデム」というように思うことにした。そうでないと使う気が起こらない。

速度の遅さは、ブラウジングスピードだけではない。たとえば、「連絡帳」。私のパソコン(OUTLOOK)の中には約6000件のデータが入っているが、これをOUTLOOKとEM-ONEとの間で同期して使う場合にも、EM-ONEは使い物にならない。動かなくなったと思うくらいに遅い。検索しても結果が出る前に操作をあきらめるくらいに遅い。同じ件数をOUTLOOKと同期しながらザウルスSL-C3200でやればサクサク動くのに、EM-ONEでは動かない。

したがって、これもWindows Mobileの所為だと言える。こんなことは、このEM-ONEを使う場合に随所で起こる。ザウルスのように20年近くにわたる「予定表」を持ち歩くのは、EM-ONEでは無理なことなのだ。

ハード操作的には、EM-ONEには2点致命的な問題がある。

最大のものが、スイッチの位置。左側面上部にスライド型のものが付いているが、片手で操作できないほどに使いづらい。よほど爪の伸びたしかも堅い爪の持ち主でないとスイッチオンできない。とっさに使えないと意味がない携帯端末としては致命的。スイッチオンに気を使うことを考えただけで愛着がわかない。誤動作に気を使いすぎて、操作に気を使わないという訳の分からないデザイン思想にまみれている。

次がスタイラスペンの位置。左下にある。スタイラスは普通右手で操作するから、右側上部か右側下部になければならない。左下だと一度左手で取って右手に持ち替えなければならない。これも二度手間。とっさに使えない。この二つのもたつき感がEM-ONEを私から遠ざけている。

携帯端末は、動作のサクサク感と操作の軽快さが基本設計の中にないと、いくらスペックを誇っても意味がない。

世の中のこの種の機器のパワーユーザーたちは、お前の言っている苦情なんて、ソフト的にも、ハード的にも(後から)なんとかなると言いたがるが、そんな問題ではない(なんでユーザーのくせにメーカーの弁護をするのだ?)。少なくともザウルスは、PI-8000番台(1997年)まではまともな進化の歴史を続けてきた。その遺産が全く活かされていない。そのザウルスも開発部署が通信部隊に変わってしまって訳の分からないものになってしまった(くらいのことは誰でも知っている)。

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