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安部内閣はなぜ人気が出ないのか ― 敵がいなければ、味方もいない。[政治]
(2007-03-04 23:07:20) by 芦田 宏直


安部内閣の人気が上がらない理由は、以下の三つの理由。


●第1の理由

教育と憲法というどちらに意見がころんでも、大きな反対論が(理論的に)存在する分野に政策の中心があるため。

教育は自由にもありえるし、統制的にもありうる。理論的には等価だ。子供は自由にも育つし(output重視)、強制的にも育つ(input重視)。

憲法も、特に国防という点ではアメリカ協調を訴えれば訴えるほどアメリカの世界戦略に巻き込まれる度合いは高まるし、対米依存を脱却しようとする平和憲法主義は強調すればするほど核保有(や専守防衛)をどうするのか、という問題を避けて通れなくなる。

ちょうど極東軍事裁判(の不公平性)を否定すればするほど天皇の戦争責任問題を避けて通れなくなるのと同じように。たぶん極東軍事裁判は天皇を“守る"ためには不可避な矛盾だったのだ。現在のアメリカと日本との関係もそれに似ている。“平和"は、日本にとってはいつも矛盾だ。

だから安部内閣は人気がない。どちらにころんでも答えが出ないものを“政策"にしようとしているからだ。要するにわざわざ手を付ける必要もない分野に手を付けようとするからこんなことになる。教育と憲法は票には繋がらない。選挙目当てにだけ担がれた安部さんだから余計に始末が悪い。


●第2の理由

議会で圧倒的多数をもつ与党内のほとんどすべてが支持する首相の内閣に、求心力など存在するわけがない。閣僚が勝手な発言を繰り返すのは、党内に敵を持たない、議会でも(圧倒的多数によって)敵が存在しないからだ。

求心力は、首相個人の能力には関係なく、敵の存在が形成するもの。内閣が引き締まるためには、そしてまた首相のリーダーシップが“存在"するためには「抵抗勢力」の存在が不可避だ。それがない安部さんは(ふつうに)孤独だ。〈敵〉がいなければ〈味方〉もいない。


●第3の理由

安部首相は、いつも「とすれば」と仮定法を使う。典型的なのは「格差問題が存在するとすれば、それに対応しなければならない…」というように。これは彼が幹事長時代の時に身に付けた官僚答弁の技(事態を肯定も否定もしない切り抜け技)。

しかし一国の首相ともなれば、格差問題を仮定法で論じるのは論外。認識と関心が問われているときに、仮定法答弁はそれらをすべて棚上げにする。これでは迫力がない。「決断と実行」(田中角栄)から最も遠い首相だと言える。


●結論

本来なら空中分解するだろう安部内閣を支えているのは、実はていたらくな民主党なのかもしれない。


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