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吉祥寺の夜 ― 「並の大」とは何か[日常]
(2007-06-07 00:27:11) by 芦田 宏直


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今日(6日水曜日)の帰りは、インターネットプログラミング科の先生・呉石(くれいし)先生を誘って、彼の自宅の街、吉祥寺でラーメンを食べることにした。

というのも、家内が先週末から調子が悪く再発直前の状況で入院したため、外食のチャンス到来ということになり、呉石先生を職員室で見つけた途端、「呉石先生、吉祥寺へ行こう」と叫んでしまったのだ。

私は、吉祥寺とは目と鼻の先、南烏山に住んでいるが、吉祥寺には全く土地勘がない。呉石先生が吉祥寺に住んでいるというのは前から本人に聞いていたので、呉石先生頼みで吉祥寺を支配するつもりだった。

それには車の安全な駐車場(=機械式駐車場)をまず確保する必要がある。それも一年前から呉石先生に頼んでおり、「見つけてありますよ」との返事をもらっていた。

なぜ、そんなに呉石先生は私に親切なのか。わけがある。吉祥寺の駐車場を見つけておけば、自分(呉石)も、車で送ってもらえる、というのはもちろんのことだが、ときどき無理矢理かれを私の帰り道の高井戸でおろしてそこからふたたび井の頭線で帰らせることが何度かあったからだ。「勘弁してくださいよ」「これだったら、最初から中央線で中野から帰った方が早いじゃないですか」が彼の口癖。

吉祥寺で駐車場を見つけておけば、安心して帰ることができる(=送ってもらえる)。これが呉石先生の魂胆だった。

それもあって、今日、男だけの吉祥寺ラーメン会となった。駐車場は吉祥寺駅の北側徒歩3分くらいのところ。完璧な機械式でこれなら安心。大通りに面しているから酔っぱらいに絡まれることもない。私は一度こういった駐車場を見つけると何度でも来る癖がある。

「やったぁ。これで吉祥寺は私のものだ。呉石、毎日来よう」と叫んだら、「勘弁してくださいよ」とうなだれる呉石先生。「ジャイアン(私のミクシィネーム)だよ、本当に」と内心つぶやいていたようだ。

そこで呉石先生、御用達のラーメン屋に。

「どんなラーメンがいいですか」

「そりゃ、味を確かめるのなら、醤油ラーメンだろ、とりあえず」

「醤油って言ったって、豚骨系とか…」

「そんなのあるわけないだろ、醤油は醤油だろ」

(このあたりで2分は歩いた)I

「おい、どこだよ。歩かせれば歩かせるほど、おいしいラーメン屋に連れて行かないと怒るよ」。

「どうしようかな」と言いながら急に細い道に入ったら、そのラーメン屋。

『ホープ軒』とある。呉石先生によれば「超有名な店」らしい。

ところが夜の8時前後だのに、店には客が3人しかいない。チャーシュー麺を頼んだが、一口食べたら、途端においしくないのがわかった。このラーメンのどこが醤油なんだよ(何ラーメンであれおいしくない)と腹が立って、食べている間は、呉石先生とは一言も話さず黙って食べていた。

外に出た途端、「どこがおいしいのよ。ふざけやがって。わざわざ学校の帰りに車で来て食べるほどのラーメンじゃないでしょ。次の店紹介しろよ」

「えっ、まだ食べるんですか。僕はもう無理ですよ」

「若いくせにもう食べれないの。だったら、家に帰って口直しのフランスパン食べるから、パン屋連れてって」

「駅ビルに行くしかないですね」

「じゃあ行こう」

パン屋ではフランスパンが売り切れていてチーズ付き(「フランス小麦のケーゼブロート」840円)しかなかったが、まず、それを手に入れた。

しかし吉祥寺は8時過ぎでも駅ビルが明るいし、若い子も多い。歩いているだけでも楽しかった。気持ちが浮き浮きしてきたので、急に口直しのフルーツゼリーが食べたくなり、『吉祥寺ロンロン』でモロゾフのグレープフルーツゼリー(240円)を買う。

「今日から二日以内にお召し上がりください」「どれくらいでおうちにお帰りになりますか」と決まったように(親切ぶって)若いアルバイトの女の子が語りかけてくるので、「すぐに帰るけれど、倒れてもこぼれないように袋に入れてセロテープでがんじがらめにしておいてください」と言ってみた。

袋に入れてくれたが、入れつつ、「倒さないようにしてください」と私に言って、セロテープに手をかけた途端、そのお姉さん自体がゼリーの入れ物を倒してしまった…。私と呉石先生はお互い顔を合わせて、笑いをこらえた。

「失礼しました。ゼリー変えます」ともう一度陳列しているものと交換。

その店を離れてから、「やっぱりなれないことさせると失敗するよね」と私。「いやー、僕も何かやると思っていました」。

「私はね、マニュアル通り客対応している娘をみると必ず予想もしないようなお願いをすることにしているのよ」

「いやな客ですねー」と呉石先生。

そう言いながら、駐車場へ向かっていると、なんと吉野家を見つけた。吉祥寺で吉野家。いいではないか。「おい入ろうよ」「えっ、まだ食べるんですか。無理ですって」「何言ってるんだよ。そんな豚みたいなカラダして。『並』なら食べれるだろ」

「無理ですって。持ち帰りにすればいいじゃないですか」

「そんなのおいしくないだろう」

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