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『ブロークバック・マウンテン』(Brokeback Mountain)は、いい映画だ ― 久しぶりにいい映画を見ました。[映画]
(2007-10-28 02:00:46) by 芦田 宏直


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久しぶりにいい映画を見た(といっても自宅でですが)。『ブロークバック・マウンテン』(?http://www.wisepolicy.com/brokebackmountain/ ?http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tymv/id323840/)だ。

2005年に発表されたこの映画は、数々の映画賞を獲得したらしいが、私は全く前知識がなかった。たまたまHDDレコーダーに取っておいたこの作品を「何だ、これは」という感じで見ただけだ。

だから、美しいワイオミング州の山々に囲まれて若い二人の男が急に愛し合いはじめたときには、びっくりした。この急変ぶりは、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(http://www.02.246.ne.jp/~ftft/movie2-5.html)並の衝撃だった。

しかし、この映画は「ホモ映画」ではない。まして「普遍の愛」の映画でもない。

少年時代の感傷の質を、大人が大人の行動と言葉で再現した映画が、この映画のすべてだ。この映画は、ふるさとの愛を再現している。たぶん、この映画を評価する人たちは、性愛以前の自分の幼少時代を思い出しているのだと思う。

幼少時代は誰もがホモセクシャルだ。主人公二人の男同士がブロークバック・マウンテンの高原で抱き合い転げ回る。少年時代はみんなそうだ。

そしてそれを封印しながら、みんな〈大人〉になって行く。異性を愛し、家族を持ち、遠くへ旅立っていく。

この二人も“普通の”人間と同じように、異性を愛し、家族を持ち、遠くへ旅立っていく。

この映画は、同性愛か、異性愛かという空間的差異が主題になっているのではなくて、1人の男性が、自立していく様(人生という時間軸)を二人の男性の“現在”に押し込めた映画だ。

だから、人間が成熟してから感じる悲哀のすべてが、この映画の中に濃密な仕方で閉じこめられている。特に最後半の山の中での二人のシーン(1時間40分〜1時間50分目あたり)は圧巻だ。私は、映画を見ながら息を呑んだのは、このシーンがはじめてだ。

特に音楽がない無音の会話だけのシーンがこれほど重く切なく感じるシーンは珍しい。この無音の伴奏(無音なのに、その無音の音が大きい!?)は、人間の無意識の古層の衝撃のようだ。

人間の悲哀(関係の悲哀)の根源は幼児期にあるかのように、作者は訴えかけている。むしろ性愛(大人同士の異性愛)は、幼少時の悲哀を隠すかのように存在しているものなのだ。

家族からの離反、子供の成長(子供の親からの離反)、そういった孤独を主人公ヒース・レジャー(http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/typs/id293267/)は、まるで幼少期の孤独を喚起させるかのように演じている。

ヒースの最後のせりふは「ジャック、永遠に一緒だ」だった。これはホモ相手にいった言葉ではなく、幼少期の友達へのそれだった。そのせりふと並んで「ブロークバック・マウンテン」が映し出される。それは“ふるさと”の山々を暗喩している。

ふるさとというのは、たぶん、成熟した男女の愛(や家族)にとっては、いつでも敵なのだ。そのぶん、この映画は、ホモセクシャルなだけだ。

この映画をホモやゲイだけに語らせておくのはもったいないくらいのすばらしい映画です。ほとんど(それ自体で)文学のような映画だった。見てない人は是非見てください。

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